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民度が低いと国家は自壊する

2024-09-17 07:42:06 | 戦争
民度が低いと国家は自壊する
“シーチン”修一

【雀庵の「大戦序章」337/通算768 2024(令和6)年9/17/火】9/15は「老人の日」、9/16は「敬老の日」・・・今の日本は何が何だか分からないことが多過ぎる。「民度が高いのか、低いのか? 賢明なのか暗愚なのか?」、日本国民はこうあるべきだという伝統的な規範が敗戦後に米国GHQにより消されてしまったから、今や日本はテンデンバラバラ、ライオンからネズミまでなんでもござれの「自由という無秩序の動物園」みたいだ。その時々の好悪や気分で動く人々はまるで蛮族のようで、カネ次第で何をするか分かったものではない。マキアベッリ曰く「自由はないが秩序のある国、自由はあるが秩序のない国。戦争では前者が勝つ!」。行き過ぎた自由は伝統や秩序を破壊するから警戒を怠らずに気を付けなさいということだ。

小生が尊敬している杉山大志氏(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)の産経2024/9/13「正論 新政権は脱炭素と再エネ見直せ」は大いに勉強になった。以下転載。
<我が国のエネルギー政策は、菅義偉政権が2050年CO2ゼロを宣言、岸田文雄政権がその法制化を進めたことで脱炭素が最重要課題となり、安全保障と経済が無視されている。これは日本の平和と自由を危うくする。自民党総裁選がスタートしたが、新政権誕生を機に抜本的な見直しが必要だ。

◎台湾有事のエネルギー: 中国が台湾を海上封鎖する、あるいは軍事的な攻撃をするとどうなるか。米軍が介入しない限り台湾は敗れる。介入すると、日本の基地が利用され、それは中国の攻撃対象になる。「台湾有事は日本有事」と呼ばれる所以(ゆえん)である。中国はまずは日本を威嚇する。それでも戦端が開かれると、日本のアキレス腱であるエネルギーを狙う。
近年の戦争で、エネルギーは攻撃対象になっている。ミサイルとドローンでロシアはウクライナの発電所の多くを破壊した。欧州の輸送船は紅海でイエメンの反政府勢力フーシ派に攻撃され、遠く喜望峰への迂回を強いられている。
ロシアが使用するイラン製ドローンは射程が2千キロを超える。つまり中国沿岸から日本全土が射程に入る。有事には日本のエネルギーインフラも、入港するタンカーも攻撃対象になる。

だが日本の備えは貧弱だ。合計で発電の7割を占める石炭と天然ガスの国内在庫は石炭が1カ月分、天然ガスが半月分しかない。石油は官民合わせ200日以上の備蓄があるが、攻撃に対する備えは乏しい。タンカーをドローンで威嚇され海上封鎖されれば、日本は3カ月も持たずにエネルギーが底を突き屈服するのではないか。

中国としては台湾統一を短期間で済ますことが重要になる。それを世界に既成事実として認めさせ、早々に国際社会に復帰することを目論む。長期化すれば中国経済への打撃は甚大になり、国内不安が増大する。
だからこそ日本としては「短期間で屈服しない備え」が必要だ。エネルギーはその要だ。防衛力の強化に加え、平時からエネルギーインフラに万全の投資をする。燃料は十分に備蓄した上で、米国からのガス購入の長期契約等、有事でも調達が安定する仕掛けが必要だ。

◎化石燃料を敵視する愚: いまなお化石燃料は日本の最大のエネルギー源であり全体の8割を超える。今後数年で大きく変わることなどない。この安定調達こそがエネルギー政策の最重要課題である。だがいま政府は脱炭素を強行し、化石燃料への規制や税を強化する一方だ。
このため化石燃料利用の上流では、事業者は資源の開発を行わず、また権益を海外に譲渡している。安定調達に必要な長期契約も締結しない。下流では、火力発電所の維持に必要な補修をせず、閉鎖が相次ぐ。このため毎年のように節電要請が出る始末だ。

エネルギーについては経済性も重要だ。安価で安定したエネルギーは製造業に必須である。それが経済成長を生み、防衛力の基盤ともなる。このためには、原子力の再稼働はもちろんのこと、火力、就中(なかんずく)、最も安価な石炭火力の活用が柱となる。政府は「化石燃料を敵視する愚かな政策」をやめるべきだ。
再エネが最も安いというのは完全な噓である。大量導入したドイツは電気代の高騰に苦しんでおり産業は大脱出をしている。日本でも「再エネ最優先」政策によって太陽光発電が大量導入され、再エネ賦課金によって電気代が高騰した。

そしていま政府が進めるグリーントランスフォーメーション(GX)では、10年間で150兆円、即ち毎年のGDPの3%を洋上風力や水素などに投資するとしている。だがこれもまた太陽光発電同様に、高コストな技術の強引な導入であり、更に光熱費を押し上げる。これでは足下で進行している産業空洞化はますます加速する。

◎官邸は死活的国益を護れ: 政府は2050年CO2ゼロは国際的約束だという。だが最大の排出国の中国は石炭火力の建設ラッシュである。インドなどグローバルサウスもG7の脱炭素お説教には従わない。ロシアの経済は石油とガスで成り立つが、無論採掘を止めるはずがない。米国のバイデン政権は脱炭素に熱心だったが、実態は石油・ガスを大増産して世界最大の生産国となった。トランプ政権になれば米国共和党は脱炭素政策を全て覆す。
そしてCO2を減らしても恩恵は無い。災害激甚化など統計を見れば噓と分かる。また日本がCO2をゼロにしても気温低下はせいぜい0.006度に過ぎない。

日本の死活的国益は何か。中国の脅威から、平和と自由を護ることだ。CO2などではない。安全保障と経済成長のためのエネルギー政策こそが必要だ。
かつて資源エネルギー庁は石油ショックの時代にエネルギー安定供給のために設立された。だがいまは脱炭素のためとして、エネルギー安定供給を破壊する先兵になってしまった。これを強いたのは菅・岸田政権の罪である。これを正すことが新政権の使命だ。(すぎやま たいし)>以上
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「菅・岸田政権はエネルギー安定供給を破壊する先兵になってしまった」というのは凄い。杉山先生は相当怒っている。菅・岸田はどういうオツムの方なのか?

