モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

ピントをあわせて

2022-09-15 22:06:20 | 大人 パステル・色鉛筆・他


近藤 色鉛筆

電車で寝過ごすことが増えてきました。マユカです!今回は近藤さんの作品をご紹介します。

丸々と実ったブルーベリーの、ぱちんと弾けるような食感まで伝わってくるようなこちらの1枚。デッサンが終わって初めての着彩を色鉛筆でやりましたので、密度を上げるのに苦労されましたが、コツコツ描かれる方なので、見事にやり切っています。色鉛筆での着彩は、画用紙の目がぼそぼそと残ってしまうことが多く、質感を表現するのが難しいと感じていますが、実りたての少し曇ったツヤを感じられる、瑞々しいブルーベリーがお見事ですね。よく見ると、左の方に成長途中のブルーベリーの赤ちゃんがいます。こういった所の遊び心は、見つけたときに「あっ!」と、うれしい気持ちになりますね。

背景こそありませんが、かなり多くの葉が描かれています。その中でメインモチーフでもあるブルーベリーがとても見やすく、どうしても目が行ってしまう理由は、そのピントの合わせ方です。ブルーベリーを支えている茎を見ていただけると分かるかと思います。まるで一眼レフのカメラで撮ったかのように、中心のブルーベリーとその茎に、しっかりとピントが合って見えますよね。周囲の葉は薄めのグリーン、葉脈や奥にある葉についた影はしっかりと描きつつ、ふんわりと空気に溶け込むようなタッチで描かれているため、しっかりと描きこまれたブルーベリーとの対比が、写真のような遠近感を生み出していますね。

手前にあるものはしっかりと描きこみ、濃く色を付けると、ぐっと手前に出て見えるというのは、デッサンでも共通して言えるのですが、これはデッサンに限らず、様々な作品に活かすことが出来ます。また、手前でなくとも、目立たせたい場所や、一番見てもらいたい場所にも使えます。
描きこみの緩急をうまく扱うことで、見る人の視線を思った通りの所に誘導させることが出来ますので、皆さんも今後作品を作るうえで、ピントを合わせたい場所を考えて描いてみると良いかもしれません。

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気配の表現

2022-09-14 23:54:31 | 大人 水彩


殿山 透明水彩

夜は窓を開けて過ごせるようになりましたね、ナツメです。本日は土曜午前クラスの殿山さんの作品をご紹介します!いつも透明水彩の作品を描かれていますが、今回は街の風景を選ばれました。

街中を照らす夏の強い日差しが印象的です。日の当たった地面の明るさと重なり合う葉が落とす陰の暗さとの強いコントラストが、日差しの強さだけでなくじりじりとした暑さまで感じさせます。近頃少し涼しくなってきたのでこんな日差しもなんだか懐かしく感じますね。

デッサンのパースはもちろんですが、手前のお店にはほぼ真っ白に近いような明るさを置き、そこから奥へ行くに従って彩度と明度差を落としているため、開けている路の距離感へと繋がっています!遠近感の表現に関して、もう一つの注目ポイントは地面です。人間の目が明るさを追う習性を利用して、暗い明るい暗い明るいと地面に影と影のない場所を交互に作るという技法があります。そうすることで目がどんどん次の明るさを追っていくため空間がより広く見えるという仕組みで、ジブリの背景美術などでも使われているそうです。

また、看板の図柄や店の窓に貼ってあるポスターに至るまで、ずっと眺めていたくなるほど非常によく観察して描かれています。絵の雰囲気を邪魔しないよう緻密にしすぎない絶妙なラインに止めており、人気のない風景ながらもここで生活している人が背景に感じられます。ここまで細部を描いているのに対して歩いている男性の描写は色分け程度の最低限に抑えてあるのにお気付きでしょうか。影などの描き込みをほとんどしないことで、物理的な人間として描くのではなく、存在感を形にするような表現としてされているようにも思えます。

風景を描くときはその場の空気が伝わると良いのはもちろんですが、今回の殿山さんの作品は、描かれていなくても別の時間帯の様子までわかる、気配が見え隠れしているような表現へと一歩踏み出している様に感じます。

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夏の思い出に

2022-09-13 23:58:29 | 学生


舞 中1 油彩

やっと夏に適応できたかと思ったらもう秋で寒さすら感じています、ホノカです。
今回はそんな夏を思い返すような、舞の油絵のご紹介です!
真っ白な雲が浮かぶ鮮やかな空と、一面に広がるひまわり畑。爽やかな夏らしさが詰まった、フレッシュな作品ですね!正方形のキャンバスに描かれていることで、景色を切り取ったようにも見えてきます。

