五代ゆう(著) ハヤカワ文庫
〈新しきミロク〉が実行したミロクの降臨という一大事は、ヤガとその周辺を震撼させる。ヤガの人々は中空に出現した巨大なミロクの姿に熱狂し、町は大混乱に陥る。その頃ブランは、ババヤガとイグ=ソッグの助力を得て、ジャミーラたち〈ミロクの使徒〉と戦ってフロリーを助け、イェライシャはヨナを救いだし、スカールは黄昏の国を後にして、ザザ、ウーラとともにスーティを連れて、新たなる波乱のヤガを目指していた。(「BOOK」データベースより)
第一話 風雲のヤガ
ジャミーラ・ベイラー・イラーグ対ババヤガのバトルは、カン・レイゼンモンロンの登場で決着をみないまま流れました。この3人、最初から力を合わせていたら難なく目的を達したのではないかと思うけど、利己主義の私欲の塊なんだものね ほんのちょっぴりカンさんに同情したくなりました
同情といえば、ブランの前にまたまたソラさんとヤモイさんが現れて頭を抱える図が浮かびます。一方、スカール達には新たな出会いの予感。
第二話 海を想う
カメロンの遺体を守ってヴァラキアに向かうドライドン騎士団の一行は、不本意な火葬を余儀なくされます。精一杯の支度を整え、亡きカメロンを夜通し偲びながら男泣きに泣く騎士団の面々。とりわけマルコの胸には復讐の昏い炎が燃えています。何か不穏な空気を感じてしまいますな。 ザカッロに宿をとりしばしの休息を得た一行は太守にカメロンの復讐のための挙兵を求めます。マルコは町でアッシャと出会い、病に倒れていたヴァレリウスを宿に連れ帰ります。パロ宰相への同情より、利用価値を値踏みするマルコは、
もう以前の快活で純粋な若者ではなくなっていました。
第三話 祈る者たち
スカール達は、ヤガでティンシャという少女を助けた縁で、心眼の血脈を受け継いでいる盲目のアニルッダというミロク教徒に出会います。一方、ブランが危惧した通り、二人の高僧はヨナやフロリーの懇願やイェライシャの要請にも我関せずの態度で、彼らを困惑させます。ブランはこれまでの問答で耐性が出来ているのでどこか達観した面持ちなのが面白い 竜王の逆鱗を恐れながらも交信を試みたカン・レイゼンモンロンですが、空振りに終わります。怒られるより無視される方がより恐怖というのは理解できるぞ
第四話 うねる潮流
レムスの妃アルミナが御忍びで訪れ、ヴァレリウスにパロ奪還への援助を申し入れます。正気を失い国へ戻された彼女は、夫と息子を竜王の手で奪われたことに対する復讐心に燃えていて、そのためにはどのような手段でも構わないとヴァレリウスに迫り、彼を困惑させます。ところがその場にマルコが現れ、竜王とイシュト、対象は違えど、同じ復讐の炎に身を焦がす二人はすっかり意気投合し、ますますヴァレリウスに不安を与えるんですね。せっかく病から回復してきたところなのに、ヴァレちゃんもとことん可哀相な役回りだな。
一方、騎士団の最年長のアストルフォは太守に呼ばれ、脅迫を受けてある人物を騎士団に加えることに同意させられます。こいつが登場するなりクソ生意気な傲慢さで騎士団の若いメンバーたちとアッシャから総スカンを喰らうのですが、本当にむかつくキャラなのよね
一方、スーティは琥珀と夢の中で会話しますが、琥珀の話す内容は彼には殆ど理解できない(そもそも大人でも現代人以外には理解不能だけど)ながらも、誰かと話したいとおねだりしちゃうの。途中で竜王がどこぞへお出かけの気配を察知した琥珀。(だからヤガでのカンの交信が不通だったのね。)スーティと縁の深い異母弟のドリアン王子と繋いだ琥珀でしたが、当の王子はまさに賊の刃の只中で・・・
アッシャにティンシャ、スーティにドリアンまで登場し、何だか世代交代のような雲行になってきたような
それにしてもブランとヴァレリウスの苦難はまだまだ終わりそうもないですね。