菅義偉を小生は「すがぎい」と思っていたが「すがよしひで」だった。安倍政権で広報を担当し、その後、総理大臣になったもののたった1年で辞任し、総理大臣の仕事は非常にハードで、余程タフでないともたないのだろうと小生は同情したものである。WIKIにはこうあった。
<菅義偉内閣は2020年(令和2年)9月16日から2021年(令和3年)10月4日まで続いた。 自由民主党総裁の安倍晋三の辞意表明に伴って実施された総裁選挙において菅が第26代総裁に選出された。これを受け、第4次安倍第2次改造内閣が総辞職したことにより、その後継政権として成立した・・・

2021年8月26日には前回の総裁選で菅に敗れた岸田文雄が総裁選出馬を表明し、岸田はこの中で党役員任期を「1期1年・連続3期」までとする党改革案を打ち出した。これに対し菅は30日には9月中に幹事長の二階俊博を含む党役員人事の更新を行う方針を固め、31日には9月中旬に衆議院を解散し、総裁選を先送りする案も選択肢との考えを二階に伝えた。

しかし、これらの方針は党内から強い反発を招き、2021年9月1日には衆議院解散による総裁選の先送りをしない方針を表明。党役員人事についても菅は9月2日に安倍晋三前首相、麻生太郎副総理兼財務相らに協力を打診したが拒否されたことにより、党運営に行き詰った菅は9月3日に次期総裁選には立候補しない意向を表明。9月30日、任期満了を迎え、菅は自由民主党総裁を退任した。

10月4日午前、菅は臨時閣議に於いて、閣僚らの辞表を取りまとめて総辞職した。在任期間は384日。菅の任期満了に伴って施行された2021年自由民主党総裁選挙に於いて岸田文雄が第27代総裁に選出されたことを受け、後継政権として第100代内閣総理大臣に岸田が就任し第1次岸田内閣が成立した>
要は、菅はたった1年で派閥抗争で「引きずり降ろされた」のだが、選挙戦で勝てるなどの派手さがないなど党員の期待に応えられなかったわけだろう。

<岸田文雄は自由民主党所属の衆議院議員(10期)、内閣総理大臣(第100代・第101代)、自由民主党総裁(第27代)。
2021年9月29日、自民党総裁選の投票が行われ、1回目の投票で岸田はトップの256票を獲得したが、有効投票数の過半数に届かなかったため河野太郎との決選投票が行われることになった。決選投票では、岸田は257票を獲得して河野(170票)を破り、第27代総裁に選出された>

それにしても岸田総理は派閥が嫌いなようである。「3人いれば派閥ができる」と言うが、どんな職場でも気の合う人と仲良しクラブを創るものだ。自民党はそういう仲良しクラブ=派閥が合従連衡して発足した政党である。岸田総理は「派閥は諸悪の根源、政党は一枚岩であるべきだ」と思っているよう。まるで中露北のような異端を容赦しない共産主義独裁国家みたいだ。

産経2024/1/18 「自民党岸田派解散へ 昨年12月まで首相が会長 安倍派も検討」から。
<岸田文雄首相は18日、自らが率いた同党岸田派(宏池会)の解散を検討していることを明らかにした。政治団体の届け出を取り下げ、派閥事務所も閉鎖する方針だ。自民の派閥のパーティー収入不記載事件に世論の反発が広がる中、岸田派を率先して解散することで派閥解消の流れを加速させたい考えだ。最大派閥・安倍派(清和政策研究会)も解散の検討に入った。
首相は官邸で記者団に「(岸田派の)解散を検討している。政治の信頼回復に資するものであれば、そうしたことも考えなければならない」と述べた。他派閥に対して同様の対応を求めるかは言及しなかった。
派閥解消に向けては、無派閥の菅義偉前首相が意欲的な姿勢を示す一方、麻生派(志公会)会長の麻生太郎副総裁、茂木派(平成研究会)会長の茂木敏充幹事長らは否定的とされる。だが、政権幹部は「首相は派閥解消に並々ならぬ覚悟だ」と話した。
パーティー収入不記載事件を巡っては、収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかったとして、東京地検特捜部が政治資金規正法違反(虚偽記入)の疑いで、岸田派の元会計責任者らを捜査している。
一方、安倍派幹部は18日、同派の対応について「派閥解散の可能性は強まった」と述べた>

党内には色々な議論があっていい。議論を党員に公開して是非を問うことも大事ではないか。それがなければ上意下達の中露朝のような独裁国家だ。独裁国家は「党内幹部会で決まったことだから従え」と有無を言わせないどころか、反対意見を述べただけで要職から確実に追放されるから、イエスマンばかりになり、自浄作用がまったく機能しなくなる。ソ連の末期はその典型で、やがて経済はボロボロになり、エリート党員さえも腹を空かして四苦八苦するまでになり、結局自滅した。習近平独裁の中共、プーチン独裁のロシア、軍独裁の金正恩・北朝鮮も自壊するだろう。

党内に派閥があることは悪いことではない。喧々諤々で議論を重ねて国家・国民のための政策を進めれば良い。私利私欲、党利党略に流れないように国民はしっかり監視すべきだ。もっとも民度が低いと話にならないが・・・
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論客:加藤康子氏に期待する

2024-09-14 12:15:36 | 戦争
論客:加藤康子氏に期待する
“シーチン”修一

【雀庵の「大戦序章」336/通算767 2024(令和6)年9/14/金】9/22の「彼岸入り」(秋分の日)あたりから熱波は落ちつくとか。日本気象協会の長期予報よると最高21度あたりらしいが・・・祈るしかない。
秋分の日は敗戦以前は「秋季皇霊祭」と呼ばれていた。歴代天皇をはじめ皇族の霊をまつる儀式を行う日のことだった。占領軍のGHQマッカーサーにより昭和23(1948)年に「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日として、秋分の日に改名させられた。屈辱的・・・
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産経2024/9/11 加藤康子(かとう こうこ)都市経済研究家/元内閣官房参与の「正論『鉄は国家なり』令和に継ぐ教訓」から(一部カット)。
<◎日鉄のUSスチール買収問題: 国内最大手の鉄鋼メーカー「日本製鉄」(日鉄)による米国のUSスチール買収に政治の壁が立ちはだかっている。8月19日、米共和党のトランプ前大統領は、大統領に返り咲いた場合はUSスチール買収を阻止すると表明した。民主党のハリス副大統領も、国家には強い鉄鋼会社の維持が必要とし「国内で所有・運営されるべきだ」と述べた。バイデン政権は、安全保障上の理由で日鉄によるUSスチール買収を阻止する方針だと報じられている。両大統領候補はペンシルベニア州などラストベルト(錆びついた工業地帯)の労働者層票を巡って熾烈な選挙戦を繰り広げている。

