酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

あの三浦氏が首を吊るなんて

2008-10-12 05:34:17 | Weblog
 ロスに移送されていた三浦和義容疑者が留置場で首を吊って自殺した。着ていたTシャツを使ったという。


 《ロサンゼルス吉富裕倫】81年の米ロサンゼルス銃撃事件でロス市警に逮捕された元輸入雑貨販売会社社長、三浦和義容疑者(61)=日本では無罪確定=が10日午後9時45分(日本時間11日午後1時45分)ごろ、ロス市警本部の独居房でTシャツを首に巻き、自殺を図ったのを発見された。搬送先の病院で死亡が確認された》=毎日電子版=



 関係者や司法当局は一様に「驚いた」「信じられない」を連発している。表面だけ見ればそうなのだろうが、サイパンで拘束されて以降、テレビで見る三浦容疑者の表情にはある種の諦めがにじんでいた。実際はかなり疲れていたのではないか。


 自殺の動機は「もう面倒くさくなった」ということだろう。裁判を戦う気力が萎えてしまっていたのだ。勝っても負けても得るものはない。


 重要事件の容疑者を死亡させたことは、捜査当局の大失態である。いくら容疑者の自由を重視するアメリカとはいえ、監視が甘すぎた。前兆がないからといって、放任しておくのは間違いだ。容疑者は61歳、長期間の拘留で精神的に参っていると考えるべきだろう。


 これによってロス銃撃殺人事件は永遠の闇に閉ざされてしまった。残念である。


 支援者の中からは「「日米の両国家に殺された」「無罪判決が確定した日本人を見放した日本政府の責任は重大」などの声が上がっているという。そういう側面も否定はできない。だが、真実に迫るという観点からはどうだろう。共謀罪は一事不再議には当たらず、移送に法的問題はないと考えるほうが自然だ。


 審理の中では殺人に関する調べも行われる手はずだっただろうが、それもやむを得まい。事件が明らかにするとはそういうことだ。最高裁が無罪決定は「三浦がやったというには合理的疑いを挟む余地がある」といっているにすぎない。ようするに真っ白ではないということだ。確定事件が再審でひっくり返ることもある。


 ロスでの裁判はある意味再審のようなものだと思っていただけに、主役が亡くなったのは残念至極だ。三浦容疑者には出生のこととか、いろいろ話してもらいたかった。日本の事件史に残る人物が、こんな形で世を去るとは…。37年前の若々しい三浦容疑者が懐かしい。
コメント
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