酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「北」テロ支援国家指定解除

2008-10-11 17:18:24 | Weblog
 八方ふさがりのブッシュ政権が唯一の遺産にと期待しているのが対北朝鮮政策の進展である。弱みに付け込む北は、攻勢一点張りだ。

 寧辺にある核施設の封印を解き、「再処理施設で核物質を用いた実験を再開する」と意気軒昂である。IAEAの要員を追い出しに掛かるなど、核施設施設再稼動へ向かって着々と歩を進めているようだ。


 米国が「検証手順の確認さえできれば、テロ支援国家指定を解除してもいい」と言い出したのは焦り以外の何物でもあるまい。検証手順を明らかにすることと、きちんとして検証が行われるかどうかは別問題である。ライスやヒルはそれを百も承知で指定解除へ突き進んでいる。


 ブッシュの指示とみて間違いなかろう。「何でもいいから北と合意しよう」ということである。テロ支援国家指定の解除をもって「重大な脅威が一つ遠のいた」とでもいうのだろう。

 ライスと中曽根外相が10日、電話で会談しテロ支援国家指定解除問題を話し合ったという。


 《ライス米国務長官は10日夜、中曽根弘文外相と電話で協議し、北朝鮮のテロ支援国家指定解除に向けた条件が整ってきたという米国側の見解を伝えた。日米外交筋が明らかにした。北朝鮮の核計画申告に対する検証手順について、米朝間で一定の合意ができたとの認識を米国側が示したことになる。これに対して中曽根外相は米国の検証案について「再確認すべき点がある」と指摘した。指定解除については慎重に行うべきだとする日本の立場を伝えたとみられる》=毎日電子版=


 拉致問題を抱える日本は、米国の検証案がいかなるものであれテロ支援国家指定解除に「イエス」というわけにはいかない。「確認すべき点がある」は、時間稼ぎだ。米国に抵抗する姿勢を示す狙いともいえる。


 ここまで書いて買い物に行っている間に、時事の速報が「FOXテレビをはじめ米国の複数メディアが11日に米国がテロ指定を解除する」と伝えてきた。中曽根はライスとの電話会談の後、「一日や二日の間に解除されるような話ではない」といっていたのではなかったか。


 米国としては外相に連絡済みということだ。ずいぶんとコケにされたものだこと。


 もっとも、テロ支援国家指定は米国の価値観で行われるものだ。日本がどうこう言う筋合いのものではない。勝手に「テロリスト」「ならず者国家」「テロ支援国家」などとレッテルを貼り、制裁を加える。気が変われば解除する。それがアメリカ流である。リビアやシリアへの接し方を見ればよく分かる。


 拉致問題を進展させるには、日本は独自の行動を取るしかない。2001年の日朝ピョンヤン宣言に立ち返って、相互の言い分を確認しあうことから始めるべきだろう。原則論で押していくことだ。ぐらつくのが一番良くない。麻生外交の真価が問われる局面である。
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