結城真一郎(著) 新潮社(刊)
私たちの日常に潜む小さな"歪み"、あなたは見抜くことができるか。
家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞。そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。(内容紹介より)
家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞。そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。(内容紹介より)
・惨者面談
中学受験専門の家庭教師派遣の営業のバイトをしている大学生が、訪れた家の異変に気付くまでの様子がちょっとした緊迫感があって面白かったのですが、事件が解決した後に明かされた「事実」に驚かされます。子を喪った母の妄執も哀しいけれど今時の小6は確かに大人顔負けかも。
・ヤリモク
題名の意味がわからず調べたらマッチングアプリやSNSなどで一夜を共にすることを目的に近づいてくる男性のことを言うのだそうな。😞
娘と同じ年頃で容姿も似ている女性を落とそうとする男と、落ちた振りをして美人局をしようとする女。どっちもどっちだけど、男の本当の目的は別にあるのね。娘を溺愛する男の異常な思考に怖気が走ります。
・パンドラ
不妊治療の末にようやく子供を授かった夫婦。自分たちと同じように子供を欲する人の力になりたいと妻の同意を得て精子提供をした男の元に現れた「娘」。彼は敢えて身元を明かして提供していました。娘との会話の中で出た血液型の話から、男は妻が生んだ娘が自分の血を引いていないことに気付きます。不妊に苦しむ妻の姿を見てきた彼はその事実を胸に秘めることにします。だって我が子と過ごしてきた年月こそが親子の確かな結びつきなのですから。
開けてはならない「パンドラの箱」に残っていたのはやはり「希望」だったのかな。
・三角奸計
久しぶりに学生時代からの親友A・Bとリモート飲みをする中で、Aの婚約者がBと関係を持っていると知ったAがBを今から殺しに行くという・・・実は男も婚約者のいる女性と関係を持っていたのですが、実はその彼女こそAの婚約者で、AとBは共謀して男の真意(Aの婚約者と知っていて裏切っていたのか)を確かめようとしていたのです。彼女が男に嘘を言っていたことが明らかになった時にAが取った行動は・・・いやいや、それはむしろホラーだぞ😱
・#拡散希望
子供が4人しかいない島で両親と暮らす「僕」の日常は、島で生まれ育った友達がスマホを買ってもらいユーチューバーの存在を知ったことで壊れていきます。(僕と他の2人は親に連れられ移住してきた子供です。)その友達が崖から転落して亡くなったことで、彼は両親の「真実」を知ることになります。そこで彼らが取った行動は・・・一番悪いのは彼らの親たち。子供たちの人権を無視し、見世物扱いした結果が殺人であり、更なる殺人を招くのは動画のフォロワーたちというのがいかにも「今」風な結末で救いがないぞ😩
どの話にも驚きの「真実」が隠されていて最後に明かされるのですが、後味の悪いものも多かったかな。