鉄道模型を手にする機会があり、久しぶりにブルートレインである14系寝台客車をじっくりと味わった。
その当時、14系寝台には、カルテットという名のB寝台個室があり、帰省で長崎へ向かう時や、鉄道撮影で遠征の際によく乗車した。今から思えば、個室といっても後年のトワイライトEXPやカシオペアに比較したら簡素なものだったが、列車独特のプライベート空間に酔いしれ移動を楽しんだものだった。アントンKがお世話になった時期は、まだまだ夜行列車は全盛期にあたり、客車そのものも小奇麗だったから、王者ブルトレの風格が至る所から感じ取れたもの。揺られながら食堂車で食べたハンバーグも、席に帰って車窓の流れゆく街の灯に、柄にもなくセンチなったり、一つ一つに想いや情景が重なる。その時感じた音楽まで頭を過るのだから、不思議な感覚になる。ブルートレインを長編成にして走らせてみたくなってしまった。
掲載写真は、14系寝台で組成された特急「みずほ」。九州ブルトレの中では比較的地味だったものの、「さくら」と並んで長崎まで結んでいた列車だった。今では九州新幹線にその名が残り、伝統を継承している。
1987-02-08 6列車 EF66 40 東海道本線:函南付近