植物図鑑有川 浩角川書店(角川グループパブリッシング)このアイテムの詳細を見る |
「行き倒れてます。よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です。」
冬の終わりのある夜、さやかはこうして不覚にも樹を「拾った」
一宿一飯の恩義で樹が作った朝ごはんのおいしさに、さやかは涙した。一人暮らしのコンビニ飯で荒んでいた体にじんわりと滲み入るようだった。
こうして、胃袋をつかまれたさやかは樹に同居をもちかける。
樹は料理が得意なだけではなく、植物に詳しかった。時は春。
様々な山菜、植物が芽吹く。やがて週末の「狩り」が二人の楽しみになってゆく。名前しか知らないのに、さやかは樹にひかれてゆく。
図書館で予約が121人待ちって、一体どんな本だろうと思ったが、以外にも、“幸せは身近にあるささやかなこと”、と思わせてくれるものだった。
しかし、なおかつ、おばさんのもうなくしてしまったと思っていた『乙女心』を充分くすぐってくれるものだった。