この爽やかさにはやはり、ひまわり畑が欠かせません。ですが、花一輪ごとに全て主張してしまうと、どうしてもくどい印象になってしまいます。そのため、彼女の作品では手前の数点にポイントを絞り、輪郭がくっきり描かれていることで、大群であってもさっぱりと感じます。
また、葉にも目を向けてみると、手前側は青々とした緑色の大きな葉、奥側はそれよりも明るい黄緑と差をつけています。まず手前側は、ひまわりと葉で色をはっきりと分けて描くことで、前後感などの立体的な空間が生まれます。そして奥側に向かうにつれ、ひまわりと葉の中間の色が増えることで、遠景のぼんやりした見え方が表現されていますね。夏は特に陽炎で遠くの景色がぼやけて見えることがあるので、今回のモチーフにもマッチした描き方だと思います。
そしてそんな夏らしいひまわりを引き立てる空も色選びが素敵です。夏の空は高いと言いますが、水平線に近い方は明るい水色が用いられ、上に行くほどに少し紫が入った青にグラデーションしていることで、空が奥に広がっているように感じられます。少し霞んだ雲も、空の広がりに一役買っていますね。

彼女はこの作品が初の油絵ということで、途中では何度描いても形が崩れてしまい、全てが曖昧になってしまった時もあり、苦労が絶えませんでした。ですが、植物の細かく変化する色や空のグラデーションなど、油絵らしい作品が完成したのではないでしょうか?季節はもう立秋を過ぎてしまいましたが、ぜひ今年の夏の思い出の一つにしてあげてくださいね!

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年少対象・小学校受験クラス募集中

2022-09-12 23:41:37 | 小学校受験

10月5日(水)に【年少対象ーキッズ小学校受験クラス】の体験授業を開講します。
毎回の授業で絵画と制作を交互にカリキュラムを組み、年少さんのうちから慌てず無理なくクレヨンやハサミなど基本的な道具の使い方、塗る・切る・貼るといった巧緻性につながる部分の基礎力を身に付けるような指導を繰り返していきます。お母様が隣についての制作ですので、初めての習い事でも安心です。フォローをしてもらいながら、絵を描く楽しさ・物を作る面白さを感じていきましょう。
また毎回授業で生き物の描き方を1匹ずつ練習します。全18回の授業で描いた生き物が全て揃えば、オリジナル生き物図鑑が完成します。
お問合せやお申込みはメールで承ります。<mios@ace.ocn.ne.jp>

【キッズ受験クラス】 体験日10月5日(水)
期   間 : 年少10月~年少3月まで(年中児も受講可能)
年内授業日 :10月の授業日 10月5日、12日、19日 11月の授業日 10月26日、11月2日、9日 12月の授業日 11月16日、30日、12月7日
曜日&時間 : 水曜日 14:00~14:50(月3回)
入 会 金 : 22,000円(消費税込‐以下全て)
受 講 料 : 9,900円 / 月
テ キ ス ト  :18,000円(入会時のみ徴収)
体 験 料 : 3,300円
定      員 : 10名(親子参加の為20名が受講)

※年度内(3ヶ月)の授業は12月7日(水)までの9回行います。(11月23日お休み)
※授業は水曜1クラスのみですので、欠席の際の振替授業はできません。補講を希望される場合、月に1回まで7,700円の割引料金でプライベートレッスンを受講できます。
※定員に達しなかった場合、途中入会を受付けます。月謝を日割り計算させて頂きます。
※材料・道具はこちらで全て用意致します。作品を持ち帰る為の袋(エコバックのようなもので大丈夫です)だけお持ちください。
※土足入室可能ですので、上履きは不要です。
※スモックは暑がることもありますので、お洗濯が簡単な服装でご参加ください。(先輩の皆様も親子共にお気軽な服装でいらして頂いています。)

年少さんの内から簡単な制作で成功体験を増やし、楽しいな!⇒もっとやってみたい!⇒上手になりたい!と気持ちの中に意欲が湧いてくると、お子様の方から積極的に取り組んできます。工作に必要な道具の使い方や材料の扱い方を学ぶスタートラインで、最初に「楽しい!」という気持ちが芽生えれば、その後で技術面はどんどん発展させていくことができます。キッズ小学校受験クラスの授業では、このスタートラインを大事にします。

