
佐々木 透明水彩
酒井です。先日どじょう鍋を食べてきました。案外ウナギっぽい味でした。さて今日は、日曜クラス佐々木さんの水彩画を紹介致します!
穏やかで物静かな大人の男性、といった印象の佐々木さん。もう何枚もご自分の息子さんを水彩で描いています。展覧会に出した作品を反響も呼び、個人的なメッセージが届くほど!今回の作品は、息子さんとその従妹、二人が野原で遊んでいる風景です。「犯人はお前だ!」とでも言うように凛々しく前を指さす男の子と、大勢を低く保った女の子。一体全体なにをして遊んでいるところなのか、これから何が始まるのか、とても気になるところですが、二人とも見据える先は同じ。視線の先を感じさせるような、遊び心のある構図です。二人ともなかなかに難しい姿勢ですが、体のバランスと重心がしっかりと描かれているので安心感を持って見ることが出来ますね。
また、手前の人物と奥の風景、描きこむべき場所の取捨選択がとても正確で距離感がわかりやすい画面になっています。人物のくっきり感と足元の草原の書き込みは非常に繊細で、左側から降り注ぐ光の柔らかさも丹念に描かれているのに対して、背景の色はスッと風に流されていくような爽やさを持ったミントグリーン。背景にはあえて色を使いすぎなかったことで、水彩を使う人なら誰でも憧れるような透明感のある作品に仕上がりました。
見えるものを見えるように描く、ということと同様、もしくはそれ以上に難しいのが「描かない」という行為です。「描きすぎ」に悩む方も結構多いのでは?目に映るものを見えるように素直に描くことは、時間と根気さえあるば出来る人が沢山いると思います。ところが、見えているのに描かない。これは情報を全て受け入れるのではなく自分で取捨選択することなので、かなりエネルギーが必要なことです。今回の佐々木さんの作品は、作者の取捨選択がとてもわかりやすく見える絵ですので是非じっくり見てみてくださいね。
特に透明水彩は、重ねれば重ねるほど色が濁ってしまう画材。出来ることなら少ない手数で綺麗なままの色を残したいところです。細密描写がなかなか得意だ、という方こそ「どこを描かないか」を考えることをお奨めしますよ!