反対の動きの一方、USスチールの株主は買収を歓迎してきた。4月の臨時株主総会では99%の圧倒的多数で日鉄の買収が承認された。日鉄は買収合意時の株価に40%上乗せし、141億ドル(約2兆円)という巨額の資金を投じる。半年のUSスチールの利益の約10倍に相当する額だ。
鉄は製造業の象徴的な存在ではあるが、現在のUSスチールの粗鋼生産量は1500万トン(世界24位)に過ぎず、年間4400万トン(世界4位)の日鉄と組むことにより、世界3位のトップメーカーに返り咲く。全米鉄鋼労働組合(USW)の反対が指摘されるが、日鉄はUSスチールの看板を替えず、雇用も約束する。

日鉄は高い品質のスチール鋼板製造技術を米国にもたらすはずだ。その投資は米国の悲願だった自動車や最終完成品を生産するラストベルトの工場群を再建する、大きな一助となるだろう。世界でブロック経済化が進む中で、米国の安全保障においても重要な役割を果たす。米国は粗鋼生産量で圧倒する中国製の工業製品に対峙するサプライチェーン(供給網)を日本と構築することができる。

トランプ氏は米市場への外資のアクセスを大幅に制限する方針で、メキシコやカナダなど北米自由貿易協定(NAFTA)の下での生産も例外とはしない。メキシコに拠点を置く自動車や部品工場などに100~200%の関税や輸入制限をかける計画だ。
だが強い米国と製造業の復活を実現するには良質の鉄を生産する製鉄所が国内に必要だ。買収が成功すれば日鉄は伸び行く市場の恩恵を受け、安いエネルギーコストの米国で大いに発展するだろう。買収問題の行方が注目される。

◎心配な日本の経済縮小: 翻って心配なのは日本である。日本のエネルギーコストは高い。日本でも自民党総裁選が始まるが、グリーンやデジタルなどの公約は目にしても、日本の基幹産業の成長を支える社会インフラの整備を訴える候補者が少ない。
日本の問題は電力にある。伝統的電力多消費産業に加え、AI、データセンター、半導体等により電力需要は爆発的に伸びる。だが原子力発電所の運転延長をもってしても、2040年代に原発は激減し供給力が足り得ない。原発、火力発電所の新増設の決断と実行が国策で必要なのである。

日本の市場が縮む中で、鉄鋼需要の将来予測は厳しい。安定電源の確保を怠り、再エネ主力電源化政策の下で太陽光などの変動電源比率が高まれば、国内の製造業はエネルギーコストが高い日本を、投資予見性がないと判断し、海外に出ていくだろう。産業の母である鉄が縮小すれば、日本のものづくりはどんどん後退する。製造業が縮小すれば日本経済が縮小するのである。
日鉄は政府のCO2削減目標に呼応し、水素還元製鉄や電炉への転換を目指しているが、これらの技術を実現するには原発数基分の電力が必要である。自民党総裁選では、次世代革新炉や火力発電の新増設など、未来の電源を確保するエネルギー政策について注目される。

◎真に国益考えるリーダーを: 「鉄は工業の母、護国の基礎なり。製鉄の業起らざれば万業振はず、軍備整はず」(冶金(やきん)学者、野呂景義(のろかげよし)の言葉)。鉄の国産化は明治の殖産興業、富国強兵の原点であった。戦後いち早く奇跡の復興を遂げた背景にも鉄の技術力があった。終戦直後の粗鋼生産量56万トンから、1973年には1億2000万トンまで増え、日本の高度経済成長を支える原動力となった。日本経済の土台を支える自動車や鉄などの基幹産業は国力と安全保障に欠かせない。

自民党の各総裁候補には、環境志向やグローバリズムばかり優先せず、日本の国益を第一に考え、民間が設備投資をしやすいエネルギー政策と、国策での社会インフラの整備を議論してほしい>以上
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いやはやスゴイ論客がいるものだ。WIKIによると――
<加藤 康子(かとう こうこ、1959年1月21日 - )は、日本の都市経済研究家。産業遺産情報センターセンター長。一般財団法人産業遺産国民会議の専務理事、筑波大学客員教授。2015年7月より2019年7月まで、安倍晋三内閣(第3次から第4次第1次改造内閣まで)における内閣官房参与(産業遺産の登録および観光振興を担当)を務めた。

◎経歴・活動: 東京都生まれ。1981年、慶應義塾大学文学部国文学専攻卒業。国際会議通訳、CBSニュース調査員を経て、1989年、ハーバード大学ケネディ・スクール政治行政大学院修士課程修了(MCRP取得)。慶應大在学中に産業遺産の概念に出会い、ハーバード大学院では企業城下町を研究し、在学中に第一法規出版の『まちづくりVIEW』に「アメリカのまちづくり」シリーズを連載した。

卒業後は日本に帰国し、大学院時代の友人とベンチャーを起業。企業経営のかたわら、学生時代から続けていた「産業遺産」の調査・研究活動を継続。英国、ドイツ、北欧、米国、豪州など世界各地に足を運び、鉱工業を中心とした産業遺産の保存と活用事例を現地で調査。その成果を順次、『観光リゾート開発戦略データファイル』(第一法規出版)、『エコノミスト』(毎日新聞社)、『マルコポーロ』(文藝春秋)、『三田評論』(慶應義塾大学出版会)、『学燈』(丸善出版)などに寄稿した。1999年1月、それまでの調査研究活動の集大成として『産業遺産~「地域と市民の歴史」への旅~』(日本経済新聞社)を上梓した。

◎人物・エピソード: 父親は国土庁長官、北海道開発庁長官、農林水産大臣を歴任した加藤六月。前内閣官房長官で自由民主党総務会長を歴任した加藤勝信は義弟(妹・周子の夫)>
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小生から見ると加藤康子氏は異次元の人、別世界の方のよう。今後も素晴らしい論稿を期待したい。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター https://www.mag2.com/m/0001690154.html
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戦争・熱戦に備えるべし

2024-09-12 16:39:19 | 戦争
戦争・熱戦に備えるべし
“シーチン”修一

【雀庵の「大戦序章」335/通算766 2024(令和6)年9/12/木】産経2024/9/6「VW工場閉鎖 従業員反発 本社で説明会 2.5万人参加」にはビックリした。
<ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の経営陣は4日、北部ウォルフスブルクの本社での会合で従業員に、コスト削減で国内工場の閉鎖を検討していることなどを説明した。従業員側の代表は「業績悪化の責任は経営陣にある」と述べ、「工場閉鎖やリストラ、賃金カットは受け入れられない」と拒否する姿勢を示した。
地元メディアによると、会合でアントリッツ最高財務責任者(CFO)は、業績悪化からの立て直しに向けて「生産性を高め、コストを削減する必要がある」と理解を求めた。具体的な計画は明らかにしなかった。ブルーメ最高経営責任者(CEO)も出席した。
経営陣はこれまでに2029年までの雇用保障協定の破棄も示唆しており、従業員の代表は「雇用保障は継続されなければならない」と訴えた。従業員ら約2万5千人が参加し、警笛を鳴らすなどして強い抗議を示した。
VWは世界的な電気自動車(EV)の販売減速や最大の自動車市場である中国の景気低迷で業績が悪化。2日にドイツ国内の工場の閉鎖を検討していると明らかにした。(共同)>

