日本全国を見渡して、補機仕業を伴う難所とされるポイントは随分と減ってしまった。それは近代化によって徐々に姿を消し、鉄道趣味の観点からは魅力が乏しくなったと言わざるを得ず、大変寂しい想いに駆られるケースが増えている。大先輩方が残された数々の作品の多くは、蒸機の雄姿であり、重連や三重連で峠を往く姿は、当時のアントンKにとって若き心を熱くしていき、その後自身の撮影に向き合うエネルギーへと変わっていったのだ。蒸機には間に合わなかったが、同じポイントに行き列車に向き合うことで、その当時に遡れるような感覚になったもの。シャッターを切るだけで必死で、その情景から感じる想いなどには無縁だった。しかしそんな想いは長年熟成されて、おぼろげに感じられてくるものなのだということが、最近になって解ってきた気分に浸っている。
掲載写真は、上越国境を下るEF16が補機に就く貨物列車。清水トンネルを頂点として新潟県側は、一気に蛇行を繰り返し下っていくが、ここでもEF16は回生ブレーキを物を言わせながら、EF15と足並みを揃えて確実に走行していく。雪解けのシーンでの流し撮りとなり、綺麗な画像ではなく不満も多いが、EF16の流し撮り自体が限られており敢えて掲載させて頂く。
1979-02-13 791ㇾ EF1629+EF15128 上越線:越後湯沢-石打