モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

配色の力

2013-04-22 05:43:00 | 大人 水彩
20130422秦野 水彩

どうも幸介です。酒井先生はドジョウですが、僕は先日ワニとピラニアを食べました。両方とも淡白だったのでマヨネーズをつけて食べました。無人島にひとつ持ってくならマヨネーズで即決だな、と学びました。

さて、本日ご紹介するのは秦野さんの水彩画。多くの水彩を制作されていますので、秦野さんの作品をご覧になった事のある方も多いかと思います。その確かなデッサン力を元に描かれる水彩は、透明感や実在感などの「空間」の把握に長けています。デッサンの練習を重ねている学生にも参考にしてもらいたい!!そんな秦野さんの作品です。

今回の作品は、ブルーのグラスにきらびやかなベネチアンマスク。水彩でキラキラしたものを描くのは至難の技…というか画材的に向いてない様にすら思えますが、そこは秦野さんはデッサン力でカバーしています!!そして背景の黄色。これは難しい配色です。しかしこれが素晴らしい。黄色は膨張色ですので、背景に使用すると息苦しかったり絵全体が生温くなってしまうところです。しかし秦野さんの今回の作品の場合、マスクの羽の部分と上手く調和している様に思います。黄色の軽い印象で、黒を多用して重たくなってしまいがちなモチーフに軽さを持たせていますね。これで背景が寒色だったら、ベネチアンマスクの軽さは描けなかったのではないでしょうか。

さらにマスク自体の細かな装飾に、どうしてもコントラストの強く、且つ細かな筆を入れなければなりません。しかし色彩の優しい水彩画では、そんな筆を入れたら悪目立ちしてしまいますよね。しかし筆を入れなければやっぱり描けない。そこで背景に装飾と同系色を持ってくる。この効果により、必要以上に装飾部分が目立たず、調和しております。

マスク裏のリボンの処理も、おそらく肉眼ではハッキリ見えあろう箇所を、「見た目」よりも「印象」に重きを置いて、力を抜いて描いています。そしてグラスの透明感は言わずもがな。秦野さんがこの作品を制作している間に、こちらのミスでこのモチーフが破損してしまったんですが、そんなハプニングをものともしない男らしさも感じました!!

ということで、秦野さんの学生にも参考にしてもらいたい水彩。いつも教室の端の方でコンパクトに荷物をまとめて制作して下さってますが、学生のいるクラスで制作される日もあるのですから、そういう日はドドンと真ん中で皆に見える様に制作していただきたい!!なんて思ったのでした。

田中幸介

コメント
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