杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

オデッセイ

2016年02月10日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年2月5日公開 アメリカ 142分

人類3度目の有人火星探査ミッション“アレス3”は、18日目に突然吹き荒れた猛烈な嵐によって、任務中止に追い込まれる。ところが、全6名のクルーのうち、マーク・ワトニー(マット・デイモン)は、突風でバラバラになった通信アンテナの直撃を受けてどこかへ吹き飛ばされ、行方不明になってしまう。タイムリミットが迫る中、必死の捜索を続ける指揮官のメリッサ・ルイス船長(ジェシカ・チャステイン)だったが、ワトニーは発見できず、やむなく離陸を決断。ルイス船長以下5人は宇宙船ヘルメス号で地球への帰途につく。ワトニーは死亡したと判断され、NASAのサンダース長官(ジェフ・ダニエルズ)が記者会見を実施した。しかし、ワトニーは生きていた。辛うじて砂漠から人口住居施設“ハブ”に帰還した彼は、この上なく絶望的な現実を思い知らされる。ハブに残された食料はほんのわずか。ところが、次の探査ミッション“アレス4”のクルーが火星にやってくるのは4年後だ。それまで生き抜くためには、酸素や水を作り出すところから始めなければならない。植物学者でメカニカル・エンジニアのワトニーは、ありったけの科学知識と持ち前のポジティブ思考によって、これらの途方もないハードルを1つずつ乗り越えてゆく。しばらくして、NASAもワトニーの生存に気付く。火星の衛星画像を調べていた職員が、ワトニー生存の証拠を発見したのだ。ただちに食料を送るための補給機の準備を開始。再び記者会見を開いたサンダース長官がワトニーの生存を発表したことで、火星で孤独なサバイバルを続けるワトニーは一躍、全世界の“時の人”となった。ところが、時間との厳しい戦いを強いられた救出プランはトラブルに見舞われ、ワトニーは再び絶体絶命の危機に陥ってしまう。やがてワトニーの命運は、宇宙を航行中のヘルメス号のクルーを巻き込み、誰も想定していなかった最終手段に託されることとなる……。(Movie Walkerより)


アンディ・ウィアーの「火星の人」の映画化です。パニックやサバイバル系は苦手な方なので初めは鑑賞予定になかったのですが、オスカーレース有力作に浮上しているので興味が湧きました
冒頭の景色は火星・・・の筈なんですが、空には雲が映ってる・・・それダメじゃんと思っちゃった私。
地球外で撮影できるわけないんだからそんなところに突っ込んじゃいけませんよね

仲間に死んだと思われ火星に取り残されてしまったマーク宇宙服の破れは、折れたアンテナと出血が塞いでくれてて九死に一生を得たとか、メットに入ったひびや爆発で吹っ飛んだハブの入口を応急テープで補修できちゃったり、あげくはMAV(Mars Ascent Vehicle)の天井さえもビニールシートで代用なんて、「ありえへん」な感覚満載なんですが、これって科学的に「あり得る」のかしらん?

植物学者であるマークが専門外のことにも精通しているのも気にはなりますが、まぁ宇宙飛行士に選ばれるくらいだから、一通りの知識は身につけていたってことなんでしょうね。何より彼の生きようとする意志の強さがサバイバルの原動力となったのは間違いなさそうです。

水・空気・電気を確保して、お次は食料。食材のじゃがいもをタネに、排泄物を肥料とした有機栽培を考えるあたりはさすが植物学者です。さらに通信手段を見つけ出し、NASAとの交信に成功します。(使ったのは16進法による信号文のようなものでした。)
これにより地球でも彼の救出に向けて全世界的に取り組むことになります。(実は彼の生存そのものはもっと早くに確認できていたけれど・・・という、上層部と現場の駆け引きというか政治的配慮もあったりします。)

ヘルメスが救出に向かえば良いのにと思ってしまうけれど、宇宙船は勝手に進路変更出来ないのよねぇ燃料だって往復分積んでないし、乗組員の健康状態にも影響してきそうだし。でもでも・・絶対無理ってわけじゃなかった!!クルー全員の意志と地球からのアシストで、彼らはマークを救助しに戻っていきます。

火星の軌道に乗ると地球に戻る燃料がなくなるため、マーク自身がMAVで宇宙に飛び出すという荒業を使い、届かない距離を宇宙船の爆破(もちろん安全性は確保して)とマークが自らの宇宙服の空気を推進力に使用して埋めるという展開はなかなかスリルがありました
遭難したてのマークはややぽっちゃりした体型だったのに、救助の頃には痩せています。食料を節約して生きながらえている感が良く出ていました。

火星でのマークのサバイバルが中心ではありますが、彼の救出を試みるNASAの人々や関係者の姿もなかなかうまく描かれています。
保身に走りがちな上司と対立する現場の構図はありがちですが、これって人間社会の普遍的な一面よね。
面白いのは、補給機打ち上げに失敗した後、手を差し伸べたのが中国だってところ。太陽神計画なる彼らの宇宙計画を中止してまでたった一人のアメリカ人の救出のために力を貸すという壮大な人類愛が泣ける

マークの不屈の精神力や前向きな姿勢に感動を覚えながらも、地球上では毎日のように殺人や戦争が起こっている現実があります。映画ではたった一人の人間を救うために大国が手を組んで世界中が彼の帰還を望み応援している。これは感動するべきなのか、笑うべきなのか・・・ちょっと複雑な気持ちにさせられました。

追記:マークの孤独なサバイバル生活の中でかけている音楽は懐かしのディスコ曲。これはルイス船長の私物なのですが、なんか受けた~~!!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする