杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

夫婦フーフー日記

2016年02月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年5月30日公開 95分

ダンナことコウタ(佐々木蔵之介)とヨメことユーコ(永作博美)は、長年の友人づきあいを経て出会いから17年目に結婚。入籍してすぐに妊娠が分かり大喜びする二人だが、ヨメの直腸に悪性腫瘍があることがわかる。ダンナはブログに夫婦の日々を記していった。やがて二人の子ペ~が生まれ希望に包まれるが、ヨメの容体が悪化。ヨメは最期に望んだ大好きなハンバーガーを食べ、その数日後に息を引き取った。そんな中、ダンナのもとにブログを書籍化する話が舞い込んでくる。現実から逃げるように原稿に向かうダンナの前に死んだはずのヨメが姿を現わし、二人は一緒に過ごした日々を振り返るうちに、互いに伝えられなかった思いに目を向けていく。(Movie Walkerより)


実話ブログから生まれた同名原作の映画化です。
友人として付き合って17年。実家に帰りお見合いしようかというところでようやくコウタが自分の気持ちに気が付いてプロポーズしに高速バスに乗る場面からいきなり時間が経過してるという展開は、のちに「これはコウタが見ている夢」と死んだはずのユーコに言わせる前振りだったのねでも実際死んだのはヨメの方ですが。

妊娠の喜びに浸ったのも束の間、癌が発見されて妊娠9か月で帝王切開で出産した後そのまま闘病生活に入ったヨメは、抗がん剤の副作用に苦しみながら、最後は実家のある福島に戻って息を引き取ります。

作家志望のダンナは夫婦の一大事をブログに綴ってきましたが、ヨメが亡くなってからその闘病記を本にしませんかという話が持ち上がるの。原稿に向き合うことで現実逃避をしているダンナの前に現れたヨメは、なんだかんだとちゃちゃを入れてきてダンナは振り回されるのだけど、夫婦として過ごしてきた日を振り返るうちに、伝えられなかったそれぞれの思いが浮かび上がっていくのです。

本好きな元書店員のヨメのために、この闘病記を本棚に並べてやりたいという気持ちに嘘はなくても、作家になるチャンスだと意気込む気持ちもまた彼の中にはあった筈で、ヨメは鋭く指摘してきます。

ハンバーガーをほおばりながらの登場と、ダンナ以外には見えないヨメとのやりとりを周囲が気の毒そうに見守る図などは思わず笑ってしまいます。切なさも苦しさも笑いに昇華させて見せる展開はまさにファンタジーでした。


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ピースオブケイク

2016年02月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年9月5日公開 121分

DV体質の彼氏・正樹(柄本佑)にバイト仲間との浮気がバレて振られてしまった梅宮志乃(多部未華子)は、バイトを辞め心機一転引っ越した先のベランダで隣人と出会い、爽やかな風を感じ自分の中で何かが大きく動き出すのを感じる。
親友でオカマの天ちゃん(松坂桃李)が働くレンタルビデオ店でバイトを紹介してもらった志乃は店長が隣人の菅原京志郎(綾野剛)と知り驚くが、彼には一緒に暮らす女・あかり(光宗薫)がいた。今度こそ恋愛で間違いたくないと願う志乃だったが、歓迎会で飲み過ぎ京志郎の部屋で目を覚ました時から店長が好きだと確信する。これまで買っては植物を枯らしてきた志乃だったが、懲りずに花屋で見かけたクワズイモを買い、新しい恋に重ねて「今度は絶対、枯らしたくない」と思う。
告白した志乃に「あかりと別れる気はない」と言う京志郎だったが、突如あかりが姿を消したことで二人は付き合い始める。幸せを感じながらもいつかあかりが帰ってくるのではと不安を抱える志乃。
天ちゃんが所属する「劇団めばち娘」で衣裳の仕事を手伝うようになった志乃は、めまぐるしい日々を送り、一方京志郎は友達の見舞いと言い、時々出かけるようになっていた。作家デビューしたあかりの書いた本を読んだ志乃は、友達があかりではないかと疑うようになり、温泉旅行に出かけた時にたまらず京志郎の携帯を見て事実を知り彼を責めて別れを告げる。1年が経ち「劇団めばち娘」は人気劇団として頭角を表し、志乃も憧れだった服飾の仕事で生活できるようになっていたある日、ライブハウスで行われたトークショーに現れた京志郎を見て逃げる志乃。追いかける京志郎。疾走する2人の恋の結末は?


ジョージ朝倉の同名コミックの映画化です。
仕事も恋愛も流されるままに生きてきたヒロインは等身大の現代女性でその恋愛下手ぶりが共感を誘います。演じている多部ちゃんの醸し出す雰囲気は嫌みがなく、自分の気持ちに正直で真っ直ぐなヒロインを引き立てています。撮影は高円寺や阿佐ヶ谷などの中央線沿線や下北沢エリアで行われ、正樹との別れの際に登場する小道具は生々しいエロスもありました
志乃の親友の世話焼きオカマの天ちゃんを演じている松坂君は新境地開拓だね

京志郎に愛されながらも彼を完全に信じきれない志乃の不安はわかるような気がします。自分の気持ちより相手の気持ちの方がわかってしまうことってあるよね携帯を見てしまった彼女がブチ切れて男湯に乗り込んでの修羅場がコミカルな分、その後の部屋での話し合いや押し黙ったままの帰途の重苦しさが際立ちました。
好きと告白した時も別れを告げた時も、志乃はとてもストレートに自分の気持ちを伝えています。それって全然恋愛下手じゃないよ~

もう一人の親友ナナコ(木村文乃)も二人が別れた後も気遣い、あかりの最新刊を志乃に渡して「これは三人の話で、ヒゲ店は志乃をちゃんと大事に思ってたんだよ」と背中を押します。
それでも今更枯れてしまった植物は元通りにならないと諦めようとする志乃ですが、再会した京志郎は逃げる志乃を捕まえて自宅の庭に生い茂るクワズイモを見せます。枯れた筈のそれは彼が持ち帰って育てていたのね彼の志乃に対する愛の深さ真剣さを表現していたわけです。
ま、運命の二人ってことね

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