
左から 晴香 中2 不透明水彩 / 南月 中3 顔彩・色鉛筆 / ちひろ 中1 鉛筆
酒井です。今日は中学生の作品をまとめて紹介致します!テーマはズバリ「動物」。それぞれ描いた動物も違えば、画材も表現も違う3枚ですが、皆さんはどれがお好きでしょうか?
まず晴香の描いたインコ。嘴のちょっとした傾きや、お互いを慈しむような表情が丁寧に描写されています。しかし私が今回なにより驚いたのは、何といってもは白色の表現。左のインコの白色と背景の布の色が、こんなにはっきり違って見えます。水彩を使ったことがある方はご存じかと思いますが、白を表現するのに紙色を「残して」描く水彩は、色をのせすぎてしまえばすぐ汚くなってしまいますし、逆に手を加えなくてもそこだけ抜け落ちたままの状態になってしまいます。そのどちらかに寄ってしまっている場合をよく見かけるのですが、晴香の絵はこんなに美しく白色を使い分け、絵の中に「白色」として馴染ませています!素晴らしい観察眼、そして表現力に脱帽です。
次になっちゃんの描いた猫の絵。いろんな種類の猫が大集合!最近猫にはまった様子のなっちゃんは、「とにかく猫がかきたい!」という主張の元、この絵を描き始めました。アトリエに置いてある猫の雑誌を見ながら、それぞれ毛の色や表情を観察しながら描きおこしていきました。猫に詳しい方は、どれがどんな種類の猫か分かってしまうのではないでしょうか。とにかく数というのは、それだけで人を圧倒するものがあります。「飽きた」なんて言葉を零すことも無く、楽しげに雑誌をめくって一匹一匹大事に書き連ねているなっちゃんの姿は愛に溢れていました。
そして最後に、こよなく猫を愛するちいちゃん作品です。こちらは生徒展覧会に出品したので、ご覧になった方もいっらっしゃるのではないでしょうか。題名は『ライバル』。仲睦まじい二匹と、それを恨めしい顔で後ろから見守る1匹の図・・・だと思っていたのですが、ラストにつけたタイトルを聞いて、見えてくる状況が一変しました。相手に睨みをきかせながら牽制しあう2匹と、不安げに見守るお嬢さん、といったところでしょうか。「私のために争わないで…」という台詞まで聞こえてくるようです。こちらも写真を見ながら描いたものなのですが、ちいちゃんの目にはそんな風に見えていたのかぁ、と発想の豊かさに感動した作品です。タイトルも作品における重要な要素のひとつである、ということがよくわかる1枚ですね。
三者三様、どれもまったくちがう魅力のある作品ですが、全てに共通して言えることはモチーフへの「愛情」だと思います。3枚の作品の中にはどれも人物は登場しませんが、それでもどこかしら観察者の息吹のようなもの、「それを愛しいと感じている作者の目」を感じとることが出来るのです。ペット、人物、大切にしている物など、作者が自分の愛するものをモチーフとして選ぶことはよくあることだと思いますが、見ている側にまでそれが伝わってくる絵というのは、得てして「作者の目線」を切り取ることが出来た作品だと私は思います。動物が好き!猫が好き!絵から「愛しい」が滲み出てくるような作品を、是非目指してみて下さいね。