連日流れる、ロシアによるウクライナ侵攻の悲惨なニュース。
そのニュース映像を見て、真っ先に思い出したのがこの本でした。ショーン・タンの「アライバル」。
息子が買ってきたもので、初版発行は2011年4月。東日本大震災から1か月ほど後のことで、写真の中の本の帯に書かれているように、「本読みの達人が3.11後に読む本」とあるけれど、
その時には考えもしなかったコロナ禍や戦争が起きている今こそ、手に取るべき本ではないかと思うのです。
実はこの本、息子が買ってきたときに1度読んだきりでした。
でもたった一度読んだだけで記憶に残るほど、強くて深いと、私は思っています。
正直、かなり重い内容だと思うし、最後は一応ハッピーエンドではあるものの、それは闇の中でようやく見つけたかすかな希望の光・・・と言ったところ。
読んだと書きましたが、この本の中身に言葉や文はありません。セピア調のワントーンで描かれた絵のみ。けれど、その絵がどんなに言葉を尽くしても不充分な様々な感情を抱かせます。
帯や表紙カバーには、この本に対する賛辞がたくさん載っていますが、そういった評価などなくてもいろいろな形で読んだひとの心に残る本なんじゃないかしらね。
今書店でこの本が並んでいるかどうかはわからないし、結構高価(税抜2500円くらい?)なものなので、買って読めとはとても言えないけれど、もし見かけたらぜひ手にとってもらいたい。
ウクライナの人々が、この本のエンディングの絵のように、穏やかな表情を浮かべることが出来る日が一日も早く来てもらいたいものです。