杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

先生、私の隣に座っていただけませんか?

2022年04月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2021年9月10日公開 119分 G

漫画家・佐和子(黒木華)の新作漫画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」。そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、さらに佐和子の夫・俊夫(柄本佑)と編集者・千佳(奈緒)の不倫現場がリアルに描かれていた。やがて物語は、佐和子と自動車教習所の先生(金子大地)との淡い恋へと急展開する。この漫画は完全な創作なのか、ただの妄想なのか、それとも夫に対する佐和子からの復讐なのか。現実そっくりの不倫漫画を読み進めていく中で、恐怖と嫉妬に震える俊夫は、現実と漫画の境界が曖昧になっていく。(映画.comより)

 

漫画家夫婦の虚実が交錯する心理戦を描いたドラマですが、なんて面倒くさい夫婦なんだろ!

佐和子は夫が自分の担当編集者の千佳と不倫していることに薄々気付いていながら、認めたくなかった。でも実母が事故に遭ったという電話を受けた日に不倫現場を目撃してしまうんですね。車がないと不便な土地に住む母親(風吹ジュン)の世話をするため、夫婦で実家に住むことになった佐和子は、自動車学校に通うことになります。それを勧めてくれたのは夫ですが、彼の真意を測れない佐和子は、逆に別の意志を固めていきます。

教習所から帰ると食事も一緒にとらず仕事部屋に入って原稿を描く日が続きますが、ある時夫は佐和子の原稿を見て衝撃を受けます。そこにはリアルな自分たちの現実が描写されていたから。夫の送迎する車の中で佐和子は尋ねます。「不倫、してるの?」でも夫は嘘を付きます。彼の心理もわからないではないけれど、この一言が佐和子に決定的な行動を選択させることになるんですね。このあたりの夫婦の温度差が痛いぞ

自分の不倫は隠し通したいけれど、妻が教習所の先生に気持ちが動いていくのは嫌。でも漫画の内容を認めてしまえば自分の不倫も肯定することになるというジレンマに、夫は苦しむことになります。そして事は起こりました。免許が取れたある日、佐和子が二日間家を空け、「先生」を伴って帰ってきます。「心配」して駆けつけた(体の)千佳は俊夫に原稿を見せられても全く動じず、逆に「連載しましょう!ヒット間違いなし」と喜ぶ中、夫婦二人だけで「本音」を語り合った翌朝、佐和子と「先生」は家を出ていきます。母親だけが「真実」を見抜いていました。

千佳の気持ちは、全く理解できませんが、俊夫のダメダメぶりは共感はできないけれど、普通の男の心理としてはわからないでもないです。ヘタレな俊夫を佑君が好演していました。

でも佐和子が夫を許せず、復讐したいと望んでいたとしても、そんなに都合よく「相手」それもイケメンの若い男性と巡りあえるものか?そして相手がこれも都合よく自分に惚れるのか?この辺がどうも胡散臭いので、個人的にはでした。

佐和子が描く漫画のキャラは女性らしい可愛さがあって好みです。「やる気」を出した俊夫の描いたキャラは佐和子とは全く異なる男性誌のキャラのように骨太に見えました。結婚前は彼のアシスタントをしていた佐和子にとっては、漫画家としての気持ちが萎えていた夫を奮起させるというのも、もう一つの目的だったのかな。


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