VWは「ビートル(カブトムシ)」の愛称で広く親しまれた。初期以来の車の姿かたちがカブトムシに似ていたからだ。1970年頃まで日本でもよく見かけたもので、父は「VWは密閉性が高いから川の中でも浮いている」と絶賛していた。父の話が本当かどうかは知らないが、結構人気があったのだ。
<フォルクスワーゲン(Volkswagen)は、フォルクスワーゲンAGの旗艦ブランド。1937年にドイツ労働戦線によって設立され、象徴的なビートルで知られる。ドイツ語でフォルクスは国民、大衆、ワーゲンは車を意味する。中国語ではフォルクスワーゲンは「大衆汽車」と訳されている。2020年には、フォルクスワーゲンブランドで約50車種が世界で生産された>(WIKI)

その歴史と伝統、人気もあるフォルクスワーゲンがドイツから消滅してしまうのか、と小生はがっかりしていたが、以下の最新の報道によると人員削減・工場削減は避けられないもののドイツでの製造を続けるようである。
産経2024/9/11「独フォルクスワーゲン、2029年まで雇用保障の協定破棄 経営悪化で人員削減検討」によると――
<ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は10日、2029年まで雇用を保障するという労働組合との協定破棄を明らかにした。欧米メディアが報じた。中国市場での競争激化や、電気自動車(EV)の販売失速で経営が悪化しており、人員削減や工場閉鎖といった抜本的なリストラ策を検討し、業績の立て直しを目指す。
VWは本拠地ドイツで初となる工場閉鎖を検討している。ドイツ国内は約10工場あり、車両工場と部品工場を各1カ所以上閉鎖する可能性がある。ドイツ国内では約30万人を雇用している。(以上)

以下の記事の見出しには「VWが国内工場を閉鎖した」とあるが、編集者のチョンボのようで、今のところは閉鎖ではなく「縮小」のようである。現代ビジネス2024/9/9 経済評論家・朝香豊氏の「ドイツはもうおしまいだ…フォルクスワーゲンが国内工場を閉鎖した『真の原因』 欧州『脱・原発』ブームの罪と罰」から。

<◎スイスの「脱・脱原発」: 世界の原子力政策が、今大きな転換を迎えている。スイスは2017年の国民投票で、原子力発電所の新設禁止を可決し、原発新設禁止は国是となっていた。だが、今年の8月28日に、アルベルト・レシュティ・エネルギー大臣は、地政学的緊張が高まる中で、エネルギー供給を強化するためには原発政策に関して見直しが必要になると語った。歴史的な大転換である。ちなみに予定通りに原発を停止していくと、必要なエネルギー量を供給できなくなることを懸念して、スイス政府は原発の稼働期間を延長する計画を昨年11月に発表していた。
スイス政府は、今年末までに「脱・脱原発」方針の原子力関連法案改正提案書を議会に提出し、来年この問題を議会で議論できるようにするとのことだ。だから現段階では一気に原発新設に向かって動いたとは言えないが、脱原発の流れに終止符を打ったのは間違いない。なお、レシュティ・エネルギー大臣は、政策転換を図らないのは、将来世代から裏切りだとみなされかねないとも語っている。
◎スウェーデンでも大きな動きが起こっている: スウェーデンは1980年に脱原発を宣言した、いわば「脱原発の先進国」だった国だ。このスウェーデンでも2022年9月の総選挙で左派政権が敗北し、中道右派連合の新政権が発足したことがきっかけで、原子力政策が大きく転換した。
もちろんこの背景には、ロシアのウクライナ軍事侵攻に伴って、安全保障政策、エネルギー政策の抜本的見直しが必要になったということが、大きな影響を与えている。
選挙翌月の2022年10月には、原子力発電関係の様々な禁止・制限事項(新たな場所での原子炉建設を禁止する、閉鎖済み原子炉の再稼働を禁止する、同時に運転できる原子炉は10基までとする)を撤廃すると、スウェーデン政府は決定した。そのうえで、2026年までに最大4000億クローナ(約5兆6000億円)の投資を行い、新規原子力発電所の建設環境を整えていくと表明した。

◎イタリアが求める競争力のある電力料金: イタリアでも大きな動きが起こっている。イタリアが脱原発を決めたのは、チェルノブイリ原発事故が起こった翌年の1987年の国民投票で、1990年までにはすべての原発を停止するというものだった。その段階からイタリアは原発の廃炉作業に着手しており、イタリアは原発が稼働していないだけでなく、「廃炉先進国」とも呼ばれてきた。
その後2011年にイタリア政府は原発再開の是非を問う国民投票を行ったが、この投票の直前に福島原発事故が発生したことが災いし、国民の94%が反対する中で、原発再開は否決された。

こうなってはイタリアでは原発復帰はもう望めないのではないかとも思われたが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻によってエネルギーコストが急上昇したことに、イタリア国民も耐えられなくなったのだ。こうした国民意識の変化を受けて、メローニ政権は2023年5月に原発の活用を検討する動議を下院に提出し、原発再開に向けた政府の計画案の策定に動き出した。
そして今年7月17日に環境エネルギー省のジルベルト・ピケット・フラティン長官によって、小型原子炉(SMR)への投資ができるようにする法律が国会に提出され、2050年までにエネルギー消費量全体の最低11%、できれば22%を原子力で満たせるようにしたいという方針が伝えられた。

フラティン長官は、「太陽光・風力のような再生可能エネルギー技術は我々に必要なエネルギー安全保障を提供できない」とし、「クリーンエネルギーの持続性を担保するには原子力に電力供給の一軸を担わせなければならない」ことを強調した。そのうえで、「最新の原発技術がさまざまなレベルの安全性を持ち、家計や企業に(安価な電力供給という)利益をもたらすことを考慮する場合、原発に対する歴史的に長い国民的懸念も克服することができると確信する」とも語っている。
そして7月23日には、イタリアはフランスとの間で原子力利用の推進協力に係る覚書を交わした。原子力大国のフランスの技術力を借りて、イタリアは国内の原子力を再構築する方針なのだ。
そしてこの合意には、一見すると場違いなイタリア鉄鋼連盟も深く関わっている。競争力のある電力価格でないと、鉄鋼産業自体が生き残れなくなることが、その背景にある。

