たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

DV・セクハラを考える <婦人保護事業、現場求める「新たな法整備」>と<記者の目 世界に広がる#MeToo>などを読みながらふと思う

2018-02-09 | 差別<人種、障がい、性差、格差など

180209 DV・セクハラを考える <婦人保護事業、現場求める「新たな法整備」>と<記者の目 世界に広がる#MeToo>などを読みながらふと思う

 

午後の打合せの前に、法テラスから電話があり、以前受けた案件についての照会でした。一瞬、名前を聞いて聞き覚えがあるものの、どうだったか忘れていて、ファイルを見ると2回相談を受け、法テラスでは3回無料相談できることを説明して、連絡を待っていたということがわかりました。本来は各相談ごとに相談票を法テラスに送ればいいのですが、依頼があった段階で一緒に送ろうと思って忘れていたため、法テラスから事件の進行具合について問い合わせがあったのです。

 

私もこれまで一つの案件で3回も無料相談を受けたことがなかったので、相談者の本気度も気になるところでした。

 

とはいえ、案件はDV事件で、ある意味、DV法に基づく対応が求められる事案でしたが、いろいろな事情があって、相談者が躊躇されていて、また、2度目の相談で事実関係を確認しているとDVの中身も曖昧さが残っていたため、慎重な判断が求められるかなと思っていました。

 

そういう前置きはこの程度にして、本題については、毎日朝刊に2つの記事があり、いずれも興味をそそられました。

 

ひとつはDV保護策に関連する<くらしナビ・ライフスタイル婦人保護事業、現場求める「新たな法整備」 時代に合った女性支援を>です。もう一つはセクハラに関連して世界中を席巻しているMeTooです。<記者の目世界に広がる#MeToo 小さな声を積み上げよう=中村かさね(統合デジタル取材センター)

 

前者の記事では、<DV(ドメスティックバイオレンス)、性虐待などの暴力被害や貧困、障害--。生きづらさを抱える女性を支える「婦人保護事業」について、支援現場から「現行制度ではニーズに対応しきれない」と新たな法整備を求める声が高まっている。事業は1956年に制定された売春防止法を根拠とするが、60年以上経てもほとんど骨格は見直されていない。課題を探った。【反橋希美】>と「婦人保護事業」の実体と課題に迫っています。

 

当該施設について、<関西地方にある婦人保護施設を訪ねた。静かな住宅街で幹線道路から奥まった場所にあり、一見してそうと分からない。>

 

<この施設には、社会的な自立に向けて中長期的に支援する「措置入所」のほか、DVなどの暴力被害者やその子どもの「一時保護」の二つの機能がある。>としつつ、

<この施設では、措置入所者の約9割が暴力被害者で、6割弱に何らかの障害がある。ただ定員に対する利用率は4割に満たず、施設長は「社会状況を見れば、支援を必要とする人はたくさんいるはずなのに届いていない」と訴える。>と課題の一つをあげています。

 

このような実態について<婦人保護施設は婦人保護事業の実施機関の一つで、現在39都道府県に47カ所ある。厚生労働省の2015年度の調査によると、措置入所の利用率の平均値は26%。婦人相談所だけに入所措置を決める権限が限定されている▽福祉窓口に存在が知られていない▽一部施設は老朽化しており使いにくい▽職員不足で、これ以上入所者を受け入れる余力がない--などの事情が指摘される。>

 

施設の保護機能が機能していないことが明らかとなっています。

 

ところで、上記の貧弱な実態の背景として、記事では根拠規定が売春防止法である点を指摘しています。

 

たしかに、この施設の法的根拠が売春防止法であり、それが内閣府男女共同参画局のホームページで、<配偶者からの暴力全般に関する相談窓口>として、<婦人相談所>も<婦人保護施設>も紹介されていますが、根拠法として売春防止法を明記しています。配偶者暴力防止法を一緒にあげていますが、この内閣府の感覚に異常さを通り越して、DVに対する差別意識ないしは誤った家族観が潜んでいるのではないかと、感じざるを得ないのです。

 

売春防止法が機能する社会的事実と、配偶者暴力防止法が機能する社会的事実は、大きく異なりますし、後者はあくまでプライベートな閉鎖的関係で受ける一方的な被害者であり、その保護です。それを同じ相談所、施設で取り扱うこと自体、到底、適切な対応とは言えないでしょう。

 

