瀬尾まいこ(著) 文春文庫
幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。 その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。 血の繋がらない親の間をリレーされながらも、 出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき——。 (あらすじ紹介より)
つい先日、映画の方をDVDで観ましたが、こちらは原作小説の方です。なので映画との相違点のみ書いておきます。
映画では優子が森宮さんと家族になるまでと、その後が一見別々の話のように描かれていきますが、原作では優子の一人称で語られていました。(結婚式当日のみ、森宮さん視点ですが)映画で「みぃたん」と呼ばれた子供時代の優子より年齢も上で、多感な思春期に泉ヶ原さんの娘になっています。そのせいか、優子の性格や考え方も大人びているというか、どこか醒めて割り切っているように感じました。次々と親子関係が変わっていく中で、彼女なりに自分の心を守ろうとしていたように思えます。
担任の先生の存在が本の方が大きかったかな。通り一遍の同情ではない、優子と本気で向き合っている感じです。それは優子以外の生徒にも同様で、厳しさの中にある教師としての愛情が伝わってくるようでした。
友人関係のこじれと修復の形や森宮さんとぎくしゃくした時のエピソードは多少の違いはありましたが本筋は変わらなかったかな。
実父の水戸さんの外見描写は失礼ながら小説の方がイケメン 逆に森宮さんは凡庸な外見のようでした。
泉ヶ原さんのイメージは同じだったな。
映画は、梨花さんのことをママと呼ばせていますが、こちらでは出てきません。また、梨花さんも事情は本人の口から語られていますし、結婚式にも出席しています。より劇的に感動させようという意図が映画には感じられますが、決して嫌味ではなかったので、個人的には映画の方が入り込みやすかったかな。