◎続々転換される原発政策: ベルギーは2003年に脱原発関連法を制定し、2025年までに原発の運転を中断する予定だった。だが昨年6月に原子炉2基の寿命を延長することを決め、脱原発にストップをかけた。さらにベルギーは国際原子力機関(IAEA)と「原子力エネルギー・サミット」を共同開催する動きにも出た。この「原子力エネルギー・サミット」において、化石燃料の使用の削減、エネルギー安全保障の強化、持続可能な開発の促進という世界的な課題に対処する上で、原子力が果たす重要な役割が強調された。
ここで示されたメッセージは世界に向けて発信されたものだが、原子力政策の転換を図っていく上でのベルギーの国内対策の意味合いも強いものだったとも言えるだろう。

◎文在寅政権時代に脱原発路線に舵を切った韓国も、尹錫悦政権が誕生してからこの路線を撤廃し、2030年に原子力で少なくとも総発電量の30%を賄う方針を打ち出した。イギリスも2050年までに原子力発電容量を現在の4倍の2400万キロワットに増やして、国内需要の1/4を賄う計画を示している。

◎フォルクスワーゲン工場閉鎖の原因は: こうした中で、今でも頑なな反原発姿勢を変えていないショルツ政権のドイツは、世界の中で遅れを取っていると言っても過言ではない。当然ながら、高い電力代は家計ばかりでなく、企業にとっても大きな負担になる。ドイツの電力料金は、2023年下半期の場合、原発比重の高いフランスと比べると、家庭用で概ね55%、産業用では80%も高い。
製造業が国を支えてきたドイツでは、このエネルギーコストの高さは致命的で、国内の製造業の空洞化が進むのは避けようがないだろう。現にこうした中でフォルクスワーゲンが国内工場の閉鎖を検討していることが報じられた。

フォルクスワーゲングループのオリバー・ブルーメCEOは「欧州の自動車業界は非常に厳しく深刻な状況にある」としたうえで、「経済環境の厳しさが増す中、新たな競合企業が欧州市場に参入している。特に製造拠点としてのドイツは競争力の面でさらなる遅れをとりつつある」と語った。
欧州市場に参入している新たな競合企業とは、安価な電力料金に支えられた中国に製造拠点を持つ、BYDなどの中国企業やテスラのことだろう。
フォルクスワーゲンのドイツ最大規模のウォルフスブルク工場も、すでに採算レベルを下回っていることが指摘されている。
工場閉鎖とコスト削減方針は、当然ながら労働組合との軋轢を深めることになる。労働組合のIGメタルは、フォルクスワーゲンの業績不振はずさんな経営管理によるものだと批判し、雇用を守るために闘うと宣言した。おそらくこうした労働組合は、これまで優等生的なリベラル政策を支持し、脱原発にも賛同してきたのだろうが、そんなあり方が自分たちの生活基盤を破壊することにつながっていることに、今更ながら気づくことになったのではないか。
フォルクスワーゲンに限らず、ドイツにおいては製造業の国外移転が進んでいくのは確実だが、この中で従来リベラル政策を支持してきた人たちの意識が大きく変わっていくことになるのかは、注目しておきたいところだ。

ドイツの矛盾、製造業空洞化は不可避: なお、現在下野している保守政党キリスト教民主同盟(CDU)は、5月6~8日にベルリンで党大会を開き、「ドイツは今のところ原子力を放棄することはできない」とし、「第4世代・第5世代の原子炉」はエネルギー安定供給のために維持すべきオプションとされた。これにより、脱原発を決めたメルケル路線から完全に決別した。キリスト教民主同盟の現党首のメルツ氏は、ドイツの歴史と伝統を重んじ、移民に対しても厳しい態度を示す保守本流の政治家で、エネルギー政策についても現実主義に基づくべきだと考えている。

ただ、ドイツの場合には原子力の復活にはすでに高いハードルが設置され、来年秋の総選挙でキリスト教民主同盟が地滑り的勝利を収めても、原子力回帰はなかなか難しいのではないかと見られている。そもそも稼働を停止した旧原発の再稼働ができないように、現在のショルツ政権は、原発の冷却塔を相次いで爆破することまでやっている。
したがってドイツが仮に原子力回帰ができるとしても、新原発の稼働は早く見積もっても10年後にならざるをえず、その間は原発の生み出す安価な電力をドイツが利用することはできない。こうした中でドイツ製造業の空洞化が進む一方、データセンターなどの拠点がドイツに設置されていかないことも、もはや避けられないだろう>以上

世界の自由陣営は第2次大戦終結後の「容共左派的戦後時代」から「反共愛国的21世紀時代」に移りつつあるようだ。プーチン・ロシアのウクライナ(クリミア半島)侵略が始まった2014年が世界秩序の転換点になったのではないか。共産主義独裁の中露北 vs 反共愛国民主主義の米欧日加豪台などの角逐・冷戦は、やがて熱戦になるかも知れない。
当たり前ながら戦争・熱戦は避けたいが、産経9/12の「ロシア海軍が『30年ぶり規模』の軍事演習を開始 中国も参加し日米欧を威圧」の記事にはこうあった。<ロシア海軍は10日、大規模な軍事演習「オケアン2024」を開始した。発表によると、演習は太平洋や北極海、地中海、カスピ海、バルト海などの各海域で16日まで行われ、艦艇計400隻以上や航空機125機、兵員9万人以上が参加。極東ウラジオストク沖の日本海北部での演習には、中国の人民解放軍も艦艇3隻や航空機15機を派遣した>
古人曰く「降り懸かる火の粉は拂はねばならぬ」、戦争・熱戦に備えるべし。
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中共軍は習近平を駆除すべし

2024-09-10 09:51:38 | 戦争
中共軍は習近平を駆除すべし
“シーチン”修一

【雀庵の「大戦序章」334/通算765 2024(令和6)年9/10/火】産経2024/8/30 エドワード・ルトワック氏の「世界を解く 中国『近隣窮乏化政策』阻止を」はとても勉強になった。
WIKIによると近隣窮乏化政策(Beggar thy neighbour)とは、貿易相手国に失業などの負担を押しつけることによって自国の経済回復と安定を図ろうとする政策。経済学者の野口旭氏は「近隣窮乏化政策の問題点は、他国の報復を誘発する可能性が高く、結局は自国の状況も悪化させるケースが多い。(1930年前後の)世界恐慌時、近隣窮乏化政策を多くの国が先を争って実行したため、貿易の縮小を通じ恐慌がさらに悪化した」と指摘している。以下、ルトワック氏の「世界を解く」を転載する。