たとえ思ったように出来なくて失敗しても、「ここは上手にできたね!」とできた箇所を褒めたり、「今度はどうやったらいいかな?」と親御様と一緒に手を動かして試行錯誤する経験の積み重ねが、必ず自信へと繋がっていきます。レッスンでは、ワクワクしながら取り組んでいけるように、サポートしていきたいと思っています。

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アクションペインティングのような下地を活かして。

2022-09-10 20:24:39 | 大人 デッサン


左 木村 / 右上 渥美 / 下 加藤 ー墨・カラメル色素・金泥・木炭・パステル・コンテ

岩田です。

以前、ゼミで墨汁やカラメル色素などを使って、スパッタリングやドリッピング、つまり液体を筆で垂らしたり、勢いよく筆で絵の具を飛ばしたりして遊んだ紙を下地として、鹿の骨や牛骨を描いた作品を3つ並べました。

下地として使った画材は同じですが、結果的に仕上がりに皆ちょっとづつ違いが見受けられます。とはいえ、3つとも2時間で描いているにも関わらずクオリティが高く、魅力的な絵になっています。
いつもは白い紙に黒い鉛筆で描いていくけれど、今回のような作品は、中間のトーンを作ってから黒い炭や白いチャコペン等で描いていくので通常のデッサンより時間短縮ができる上に完成度も高く見えるのです。

例えば渥美さんの作品を見ると、2時間で描いた以上に完成度が上がって見えるでしょう。
白から黒までのトーンが綺麗な上、下地が牛骨の明暗に丁度良く当てはまっています。スパッタリングでできたしぶきを上手に活かしていてカッコいいです。

加藤さんは、下地の上に主に墨で描いているので、どちらかというとラフな感じ。更に木炭によるハッチングも使っていますが、敢えてそのように着地させているのです。普段は、かなり突っ込んで描ける方なので、今までにないザクっとした仕上がりは、ご自身にとっても新鮮だったと思います。

木村さんは鹿骨を画面の中心に据えて描いている故に、どこかモチーフが象徴的、もしくは絵自体が宗教的な雰囲気を醸し出しているのが面白いところ。
細部を見てみると、鼻先に使っているちょっとしたチョークの使い方など上手いなあと思うところがありつつ、背景のコントラストがきついので、鹿骨が目立たないという点もあります。とはいえ、木村さんにとってもこういう描き方は初めてだと思うので、そのワクワクドキドキ感が伝わってくるようです。

所謂グレーデッサンと云われるものは、古くはダビンチなども描いていますね。
皆さんも画材屋でミューズコットン紙のような中間色の紙を買ってきて、今回のような描き方に是非チャレンジしてみて下さい!

映像で更に分かり易く解説しています。ユーチューブはこちら

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足がいっぱい

2022-09-09 19:57:48 | 幼児

大竹です。幼児クラスでは、アルミホイルと紙粘土を使った工作に取り組みました!今回はカマキリ型のカラフルなモンスターを作りました。

まずはアルミホイルで芯を作っていきます。身体の中の骨を作る様に形を整え、そこに紙粘土で肉付けをしていきます。粘土がアルミホイルの隙間に入り込む様、ギュッと握りながらアルミホイルが見えなくなるまで覆っていきます。足の形も虫らしくなる様に山折にしたり、カラー粘土で大きな目や身体の模様を作っていきました。同じ材料に同じ作り方をしていても、作者によって強そうに見えたり優しそうに見えたりと、個性が出てくるのが面白いですね。並べてみると、虫が苦手な人はゾワゾワしそうな程足がいっぱいです。

実は当初は恐竜を作る予定でしたが、当日に伊藤先生がご自宅の前で捕獲した大きなカマキリをみんなに見せようと持ってきてくれていて、それを見た子供達の心はすっかりカマキリに奪われてしまいました笑 「カマキリを作りたい!」と子供達の熱い要望により、急遽恐竜からカマキリ作りに変更となりました。
カマキリの細いフォルムを紙粘土で表現するのは困難でしたが、飾り付けをしたり目玉をくっ付けたりしていく内に、カマキリには見えないけど(どっちかというとクモ?)なんだか可愛らしいモンスターになってきたので、これはこれで良し!笑 ライブ感のある制作風景でした。

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命を感じる!小学生油絵

2022-09-08 22:02:15 | 小学生 絵画


夏希 / 宗一郎 / 舜人  3人とも2年生

朝にめちゃめちゃ弱いマユカです!毎朝まぶたが重い…。
月曜日に小原先生がYouTubeの動画で小学生の油絵を紹介していましたが、今日は写真でのご紹介です。それというのも、夏休みの自由研究等で提出するため、8月半ばにサインを入れたら乾かさずに持ち帰ってしまった子が多かった為です。
中にはサインを入れる時間もなく未完成で持って行ってしまった子もおり、そのような作品は写真すら撮影できず、130人の油絵全てをお披露目できずとても残念です…。
でも、気を取り直して、写真左の夏希からご紹介します!

