新日本フィルの定演「ジェイド」の出向いて来た。
今回は、おそらく定期演奏会では貴重な楽曲であろう、現代作曲家のタン・ドゥンによるオーガニック3部作の構成。3つの協奏曲が演奏された。普段ならこの手の楽曲には手を出さず、当然聴いた経験のないアントンKだが、以前どこかで読んだ、新日本フィルのコンサートマスターである崔文珠氏のインタビューからヒントをもらって、今回はチケットを手にした。当日は、先約の時間が押してしまい、途中入場となってしまったが、それでも日本初演とされる「大地の協奏曲」には間に合った。
演奏された3つの協奏曲は、音楽を奏でる楽器という分野を逸脱し、水や紙、何と瀬戸物を鳴らして音楽にするというもの。果たして自分自身どう感じるのか、いつもとは違う気持ちでホールへ向かった。
今回聴いてみて思ったことは、やはり音楽を保存することは難しいということ。目の前に広がる見慣れない舞台から奏でられる聴いたことのない音の連続。数々の打楽器による臨場感、そして息遣い。この日の演奏も後日FM放送されると聞いたが、果たしてどこまでマイクを通して伝わるのだろう。そこには、いつもこのメンバーで聴いている音楽とは別の世界、より現実に近い世界があるように感じてしまった。耳から伝わることより、目から伝わることが多かったアントンKだから、まだまだ浅いのだろうが、逆にこの体験も推奨して頂ける方がいたからこその体験であり、今回足を運んで本当に良かったと思える。それにしても、自作自演の指揮者タン・ドゥンにきっちりついていた新日本フィルハーモニー交響楽団。古典から今回のような現代曲まで、実に幅広く聴衆を圧倒する。新しい作品にチャレンジするプロとしての精神性の高さを十二分に味わった気がしている。
写真は、リハーサル中の光景。天井から大きな紙が垂れ下がって、Vn群の配置が指揮者を囲むようにされている。こんな舞台は、クラシック音楽を考えれば非常に珍しいシーンだろう。
新日本フィルハーモニー交響楽団 第585回 定期演奏会「ジェイド」
タン・ドゥン オーガニック3部作
水の協奏曲
紙の協奏曲
大地の協奏曲
指揮 タン・ドゥン
Pc ジャン・モウ
ベイベイ・ワン
藤井はるか
柴原 誠
コンマス 崔 文洙
2018-03-17 東京サントリーホール