どうもです、岩田です。
今回は土曜クラス、男性お二人のデッサンです。
午前クラスからは殿山さん。静物を主体にデッサンを描き続けてきました。こちらはミオスのモチーフの中でも難易度の高いランタン。しかしながら慎重に形体を追いながらじっくりと攻めていく殿山さんにとっては格好のモチーフだったでしょう。
この描き手心を誘う古びた質感を湛えながらも、その思いに反するがごとく幾重にも重なる大小の楕円。一度は描いてはみたいが途中で挫折してしまうかもと思わせる中々憎いモチーフですが如何でしょうこの佇まい。やや曇りがちなガラスの表情も含め見事なまでに描き切っていますね。
鉛筆という描画材にもかかわらずここまで自然に、しかもこの錆びかかった緑の金属色をあたかも感じさせるようなレベルの高い作品に仕上げられたのは、殿山さんの徹底した観察眼があるからこそです。
午後クラスの當山さんもデッサンが大好きな方です。近頃は木炭デッサンを続けて描いていらっしゃいますが今回の石膏はジョルジョ。
納得がいかないと何度も何度も描いては消してを繰り返す當山さん。このデッサンも幾度頭部の造作を修正したことでしょう。
特にこの石膏は左右の目の大きさや形状が微妙に異なっているので捉えるのが難しいのですね。尚且つ、細やかな髪の毛の表情が複雑に作り込まれています。
特に木炭という描画材は大きく色を付けたり取ったりとということには適しているのですが細かい表情はどちらかというと捉えにくいものです。ところが當山さんの魅力はそういった既成概念に囚われないところなのです。
こちらのデッサンを見ても分かりますが全体の調子を大きく捉えつつ細部にも抜かりが無い。そんなに多くの枚数を重ねている訳ではないのにここまでしっかり描くことが出来るのは當山さんが有する描画材への柔軟な姿勢故でしょう。
両氏があらたにチャレンジしている新作にも期待しています。