改正の動きがようやく動き出したようです。<全婦連は16年春、幅広い女性のニーズに合わせるための新法「女性自立支援法(仮称)」の骨子をまとめ、昨年3月には厚労省に婦人保護事業の抜本的見直しと新法整備を求める要望書を提出。>と。

 

また与党や厚労省も検討に入ったようですが、上記に内閣府のスタンスを見る限り、見通しが暗い状態です。それはなぜか、それこそその背景事情に食い込む必要があるでしょう。

 

私は、四半世紀前ころ、売春防止法違反事件をいくつか継続的に担当していました。いずれも組織的な団体による外国人が行うものでした。日本人女性の場合もあるでしょうけど、数としては当時でも少なかったように思います。その外国人はいずれも若く、農村から女衒のような人に売られてきた人ばかりでした。むろん自らの意思で売春を行っていたわけでなく、気の毒な人たちでした。彼女たちの保護は、それぞれの国がしっかり対応する必要があると思いますし、実際、強制送還となり、わが国の婦人保護施設に入所することはなかったです。毎日記事にもあるように、わが国の施設に入所する売春防止法対象者はわずかです。その施設利用の目的も異なるわけですから、一緒にすること自体、早期に解消・改善すべきでしょう。むろん売春防止法の施設利用自体、早急にやめるべきでしょう。

 

ここには女性に対する差別意識がなお、根強く残っていることが影響しているかもしれません。いやそうではないかと思うのです。(むろん女性が男性にDVすることはありますが、いくら草食男性が増えたとは言え、まだ割合的には希有というか少ないことは間違いないでしょう。)

 

それがわかりやすいのがセクハラの潜在的汎用性というか強固な実態でしょう。次の中村かさね記者の「記者の目」はセクハラの根強さ、それに異議を述べられない暗黙の社会秩序が少しだけ赤裸々になったといえるでしょう。

 

<#MeTooが米国で台頭した昨年10月、くしくもフリージャーナリストの伊藤詩織さん(28)が、元TBS記者から性暴力を受けたとして日本外国特派員協会で記者会見した。そこで彼女が口にした言葉が忘れられない。「自分の中で唯一クリアだったのはこれ(自分の体験)が真実であり、自分でそれにふたをしてしまったら、真実を伝える仕事であるジャーナリストとしてもう働けないと思った」>

 

伊藤さんのように発言しようと思うことさえ、意識できない、意識したとしてもためらい我慢するのが、わが国だけでなく、女性進出の先進地である欧米でも相当の程度であるわけですから、わが国においては、深刻な実態が隠れたままであると思われます。

 

実のところ、田舎で暮らしていると、ときどきそのような言動を見かけることがあります。知り合いであれば、後で注意しますが、ほとんどが無意識のうちに、加害者意識も、被害者意識も、薄れた状態で、行われているように思うのです。

 

私のところに相談に来る女性側は、たいてい、長い間その苦痛に耐えてきたというのです。ま、これは家庭内DVですが、それは職場や社会でも異なる男性から受けてもいるのです。

 

なぜ人は、ときとして人を差別して、支配者のように振る舞うのでしょうか。多くは普通の善人といわれ、信頼度も高い人ですが、ときに(あるいは一方で)そのような言動が行われているのです。

 

この問題は人間心理、あるいは社会構造なり、より丁寧な議論が必要だと思います。法的な制度だけでは解決できない問題ですが、法制度がその改善に向かって一歩も二歩も進める手段でもあるでしょう。

 

ところで、そんなことを考えて少しウェブ情報を検索していたら、見覚えのある名前にぶつかりました。どうやら研修所の同期でたぶん知っている人ではないかと思うのですが、卒業して長いので、判然としません。ともかく鋭い指摘をした論文を書かれていて、参考になりましたので、<「権利のための闘い-DV・セクハラをめぐる法と裁判」 小島妙子>を取りあげておきます。

 

小島さんの言葉の中で、とくに共感したのは次の部分です。セクハラ・DVについて<その本質は「いじめ」であり,「同一集団内(学校,職場,家庭,地域,社会等生活や活動の場を共有する人間の集合体)において,優 位にある者が劣位にある者に対して,主観的・客観的にかかわりなく,一方 的・一時的もしくは継続的に,身体的・精神的・社会的苦痛を与えるもの」 である。>

 