夏希の油絵は恐竜、手前にいるのはティラノサウルスでしょうか。どっしりと構えるその姿には王者のような風格を感じます。のし、のしと音を立てて歩いている風景が見えてくるようです。木の葉の下の方は暗い色、上に行くほど明るく描いているため、立体感がちゃんと出ています。
緑の多い風景の中で、同じように渋い色合いの恐竜ですが、背景に埋もれずくっきりと見えてくるのは夏希の色使いが上手いからでしょう。明るい色の近くには暗めの色、暗めの色の近くには明るい色…と、交互になるように描かれています。恐竜のお腹の赤が目を引き、青系統の色でまとまった画面のアクセントになっていますね。メインの恐竜を2匹も描くのは大変そうでしたが、最後までしっかり描き上げました!

宗一郎はサーベルタイガーを描いています。牙をむき出し、獲物に飛びかかろうとしているその姿は、弱肉強食の世界で生き残ろうとする強さを感じます。毛並みの黄色は、茶色や黄土色、緑色を混ぜたりと、周囲の色を映しているかのように複雑に重なり合っており、まるでそこにいるかのような空気間を作り出しています。前足や首元、わき腹にある模様も、毛並みに沿って描いている所から、宗一郎がしっかりと観察して描いたのが分かります!
実は宗一郎が持ってきた写真には図鑑の切り抜きのような、ちょこちょことした寂しい植物しか載っていませんでした。少量の植物から、広大なジャングルをも想起させる緑あふれる背景にしたことで、サーベルタイガーのシルエットがはっきりとし、まるでこちらに走ってきているかのような、迫力のある躍動感が生まれていますね!

舜人はシャチ。真っ黒で大きな体の表現が、本当によく描けています。体に反射する海の色を紫で描いていたり、背中の水気を含んだ光沢などの表現には「本当に2年生?!」と驚いてしまいました。海の水の色の重なりも美しく、まるでオパールのように様々な色が見えます。この光沢や海の反射にも、様々な色を使っており、白い所には黄色を混ぜたり、海には明るいエメラルドグリーンが入っていたり…。とても美しいため、ぜひ実物を見てほしいくらいです。
このシャチは鳥(ペンギン?)を口にくわえています。水しぶきを上げながら、ザバァっと海から出てくるシャチ。いきなり現れたシャチに、素早い鳥も反応が出来なかったのでしょう。恐ろしさすら感じるシチュエーションですが、舜人の元気いっぱいな性格を通じてポップな画面に仕上がっています。食べようとして鳥を捕まえたのではなく、じゃれて遊んでいるようにも見えてくる…かも?!

今回ご紹介したこどもたちの描く生き物には命の荒々しさを感じました。何とも言えない迫力があり、写真をそのまま写し取るのではなく、自分が感じとったものを写し取って描いているため、大人には絶対に真似ができない魅力があります。子どもの絵は子どもの時にしか描けません。今回描いた油絵、大切にしてあげてくださいね!!

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四季百景?

2022-09-07 23:50:03 | 大人 水彩


釘宮 透明水彩

夏休みが終わってしまいました、ナツメです。今日は日曜大人クラスの釘宮さんの水彩画を2点ご紹介します!

季節に合わせて風景を選ばれてますが、今回はどちらも植物がメインになっていて湿度を感じるような場所を描かれました。

まず左の閑静な空気が伝わってくる水車小屋の絵。前回の絵の時に「緑の研究をされているみたいです!」とブログでお話ししたのですが、ここまで来るともはや専門家ですね!鬱蒼と木々の生い茂る中に建っている水車小屋のひっそりとした佇まいが素晴らしいです!

自然に生えている木々に対して小屋の線をシャープに引いているため、画面全体での大まかな色数が少ないながらも目を惹きます。緻密に描かれた水車にもぐっと暗い色を入れているため、優しく差し込む光がとても綺麗に見えます。

そして右の作品はたっぷりと咲いた紫陽花が見事です。左の絵とは打って変わって彩度の高い鮮やかな色が目立ちますね。特に紫陽花の様な大きめの葉がこれだけ密集しているところを描くのは難しかったと思いますが、茎を対比させるように濃く・真っ直ぐ描くことで、薄い葉の重なりも見事に表現されました。花もさることながら、周りの石なども緻密に書かれています。また、奥の木々や小屋をぼんやりと抑えて描いているため遠近感も出ていますね!