《欧州連合(EU)の欧州委員会は8月20日、中国から輸入される電気自動車(EV)に課す追加関税の税率について、現行の10%に上乗せし、最大36・3%にすると発表した。10月末までに本格導入される見通しだ。カナダも26日、全ての中国製EVに100%の追加関税を課すと発表した。米国は5月に100%の追加関税を表明済みで、9月中旬にも実施が見込まれている。
中国は欧米など先進諸国から日に日に疎外されている。中国が、1930年代のナチス・ドイツ以来の忌まわしい経済・貿易政策を積極的に進めているからだ。ヒトラー率いるナチス体制は再軍備政策を進める上で鉄鋼や銅などの原材料を輸入するための外貨獲得に迫られ、政府の補助を受けて靴や道具、日常用品などをフランスなどの近隣諸国に安価で輸出した。
折からの世界恐慌で経済が疲弊していたフランスなどは、ドイツから安い製品が滝のように流入したせいで自国の製造業が打撃を受け、失業者が増大するなどの重大な悪影響が生じた。貿易相手国に負担を押しつけて自国の経済回復を図る、典型的な「近隣窮乏化政策」だ。そして中国もまた、生産過剰と需要の低迷、企業倒産の増大など、後退局面にある国内経済を同様の政策で再建しようと試みている。

◎国民党敗北の歴史が教訓: 本来であれば中国は人民元紙幣を増刷して通貨供給量を増やし、消費者の購買意欲をかき立てるなどの景気刺激策を実行すべきだ。ところが中国共産党体制は「紙幣の増刷はインフレを引き起こす恐れがある」として決して踏み切ろうとしない。かつて蔣介石率いる中国国民党政府が猛烈なインフレに見舞われて民心に離れられ、毛沢東率いる共産党との内戦に敗れて台湾に逃れたのと同様の歴史をたどりたくないとの思いが強いためでもある。
そこで中国はかつてのナチスと同じように政府が補助金を出し、EV(Electric Vehicle、電気自動車)などの輸出攻勢で苦境を乗り切ろうとしている。

だが、例えば欧州にとって自動車は基幹産業の一つだ。中国製EVに席巻されるなど到底容認できず、欧米は関税引き上げに踏み切ることにした。欧米が中国の周囲に築こうとしているのは、障壁と呼ぶにはあまりにも高い壁だ。そして壁はEVにとどまらず、ハイテク技術の移転や学術交流の分野でも着々と築き上げられている。米国の大学では、IT(Information Technology、情報技術)技術関連の学部から中国人の研究者や留学生を締め出す動きが強まっている。

◎中国の巧妙な対抗措置: 気になるのは、中国がハイテク分野で巧妙な対抗措置を取り始めていることだ。米国は、米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアが開発した人工知能(AI)向けチップの中国向け輸出規制を強化した。このため、同社のチップを直接輸入できなくなった中国企業は、オーストラリアにあるエヌビディア社製チップ搭載の高性能サーバーを運用するデータセンターに秘密裏にアクセスしてAI開発をするようになったという。
グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどの米巨大IT企業も、豪州のデータセンターと似たような計算能力サービスをクラウド環境などで提供している。ただ、これらの米企業は顧客の身元確認規定が厳格だ。
米輸出規制の対象は最先端チップや機器、技術の輸出だ。米クラウドサービスに中国企業がアクセスするのは規制の対象外とする主張もあるが、中国企業が実際にアクセスするのは困難だ。一方、豪州のデータセンターは匿名での決済が可能なため、中国からのアクセスが急増しているとの指摘もある。

問題は、欧米先進国による中国の疎外化に向けた一連の措置が、中国の習近平体制による近隣窮乏化政策に歯止めをかけられるかどうかだ。あるいは逆に中国が諸外国に対する敵対的態度を強めてくるのかどうか。そして日米の安全保障上の重要懸案である台湾情勢にどのような影響を及ぼすのか。これらの疑問については、機会を改めて詳しく考察していきたい》(聞き手 黒瀬悦成)
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「諸悪の根源“中露北” つぶすべし!」と小生はここ2年ほど唱えているが、その手の人、特に学者の方々は急速に増えているのではないか。理路整然と説くから説得力がある。世界経済評論IMPACT 2024/9/2 安室憲一・兵庫県立大学・大阪商業大学 名誉教授の「中国の『戦略的過剰生産』がもたらす破壊力」から要旨を引用する。

《(1)「戦略的過剰生産」の理論的背景: 中国が「戦略的過剰生産」を重要な国家政策に定め,価格破壊ともいえる輸出攻勢を仕掛けるのはなぜなのか。本稿では,その構造的原因と帰結について考察したい。

中国の特徴として,GDPに占める個人消費が少なく,投資の比率が大きいといえる。この条件下で,経済成長率を引き上げようとすると,(1)外国から直接投資を誘致し(不足する投資の補充),(2)雇用を創造し(個人消費の拡大),(3)純輸出額を増加させる必要がある。
(一党独裁の)社会主義体制では本来は無理な話のはずだが,これを断行したのがトウ小平氏の「改革開放」政策である。有り余る労働力(未利用資源)を活用して,外資の直接投資と技術移転を呼び込み,外資のサプライチェーンに依存する形で中国製の組み立て加工品を輸出するのである。中国が強国になるまでは臥薪嘗胆というわけである。

21世紀にはいると,この外交方針を転換した。2010年には,中国のGDP規模が日本を凌駕した。中国は胡錦涛政権の末期,習近平政権の時代から外交方針が変った。「もう本音を隠さなくてもいい」と考えたのだろう。(恫喝的な)「戦狼外交」の反動は大きかった。
コロナ禍の2019-2022年頃には,外資の対中投資は完全に停滞し,2023年には85%減と壊滅的な減少となった。これは中国の不動産バブル崩壊と軌を一にしており,地政学的なリスクの増大とともに外資は撤退を開始した。このような状況にもかかわらず習近平国家主席は5%以上の経済成長を宣言した。内需と投資に期待できない中国政府に残された道は外需(輸出)である。戦略的に過剰生産を作り出し,ダンピング輸出で海外市場をこじ開ける以外にない。

(2)中国政府の論理: 習近平は,2024年5月6日の欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長らとの会談で「中国の過剰生産問題というものは存在しない」と言い切った(日経)。6月6日には呉江浩駐日大使がEVを念頭に同様の発言を繰り返した。25日には李強首相が大連で始まった経済フォーラムで「過剰生産や補助金によって競争をゆがめるなどの欧米の指摘は当たらない」と主張した。
しかし,米戦略国際問題研究所(CSIS)の試算では,中国政府は09〜22年に総額1700億ドル程度の補助金を支出したとされる(日経)。つまり,中国がもたらす「過剰生産」は計画的な「国家戦略」であることがわかる。
なぜ「過剰生産は存在しない」と主張するのか。それは,習近平の唱える「新質生産力」(EV,電池,半導体,太陽光パネル,風力発電装置,人工知能など)は,世界的に見ればまだ需要は満たされておらず,低価格・高品質で製品やサービスを提供できれば,市場は無限にあると考えられるからである。つまり,「戦略的過剰生産」は内需よりもグローバル市場を標的にしている。「戦略的過剰生産」は中国版「グローバル戦略」である。

