2007年12月2日(日曜日)
敦賀のまちづくりに一生をかけた
大和田荘七翁が港にたたずんでいた。
その大和田翁に、
ウラジオストク行きの船に乗るため
道をたずねたのは、
与謝野晶子とその友人のふたりづれ。
彼女たちを見送るために、
山川登美子が人力車で
かけつけてくる。
人力車夫は若き日の
熊谷嘉七。
熊谷ホテルの2代目である。
使用人のタケに、
夢を語る嘉七の凛とした姿が
胸を熱くする・・・
それから26年後の昭和13年、
「熊谷ホテル物語」は今、
幕を開けた。
タケやカツコ、サカらホテルの
使用人たちの明るく、おおらかな
敦賀弁でのかけあいに、
観客席からは爆笑がわきおこる。
ヒロイン・チヨをいちずに
愛し続けるのは、ホテルのフロントを
あずかる公方。
コミカルななかにも、純朴で
誠実な人柄がにじみでている。
熊谷ホテルで働き出した
聡明で美しく働き者のチヨ。
笑顔を絶やさないチヨのふと垣間見せる
思いつめた表情が、
暗い過去を想像させる。
史実に基づいて展開するストーリーは、
「命のビザ」を発行した
リトアニア領事館での
杉原千畝の苦悩を映し出す。
日本人の心にかける!と叫ぶ
千畝に答えるかのように、
ユダヤ人を受け入れた敦賀のまちの人々・・
敦賀の風物詩も
存分に楽しめる舞台は
太鼓やすてなおどりで盛り上がり、
大きな拍手の中で1幕を終えた。
戦争は熊谷ホテルやそこで働く人たちにも
暗い影を落とす。
チヨの過去が明らかになり、
チヨと公方の愛の行方は
いったいどうなるのか・・
息子を失い心を病むタケの嘆きに
身を引き裂かれる思いを味わい、
涙なくしてみることはできない第2幕。
ぐいぐいと観客をひきずりこむ
ストーリーの展開と
役者たちの熱演に
観客の拍手はいつまでも
鳴り止むことはなかった。
今日は、午後2時から
「熊谷ホテル物語」が幕を開けます。
ぜひ、多くのみなさんに
見ていただきたい!
この冬、一押しの芸術作品です。