はじめにどちらも植物メインの画面、と描きましたが、水車小屋は明暗を意識した絵なのに対して紫陽花の絵は色に重きを置いているような、全く別の印象を受けます。どちらも使いこなせるならもう怖いものなし、最強ですね!絵が12枚になったらカレンダーなどを作ってみても面白そうです。(というより私が欲しいだけですが…)いつか四季百景のようになるのでしょうか、楽しみにしています!

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意外に大人っぽい?

2022-09-06 21:01:31 | 学生


暁希 中1 『貝好き』 油彩

暑いからか未だに9月になった実感が無く、日付を見る度に戸惑っています、ホノカです。
今回ご紹介するのは学生クラスから暁希の油絵です。シンメトリー(左右対称)のような構図ですが、どことなくリズミカルな印象を受ける楽しい作品ですね。

シンメトリーの構図は一般的に宗教画などを連想させますが、こちらの作品では左右で形の違う貝、色の異なる敷布(フランスの国旗)、そして少し歪んだ吹きガラスの浮き球があることで、緊張の糸が抜かれたような暖かみのある印象に。背景も砂浜の様な黄色が用いられていることで、海に関連のあるモチーフですが、涼しいという印象よりも夏の海辺の少しジリッとした暑さも感じられます。
また、一つ一つのモチーフの描き込みも丁寧で良いですね。貝は布の色が反射してそれぞれに印象の異なるものになっています。巻き貝はよく見ると意外と複雑な形をしているので、描いていると混乱しがちな部分ですが、よく描き切っていると思います。ガラス製の浮き球も、反射や透明感など難しい部分も多いですが、端の辺りが暗かったり、蛍光灯の反射が少しずつ入っていたり細かく観察したことが伺えます。縄に光が反射している部分もよく捉えています。
色使いにも工夫した箇所がたくさん見えますね。同じ青でもガラス製の浮き球にはコバルトブルーなどの鮮やかな青を使い、布の青では少し紫がかったくすみのある色が使われていることで、材質の違いが表れています。また、浮き球の影は大きく、暗く、さらに浮き球自体の影の色も、布に落ちる影と近いことで透明感のあるガラスならではの影になりました。

小学生クラスの油絵を見ていると、性格が絵に現れるということを非常に感じるのですが、暁希の作品も例にもれずですね。小学生クラスの時よりも、数も難易度も上がったモチーフたちも描いちゃうけれど、どこか擦れた感じで、作品の制作中にもやる気の波があったのだろうというのが想像できます。ですが、その波も今だけの作品の魅力に繋がっているので、そのことを知っていて欲しいですね!油絵お疲れさま!

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小学生クラス油絵紹介第1弾

2022-09-05 23:14:58 | 小学生 絵画


上段左から 俊李 1年 / 美来 1年 / 英茉 1年 / 直希 2年
下段左から 奈那 1年 / 聡介 1年 / 陽太 1年 / 柚樹 2年

小学生の油絵、とうとう完成しました!
長い間130枚の油絵がアトリエの壁を圧迫しており、お仕事帰りにスーツで来られる大人クラスの方々には、絵具がついてしまわぬかドキドキの2ヶ月だったかと思います。ご迷惑をお掛けし、大変申し訳ございませんでした。完成をやさしい眼差しで見守って頂き、ありがとうございました!

当校自慢の小学生カリキュラム『油絵』ですが、2ヶ月掛けて制作するのでかなりクオリティーが高いです。 しつこいダメ出しと、激怒?におびえながら描いているとは思えない、豊かな表現力! 子どもは褒めて伸ばす?知ったこっちゃありません。 厳しく意地悪く怒鳴り散らして育てると、こんなにも成長するんです。

ユーチューブで45分間、しゃべりまくっています。長いし難しい話も出てきて、作者本人たちも耐えられないようですが、それも知ったこっちゃありません。どんなにぶん殴っても(ブンまでは殴らないけど)「結構あんた達のこと愛しているんだよー」というのが、伝わればいいです。YouTubeはこちら

