経済危機への対応が満足に取れず、世界の批判を浴びたブッシュ米大統領がやおら、「拡大G8で危機対応を」などと言い出した。このレスポンスの悪さと方向感覚のなさはひどい。政権末期症状も極まれりというところか。
《ブッシュ米大統領は18日、欧州連合(EU)首脳と会談し、金融危機打開に向け、G8(主要8か国)を核に、中国、インドなど新興国を含む首脳会議を早期に開催することで合意した。11月4日の米大統領選を終えた後、上旬にもニューヨークで開く見通しだ。米国発の金融危機は新興・中小国にも波及して、世界の実体経済への悪影響が深刻になりつつある。首脳会議では米国型の「市場万能主義」が見直され、国際的な規制・監視体制を強化する方向で議論が進むとの見方が多い。
ブッシュ大統領とEU議長国のサルコジ仏大統領、欧州委員会のバローゾ委員長がワシントン郊外のキャンプデービッドで会談し、一致した》=読売電子版=
フランスとEUの代表を呼びつけての緊急会談。米国も一生懸命です、ということを印象付ける以外に何かあるのだろうか。「拡大G8」が開かれるのは来月の大統領選の後だという。次期大統領が決まった後でブッシュにどんな提案ができるというのだろう。通り一遍の指摘になるのは目に見えている。
大仕掛けの国際会議が結果を出せない。市場に失望感が広がる。こんな連鎖を引き起こすのが落ちではないか。それより目の前の事象に的確に対処することだ。シティーの救済をどうするのか。GMをはじめとする自動車業界は見捨てるのか。寒さに震えるテント生活者への支援策は。とりあえずはパンク修理に全力を注ぐべきだろう。できもしないことをいうのは不信感を増すだけだ。あと3ヶ月の大統領が、空手形を乱発していくのはマナー違反だ。
麻生首相は拡大G8やG20の開催にはやや慎重な立場のようだ。成果を上げる必要がある会合は、メンバーを限定したほうがいいという考えらしい。
《麻生太郎首相は18日、オーストラリアのラッド首相と約30分間、電話で協議した。ラッド首相は世界的な金融不安への対応策を話し合うため新興国を含めた 20カ国(G20)の枠組みでの緊急首脳会合の開催を提案。麻生首相は「首脳会合は我が国として主催する用意があるが、仮に我が国が主催する場合の招待国については今後の検討課題だ」と述べるにとどめた》=日経電子版=
このセンスは悪くない。利害の絡まりあう有力国が一堂に集まってもみ合うのがいまの段階でのベストとは思えない。日欧が米国に対して、「やることをやれ」と発破をかけ続けるのが一番だ。脅しの材料はいくらでも探せるだろう。
もっとも、麻生は首脳会合開催の時期によっては「もはや首相ではない」事態が考えうる。日米弱者同盟ですな。
《ブッシュ米大統領は18日、欧州連合(EU)首脳と会談し、金融危機打開に向け、G8(主要8か国)を核に、中国、インドなど新興国を含む首脳会議を早期に開催することで合意した。11月4日の米大統領選を終えた後、上旬にもニューヨークで開く見通しだ。米国発の金融危機は新興・中小国にも波及して、世界の実体経済への悪影響が深刻になりつつある。首脳会議では米国型の「市場万能主義」が見直され、国際的な規制・監視体制を強化する方向で議論が進むとの見方が多い。
ブッシュ大統領とEU議長国のサルコジ仏大統領、欧州委員会のバローゾ委員長がワシントン郊外のキャンプデービッドで会談し、一致した》=読売電子版=
フランスとEUの代表を呼びつけての緊急会談。米国も一生懸命です、ということを印象付ける以外に何かあるのだろうか。「拡大G8」が開かれるのは来月の大統領選の後だという。次期大統領が決まった後でブッシュにどんな提案ができるというのだろう。通り一遍の指摘になるのは目に見えている。
大仕掛けの国際会議が結果を出せない。市場に失望感が広がる。こんな連鎖を引き起こすのが落ちではないか。それより目の前の事象に的確に対処することだ。シティーの救済をどうするのか。GMをはじめとする自動車業界は見捨てるのか。寒さに震えるテント生活者への支援策は。とりあえずはパンク修理に全力を注ぐべきだろう。できもしないことをいうのは不信感を増すだけだ。あと3ヶ月の大統領が、空手形を乱発していくのはマナー違反だ。
麻生首相は拡大G8やG20の開催にはやや慎重な立場のようだ。成果を上げる必要がある会合は、メンバーを限定したほうがいいという考えらしい。
《麻生太郎首相は18日、オーストラリアのラッド首相と約30分間、電話で協議した。ラッド首相は世界的な金融不安への対応策を話し合うため新興国を含めた 20カ国(G20)の枠組みでの緊急首脳会合の開催を提案。麻生首相は「首脳会合は我が国として主催する用意があるが、仮に我が国が主催する場合の招待国については今後の検討課題だ」と述べるにとどめた》=日経電子版=
このセンスは悪くない。利害の絡まりあう有力国が一堂に集まってもみ合うのがいまの段階でのベストとは思えない。日欧が米国に対して、「やることをやれ」と発破をかけ続けるのが一番だ。脅しの材料はいくらでも探せるだろう。
もっとも、麻生は首脳会合開催の時期によっては「もはや首相ではない」事態が考えうる。日米弱者同盟ですな。