わたしのことを、「ぶれない人」だと言ってくれる人がいる。
いい意味で言ってくれていると思っている。
でもその「ぶれない」わたしのなかに、
もうひとりの「わたし」が潜んでいる。
子どものころからずっと・・・今も・・・
父と母を好きだと思ったことが
一度もない冷たい「わたし」が今もいる。
ふたりにずっと憎しみを抱えながら
人を愛すること・好きになることをいつも躊躇しながら
生きてきた「わたし」である。
中学生のころ頭の後ろ側の髪の毛が、白髪になった。
その白髪頭が、京都で学生生活を始めたとたん、無くなった。
それが家を離れたからだと、気づいたのは
20代も半ばを過ぎてからである。
父と母を捨てることで、
わたしはやっと自分らしく生きることを学んだと思う。