アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

ベーム vs カラヤン

2015-06-10 16:00:00 | 音楽/芸術

アントンKがクラシック音楽を聴くようになったきかけ・・

親父の影響だ。若い頃からクラシック音楽を楽しみ、LPレコードを収集していた親父。そんな環境だから、この手の音楽は、気軽に自宅で聴くことができたという訳。その点では恵まれていたかもしれない。アントンKが音楽を聴き始めたころ、登竜門のようにムソルグスキーの「はげ山の一夜」に始まり、モーツァルトのジュピター、シューベルトの未完成、ベートーヴェンの運命、田園と聴くようになり、自宅にあったレコードは、カラヤン/ベルリンフィルであった。何の疑いもなく、カラヤンの演奏を何回も何回も聴いたもの。それはそれで素晴らしいと感じていたと思う。何の予備知識もなく、こういうメロディでこんな曲という認識はでき、さらにブラームスやチャイコフスキーへと向かって行った。決して親父はカラヤン好きということではないと思うが、昭和40年後半から50年代にかけては、この業界はカラヤン中心に回っていたのではないか、と思えるくらいの勢いがあったのだろう。

そんなある日、友人からベーム/ウィーン・フィルのレコードを薦められて聴いてみたことがある。ベームと言えば、これまた当時カラヤンと双璧を成す巨匠であり、日本でも大変な人気者であった。そのベーム指揮するところの、ブルックナーの「ロマンティック」を聴いて唖然としてしまったのだ。これほどまでに楽曲が違って聴こえるのか、初体験と言ってもいい状態だった。それまでは、自宅にあったカラヤン指揮するところの「ロマンティック」を聴きこんでいた訳だが、このベーム盤を聴いて初めてこの曲の意味のようなものが分かった気がした。ウィーン・フィルのオーボエの素朴な音色や、フルートの愛らしさ、そして何と言ってもウィンナホルンの雄弁さに衝撃を受けたのだ。第1楽章の中間部ですでに涙が止まらななったことを今でも覚えている。と同時に、今まで聴いて来たカラヤン盤は、いったい?と情けない気持ちにもなった。つまり、アントンKは、今まで楽曲を味わっていたのではなく、どちらかというと、カラヤンを聴いていたということになるのか。これは当時大変ショッキングな事件だった。

画像は、そんな思い出があるベームの「ロマンティック」のLPのジャケット。撮影したものは後にCDで復刻されたものからだが、いずれも特徴あるジェスチャーでオケを促すベームの横顔。そんな想いもあり大好きなジャケットの1枚だ。