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表現したい世界観によって

2022-09-03 22:04:45 | 大人 油絵・アクリル


加瀬 油彩

岩田です。今回は加瀬さんの作品をご紹介します。

こちらの作品、子供と柴犬が草原に座っている情景を描いたもの。
この絵だけでなく、加瀬さんがいつも大事にしているのは優しいイメージや柔らかい感じ、穏やかさといったもの。この作品を見てもそうしたことを受け取れると思います。

近くで見ると、子供の顔、犬の顔ってそんなにはっきり描いていないんですが、実は最初は今以上描きこんでいたんです。
というのも前述した柔らかさや優しさということを表現するにあたって、一度描いたものを敢えてぼやかしたんです。それに伴って背景も草原と木々の境界線なども更に曖昧にさせていきました。

主従関係、手前奥といったことを描き分けるということも大切ではありますが、作者の持っている世界観を表現するには敢えてこういう描き方をしたのも納得のいくところです。

更にピンクがかった空の色も、その意図に合っている。草原の色も初めに使っていたビリジアンを抑え、互いの色の当たりを柔らかくしているのです。

強い絵、柔らかい絵、作者が表現したい世界観によって、その仕上げ方も描き始める段階で意図できていると良いと思います。

ユーチューブでも詳しく解説しています。YouTubeはこちら

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その風景に入り込む

2022-09-02 20:25:56 | 大人 油絵・アクリル

綱島 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、綱島さんの油彩の作品です。こちらはご自身で撮った写真を元に制作されています。
一面に広がる花畑と、それらを照らす夕焼け、そして奥の道で犬の散歩をしている夫の姿が伺えます。これまで綱島さんは主に風景画を描かれてきましたが、夕焼けの風景は初めて拝見しました。
これから沈みゆく太陽のオレンジの光と、これからやってくる夜のブルーの対比がとても美しいですね。陽光のもっとも明るい黄色い油彩絵具の部分は、まるで輝いているかの様です。見た人の頭の中にある夕焼けの記憶を呼び起こし、どこか懐かしいような気持ちにさせてくれる空ですね。暖色と寒色が混じり合う夕焼けの空は、その美しさからよく風景画の題材として選ばれますが、色を濁らせないよう絵具を置いていくのは中々難しいものだったりします。
その空から視線を下ろすと、水平線が見え、森、そしてピンクの花畑が視界に広がります。空はフラットに仕上げている分、この細かく描き込まれた花畑が対比となり、画面にもメリハリが生まれていますね。一つ一つ筆の先で点描の様に描かれた花々は、その大きさも離れて見た時のバランスを考え、丁寧に調整されています。過去の作品を見ても分かる様に、綱島さんの作品は、こうした繊細で細やかな点描によって柔らかく優しい雰囲気が作られているのでしょう。奥へと続いていく花畑の風景に、まるで自分がそこに立っているかの様な錯覚さえ覚えます。絵に入り込むというのでしょうか、作者の思い出が込められた風景は、見る人をその記憶に誘う魅力があるのかもしれません。

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絵作りはテーマから

2022-09-01 20:23:06 | 学生


遼 中1 『貝とガラス浮き球』 油彩

ピザを作るゲームにドはまりしています。マユカです。今回は遼の油絵をご紹介します!

貝殻に浮き球、クワと、なんだか海を連想するモチーフで構成された一枚。巻貝に耳をつけると海のさざめきが聞こえてくると言われているように、手前の貝殻からは不思議と波の音が聞こえてきそうです。手前と奥の貝殻の描きこみ具合で遠近感も出ています。
貝特有の少しざらざらとした質感と、ガラスのツルツルした質感の描き分けもできており、光の向きが分かる陰影のおかげで、そこに存在しているかのようなリアリティが生まれていますね。結構形をとるのが難しそうなモチーフが並んでいますが、画面としっかり向き合い、真剣な様子で黙々と描いていました。

遼の油絵は夏らしいモチーフで統一されているせいか、一目でテーマがなんとなくわかり、画面全体にまとまりが出来ていますね。
遼が意図してこのモチーフを組んだかは分かりませんが、夏の間に描く油絵としては、とてもぴったりなモチーフ選び、テーマ設定だと思います。構図はもちろんですが、統一感のあるモチーフでまとめると、説得力がある画面作りができます。絵作りはテーマ決めから。デッサンでも、イラストでも、何かしらのテーマや目標があって完成すると、私は思っています。

様々な色で構成された元気いっぱいの小学生クラスの油絵を長く見ていたからか、落ち着いた上品な雰囲気の油絵に、なんだか癒されました。夏も終わりですが、是非お部屋に飾ってみてくださいね!

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