しかし,この論理は自己中心である。他の国でもイノベーション開発(新質生産)は経済成長に欠かせない。中国同様,政府は育成に努力している。ということは,中国は国を挙げて競合国の経済成長の源泉を潰しにかかっている,ことになる。誰よりも早く市場を席巻し,寡占的地位を築き利益を独占する。それが狙いである。それが「戦略的」という意味である。
中国の経済は国有企業が中心であり,民間企業にも共産党による支配が貫徹している。どのようなやり方で政府(中央と地方)の補助金や税制優遇,各種公共料金の補助など,がなされているかは不明である。調べようにも国家安全法や反スパイ法が立ちはだかる。アンフェアーな「竹のカーテン」である。

(3)行き詰る「グローバル経済秩序」: 中国の問題性は,グローバル経済(戦後のブレトンウッズ体制,WTOなどの自由な貿易)から最大の恩恵を被っているのに,その形成にも維持にもなにも貢献していないことである(むしろ邪魔している)。グローバル経済体制の形成には第二次大戦の戦禍が,その維持には米国を中心とした同盟国の安全保障体制という莫大な費用が掛かっている。グローバル経済体制は「天から降ってきた」幸運ではない。中国の「ただ乗り」が続けば米国は「グローバル経済体制」から手を引き,北米(米国,カナダ,メキシコ)と南米の主要国だけの世界に閉じこもるだろう。つまり,ブレトンウッズ体制以前の状態,戦間期の「関税障壁」競争の状態に逆戻りすることになる。トランプ前大統領が再選されれば,こうなる確率は高くなるだろう。

戦略は自己中心に考えてはならない。競争相手の次の反撃を予想しなければならない。下手な戦略はカウンター戦略をくらい,想定してきた目標を自ら破壊することになる。中国の「戦略的過剰生産」はグローバルな経済秩序をもっとも効果的に破壊するだろう。
それでは,先進国の多国籍企業は次にどんなカウンター戦略を取るのだろうか。その輪郭はすでに見え始めている。カギを握るのは「サプライチェーン」である。それについては次回の稿で論じよう》以上
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「近隣窮乏化政策」「戦略的過剰生産」・・・無理が通れば道理が引っ込むと言うが、習近平の目標は「建国の父」毛沢東と並ぶ「発展の父」として歴史に名を刻むことだろう。しかし、毛沢東でさえ1957年にこう案じている。
<わが国ではイデオロギーの面で社会主義と資本主義との間のどちらが勝ち、どちらが負けるかの闘争は、なおかなりかなり長い期間を経なければ解決されない。ブルジョアジーや旧社会から来た知識人の影響がなお長期にわたって存在するからである。こうした情勢について認識していなかったり認識が足りなかったりするなら、非常に大きな誤りを犯すことになる>(毛主席語録)

結果的に毛沢東の「文化大革命」で劉少奇やトウ小平ら「改革開放派」は殺されたり追放されて中共は10年間もの「暗黒時代」に入ってしまった。凄まじい後退! 毛沢東信者の習近平はそれを再現して再び中共を「暗黒時代」にしようとしているのだ。中共軍が決起し習近平を駆除する時である。
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前回の「神道系大学」でミスした

2024-09-08 09:48:11 | 戦争
前回の「神道系大学」でミスした
“シーチン”修一

【雀庵の「大戦序章」333/通算764 2024(令和6)年9/8/日】9/7の記事「國學院大は神道系大学」で「皇學館大学」(正式には國學院大学)」と書いたが、「皇學館大学」と「國學院大学」は別組織だった! ジャーナリストの先輩からの指摘があったので訂正します。それにしても「なぜミスをしたのか?」 深掘りが足りなかったのだ。手抜きをした。無知だった。慎重さに欠けていた。ボケが進んだか? 失敗を繰り返さないよう、改めてWIKIで調べると大きな発見があった。以下、紹介する。

◎「國學院大學」の母体は、1882年(明治15年)11月4日に神職養成と古典研究のための教育機関として創立された皇典講究所である。初代総裁は有栖川宮幟仁親王が務めた。1890年(明治23年)、皇典講究所内に國學院が開校。1906年(明治39年)には私立國學院大學になった。皇典講究所は内務省の委託を受けて神職養成を行っていた。

◎「皇學館大学」は1962年(昭和37年)に創立された私立大学である。前身の「官立神宮皇學館大學」は、1882年(明治15年)4月30日に神宮祭主・久邇宮朝彦親王の令達により、伊勢神宮の神官の子弟に国学に関する教育を行うために伊勢の林崎文庫内に創立された神宮皇學館に起源する。1900年(明治33年)に、総裁・賀陽宮邦憲王より授与された「令旨」が現在でも皇學館大学の建学の精神を具体的に述べたもの、皇學館大学の原点と解されている。

「皇學館大学」は1962年(昭和37年)に創立された「私立大学」? 不自然極まりないが、さらに調べてみると・・・
<1940年(昭和15年)4月23日には、勅令をもって「神宮皇學館大學官制」が公布。内務省所管の官立専門学校から、大学令による文部省所管の官立大学に昇格した。皇學館大学ではこの官立大学であった時期を「国立大学時代」としている
しかし、1945年(昭和20年)の敗戦によって、同年12月15日に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)より神道指令が発出。国公立の学校において神道教育およびその調査研究を行うことを禁止する条項が出され、1946年(昭和21年)3月31日をもって「神宮皇學館大學」は廃学となった。

その後1962年(昭和37年)、神宮皇學館の精神を継承する私立の皇學館大学が再興。文学部、教育学部、現代日本社会学部の3学部を擁し、このうち文学部神道学科と神道学専攻科が神社本庁の神職養成の一翼を担う。皇學館大学学則1条では教育目的を「わが国民族の歴史と伝統とに基づく文化を究明し、洋の東西に通ずる道義の確立を図り、祖国愛の精神を教育培養するとともに、社会有為の人材を育成すること」としている。なお皇學館大学には國學院大學のような神殿はないが、創立の経緯からも現在でも神宮(伊勢神宮)との繋がりが強い>以上

