先日、柳家小三治の独演会に行く機会があり、平日にも関わらず出向いてきた。
小三治と言えば、この度人間国宝となり益々注目され外せない落語家の一人となった。今までにも何度か独演会には行く機会があり、独特の語りには参ってしまうのであるが、今回も毎度のことながら大変楽しめた公演となった。
多種多様の落語家たちの中で、この小三治という落語家は地味な方かもしれない。メディアにあまり出ることもないようだし、また自分の独演会などの情報もつかみ難いのが現状だ。あまり宣伝を入れないように感じている。それでも毎回客席は満員で、チケットの入手は難しい。知る人ぞ知るといった落語家さんなのだろう。
お茶の入った湯呑みを自分の座る座布団の脇に置き、すすりながら喋る独特な語りは、どう言ったらいいのだろう、間を持つことで、客席の方が、その仕草一つ一つが釘ずけになるといった感じか。とにかく目が離せないのだ。舞台袖から現れた時から、前座さんとは違う雰囲気で、光を放ち、会場の空気が変わるのがわかるのだ。やはり同じ芸を長年続けてきた達人というか、人の器が違うのだろう。少しでも同じ会場で話芸に触れていたいと思わせる何かがある。それは、ある程度の年齢を重ね、そして自分の仕事を熟知して、それでもなお先へ進もうとする大きな力、気のようなものを感じとることができた。末長い活躍を願い、また出来ることなら足を運びたい。
2015-06-02 柳家小三治 独演会 習志野文化ホール
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