
外は日に日に夏が近づいてきているようですが、今日は少し季節を逆行する気分で、水曜クラス矢作さんの作品をご紹介致します。
雪景色の中を走る汽車。紅葉した木々と白色との対比がとても美しい一枚です。色とりどりの紅葉の色。特にピンクを入れたことで、より多彩な印象が際立ちました。雪を描いた作品は得てしてそうだと思うのですが、白以外にどんな色を使って「雪」を表現するのかが悩みどころ。初雪の白、春先の白、一口に雪と言っても全く違います。今回の場合矢作さんは紅葉との対比をよく見せるため、薄紫や水色などの寒色系で影の色を入れました。また、汽車の煙と雪の白との違いを描くのにもかなり苦戦されていましたが、煙の方の白にもくもくと影を多めに入れ、木々の色が透けるように少しオレンジや黄色を入れることで差をつけました。
「歳をとっても変わらず、美しいものはきちんと美しいと感じられる。」というご本人の言葉の通り、矢作さんの作品は「いいな」と思ったものが感じたまま素直に表現されているように感じます。私は神奈川生まれの神奈川育ちですので大規模な降雪にあった経験に乏しく、雪景色というものにはひっそりと憧れを抱いています。そんなちょっぴりの憧れと冒険心を刺激されるような、ポジティブなエネルギーが絵から溢れてくるようです。この作品が必要以上の寒々しさや物悲しさを感じさせないのは、それが原因かもしれませんね。どこかぬくもりを感じる雪景色。矢作さんにしか描けない大作です。
次は何を描こうかな~と悩んでいる皆さん。暑い日差しの中、冬を感じさせる作品を描くというというのも、こたつでアイスを食べるようでなかなか乙なものかもしれませんよ! 酒井