米国マッカーサー率いるGHQに「神宮皇學館大學」は潰されていたわけだ。同校の「皇學館のあゆみ」にはこうある。
◎昭和21年(1946)  3月:昭和20年12月にGHQが神道指令を出し、21年2月に廃校指令が通達される。3月に最後の授業が行われ廃学となる(「神宮皇學館大學官制」廃止)。
◎昭和21年(1946)  8月:館友(OB)が中心となり大学再興を目指し「伊勢専門学館」が開学するが翌年に廃学となる。翌年、「清明高等学院」を設立するが再び学生募集停止。
◎昭和25年(1950)  1月:同窓会誌『館友』を復刊し、卒業生の動向把握がなされる。翌年8月、館友会が復活し、同時に「財団法人五十鈴会」を設立して大学再興を目指す動きが加速。
◎昭和34年(1959)  7月:大学再興を目指して「財団法人皇學館後援会」が設立される。後援会会長に吉田茂、副会長に池田勇人が就任。
◎昭和37年(1962)  4月:皇學館大学新築工事。「皇學館大学」開学。文学部国史学科・国文学科を設置。総長吉田茂、学長平田貫一。授業は当初、倉田山中学・伊勢高等学校の一部を借りるが、5月から大学新館にて授業開始。神宮文庫内の一部を借りて大学附属図書館設置。開学に際して頂いた北白川房子様御歌「たぐひなき 神の御国の みち直く きよく正しく 学びはげめよ」
◎昭和42年(1967) 12月:吉田茂の死去に伴い、岸信介が第二代総長に就任
・・・・・・・・・・・
1946年(昭和21年)のGHQによる廃学から1962年(昭和37年)までの16年間の悪戦苦闘の末に見事に復活したわけだ。大した根性である。大和魂万歳!と敬意を表したい。

そんなことを思っていたら産経2024/9/6、乾正人氏の「大手町の片隅から やはり虎に翼はなかった」は「NHKの朝ドラに洗脳されてはいけませんぞ」と警鐘を鳴らしていた。以下転載すると――
<NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」が、多くの弁護士から支持されているという。弁護士で社民党党首の福島瑞穂が、インスタグラムに「毎日見ていて、涙したり元気づけられたりしています。寅ちゃんがんばれ!」と投稿しているほど、その筋の法曹関係者から絶賛されている。そんなもの見たくもない、というあなたはまともだが、先週の平均視聴率は17.6%と結構高い。
ドラマのモデルは、日本初の女性弁護士で戦後は裁判官となり、新潟家庭裁判所所長を務めた三淵嘉子で、NHKの司法担当解説委員が時代考証をサポートしている。かくいう私も毎朝、初回から見ていたが、確かに前半の脚本はよくできていて(考え方や歴史の見方にはまったく共感できないが)、主人公「寅ちゃん」を演じている伊藤沙莉をはじめ俳優陣も好演していた。
だが、戦後編になると、実際のモデルや当時の社会環境との乖離が激しくなり、夫婦別姓やLGBT(性的少数者)の権利拡大を訴えるプロパガンダ(特定の主義・思想についての宣伝)番組としかいいようがないシロモノになってしまった。端的な例が、主人公の再婚だ。モデルは再婚後、夫の姓である「三淵」に改姓したが、ドラマの寅ちゃんは「事実婚」を選んだ。
この改変は、ささいなこと、ではない。旧姓のままの「事実婚」だったなら(善しあしは別にして)、その後の「寅ちゃん」の裁判官人生はドラマのようにはならず、全く違ったものになっていたはずである。実際にあった事件や実在した人物のドラマ化は、本当に難しい。まず、登場人物を実名にするか仮名にするかに始まって、史実をどこまで忠実に再現し、どこからをフィクションにするかは、決まりがないだけにすべては、制作陣の腕にかかっている。
◎「地面師たち」とは大違い: ネットフリックスで大ヒットしている「地面師たち」は、平成29年に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとしているが、誰もドラマが実際の事件そのものだとは思わない。視聴者は、フィクションという前提で見て、その中に物事の本質を見るわけである。朝ドラが厄介なのは、高視聴率ゆえに、歴史上の人物がドラマ通りの人生を歩んだ、と誤解してしまう視聴者が続出してしまうことだ。例えば、日本一の女性興行師をモデルにした朝ドラは、彼女をあまりにも爽やかで人格円満な人物に描き、関西人の私は腰を抜かしてしまった。
なによりNHKの「虎に翼」で問題なのは、無邪気なまでに新憲法を礼賛していることだ。登場人物の誰一人として、連合国軍総司令部(GHQ)が草案をつくって押し付けた日本国憲法の制定過程について問題視せず、葛藤もなく新憲法を天から与えられた福音の如く扱っている。
これはどう考えてもおかしい。終戦直後は、GHQが徹底的に言論を統制し、新憲法の生みの親がGHQであることを庶民は知る由もなかったが、在京の法曹関係者、しかも中枢に近いところにいた人物が知らなかったわけはない。朝ドラに洗脳されてはいけませんぞ>以上
・・・・・・・・
そう言えばNHKの制作現場にはアカが多いようで、反日の中国人は中共の代理人の如く海外向けNHK番組で日本=悪玉論を唱えていたとか。ネットで検索すると篠原常一郎著「中国が仕掛けるシン・共産主義革命工作 元共産党員が暴く!」(2021/9/17)の前書きにはこうあった。
<日本の政財官界に深く根を張った中国共産党の21世紀型工作活動! 私はかつて長きにわたり日本共産党の職員、国会議員秘書として、政治の実務の中にありました。もちろん、 共産主義思想やものの考え方を知るというより、実践する立場で実体験してきました。この共産主義勢力による他国への浸透工作や世論工作のやり方には「方程式」があり、共産主義に通暁せずともシンパシーを持つ誰もが共有しやすいように理論化・パターン化し、世界的規模で展開しています。(「はじめに」より)
【目次】第1章 習近平の野望と「シン・共産主義革命」工作 第2章 日本の政財官界に深く根を張る中国 第3章 日本の外交政策を狂わせる親中政治家たち 第4章 日本を組み伏す「三戦」の脅威 第5章 第三国を引き込んだ対日工作 第6章 アメリカへの「シン・共産主義革命」工作>
【目次】
第1章 習近平の野望と「シン・共産主義革命」工作
第2章 日本の政財官界に深く根を張る中国
第3章 日本の外交政策を狂わせる親中政治家たち
第4章 日本を組み伏す「三戦」の脅威
第5章 第三国を引き込んだ対日工作
第6章 アメリカへの「シン・共産主義革命」工作
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まったくもってメディアに「洗脳されてはいけませんぞ」!ということだ。
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