モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

画材が変わっても変わらない魅力

2013-02-10 06:53:00 | 大人 デッサン
Hanzawaneko1 半澤
左 / アクリル・水彩・顔彩・マジック
中央 / 鉛筆
右 / アクリル・水彩・顔彩・色鉛筆・マジック

酒井です。本日は学生・大人クラスから、半澤さんの作品を3枚ご紹介致します!どれの全く違った経緯で描かれているので、簡単に背景を説明させて頂きます。

まずは一番左側、写真を見て描かれた作品です。にこやかに手を伸ばす女性と、ツンと澄ました猫の表情が対照的な一枚。シックな色づかいがお洒落です。次に中央、大人クラス全員で同じモチーフを囲んだ時に描いたものです。こちらの作品、特に注目して見て頂きたいのは右下のサイン。背景に敷いた英字新聞のアルファベットの中から、「MASATO」の6文字を抽出してあります。この絶妙なセンスがこの作品をただの習作ではなく一枚の作品として完成させていると感じます。最後に一番右側。こちらは2枚目と同様、学生クラス全員で同じモチーフを描いたもの。デッサンというよりは、周りにいる人達の隙間からモチーフを描いた風景画に近いかもしれません。降り注ぐ会話の応酬、鉛筆の音まで再現してあるかのようです。

真人君の絵の持つ大きな魅力は、塗りムラの美しさではないかと思います。鉛筆でも絵具でも、濃さが上手くコントロール出来ずに「ムラ」が出来てしまって困った経験はありませんか?水彩などではそれが上手く味になる場合もありますが、デッサンなどで鉛筆の跡が残ってしまってどうにも滑らかな面にならない、といった声はよく聞きます。ところが真人君の作品は、その塗りムラこそが絵に大きな効果を与えています。特に真ん中のデッサンなど、鉛筆の色が重なった部分にだけ出来る波のような模様がとても美しく、モノクロだと思えないほど豊かな色彩を見せてくれます。「塗りムラ」のコントロールは、単調な画面を豊かにするヒントかもしれませんね。 

そしてもうひとつ、細部への気遣い。一見しただけではわかりませんが、近くでよ~く目を凝らすと細かい描き込みの量に驚かされます。1枚目の猫の毛並みや床、3枚目の背景の色鉛筆の部分など、ビッシリと細かい線が描きこまれているのがわかります。その労力を考えるとため息すら出てきますが、一本たりとも「適当に描いた線」は見つかりません。また3枚目の作品では、イーゼルの縁に虫がとまっていたり、手前の人のイーゼルに眼鏡ケースが置いてあったり、細かいところに遊び心が沢山つまっていて、じっくり見るたび新しい発見をさせてくれます。細部だけを詰め込んで成立しているようで、全体として調和のとれた画面になるよう緻密な計算された画面。まるで描き始める前から完成が見えているかのような作品たち。こうしてタイプの違う作品が何枚か並んでいると圧巻です。皆さんも今まで描いた作品を、ズラッと並べてみてはいかがでしょうか。自分の特色、画材による違いが見えてきて面白いと思いますよ!



コメント
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