好天に誘われて東北を廻ってきた。新潟~山形~秋田~山形~福島と巡り約1,300kmの道のり。なかなか乗り出があったが、思い描いていた鉄道シーンにも数々遭遇出来て心は満足、実り多き旅となった。
普段いつもと変わらない平凡な日常の中では、過去に遭った数々の機関車、列車シーンは忘れがちで、滅多に思い出すことなどないが、今回帰りがけに立ち寄った奥羽本線板谷峠は、アントンKの記憶をあっという間に蘇らせた。関根~大沢~峠~板谷と続く奥羽本線。若きアントンKが、交流機の聖地とまで感じ、ここの主であるED78・EF71にカメラを向けた日々が一瞬で思い出されたのであった。日没間近な大沢駅に立ち寄ってみたが、当時の記憶とはかけ離れた光景が目の前に広がり、心がフリーズしたような脱力感に襲われた。スイッチバックの側線の面影はわかり、スノージェットもそのままだが、建物自体の老朽化が著しく今にも崩れそうな外観に驚嘆。そんな建物に無造作に絡みついている植物がとても不気味であり、人の手が何年も入っていないとすぐに分かった。駅のホーム自体は、スノージェット内の本線上に移設されていたが、当然暗闇の中で近寄りがたい雰囲気を醸し出していたのだ。付近の民家は数件確認できたが、どこも人気は無く、おそらく何年も空き家状態なのだろう。このままだったら風化して自然に還っていくことは容易く想像できる。思えば山形新幹線開業が1992年のことで、あれからすでに30年以上の年月が経過している。世間で言われている人口減少は、こんな所でも実感でき、知らないうちに次々と集落が消えていくと思うと、何だかやり切れない気持ちになったのである。
掲載写真は、津軽海峡線を行くブルートレイン「日本海」。知内駅ホームから撮影している。この駅もご存じのように2014年の北海道新幹線開業とともに消滅し、現在は信号所に代っている。あっいう間に10年が経ってしまった。
2005-05-06 4002 ED79 19 日本海 知内駅にて