ま、そのほか、この分野では相当活躍されているようで(私が最近関わるようになったビギナーとはだいぶ違います)、蘊蓄のある指摘をされていて、参考になります。

 

そろそろ一時間が過ぎましたので、頃合いの良い時間となりました。また明日。


空海に学ぶ(7) <第七 覚心不生心>と<経常収支黒字・・・リーマン以来最高水準>などの経済動向を見て

2018-02-09 | 空海と高野山

180209 空海に学ぶ(7) <第七 覚心不生心>と<経常収支黒字・・・リーマン以来最高水準>などの経済動向を見て

 

空海の十住心論の第七は「覚心不生心」(かくしんふしょうしん)で、吉村氏は「中観の心」(ちゅうがん)と副題をつけています。

 

これもまたさらに難解ですので、そろそろ断念した方がいいよと言われているように思うのですが、ま、ここまできましたので、なんとか最後までわかないまま、たどり着きたいものです。とはいえ、ここでは割合?なじみ深い「般若心経」が中心テーマで論じられていて、だれもが知っている(いや言葉だけは目にしたり耳にしたりという程度で)「色即是空」「空即是色」が繰り返し語られています。仏教の本源でしょうか、そこからみた般若心経の評価をも言及されています。ま、この辺りは、私のような凡夫にはほとんど心に届きませんが、参考にはなります。

 

吉村氏は、最初に「目標を目指すという図式を乗り越える」という見出しで、上記の解説的なことを次のように書いています。現代訳だけ引用します。

 

「不生・不滅、不断・不常、不一・不異、不去・不来の八不によって戯論を断ち切り、膜想して空性を観じるならば、心の源は空寂であり、捉える形のない、安らぎの境地となる。」と。

 

それが上記の図式を乗り越える第七の心のようです。で、その後「特異な般若心経」「なぜ『般若心経』は特別視されるか」などとの見出しで、いろいろ仏教論を解説されていますが、ここは私が飛び越えます(わかった上ではなく危ういので)。

 

で、興味をもったのは「解放の境地を設定すること自体を乗り越える」という見出しの箇所で、次のように述べている部分です。

「対象をよいもの/悪いものと捉えることによって、欲しい/嫌だという気持ちが起こるのですから、実体視から解放されれば、煩悩は生じなくなり、抑える必要もなくなります。」と述べた上、さらに慎重な言い回しをしています。

 

「誤解してはいけないのは、生死即涅槃、とか、煩悩即菩提といった言葉は、単純な現実肯定とはわけが違うということです。それは、対象を捉えない深い膜想の境地で空を体験し、苦しみの真の原因である実体視から解放された時にわかる境地です。」

 

なんとなくイメージできそうで、結局、わかりませんが、上段との解説と後段の解説は一体的に理解しないと誤解することになるといったことはおぼろげながら半分(いや、ほんのちょっぴり)わかったような気がします。

 

一向にわからない「色即是空」「空即是色」ですが、好きな言葉であることは確かです。ところで、この世の中、新聞情報などで実体がわかったような数値・人や経済の動きが示されます。私にはなんとなくこれこそ「色即是空」「空即是色」のように思えるのです。

 

ちょっと昨日・今日の経済や人の動きに関連するニュースをピックアップして、私の感覚の一端を示せるか試してみたいと思います。

 

毎日朝刊の経済面では、①<経常収支黒字観光客増がけん引 リーマン以来最高水準>、②<東証続伸、終値245円高 値ごろ感ある銘柄買い戻し>、③<NY株再急落1032ドル安 金利上昇を懸念>、④<不動産融資6年ぶり減 17年11兆7143億円 大規模緩和後で初>、⑤<自動車大手7社日産、スバルのみ減益 無資格検査影響 17年4~12月期>、他の面で⑥<特殊詐欺高止まり 17年1.8万件、7年連続増加>、⑦<仮想通貨流出金融庁2取引所検査 全社立ち入りへ>が報道されていました。

 

これらがどう関連するかは否かはいずれも大小の差はあるでしょうが、見えない糸が人間の心理、社会・経済の動向に相互に影響し合っているようにも思えるのです。

 

    では<財務省が8日発表した2017年の国際収支(速報)で、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額が、前年比7.5%増の21兆8742億円と、リーマン・ショック前年の07年(24兆9490億円)以来、10年ぶりの高水準を記録した。比較可能な1985年以降、黒字額は07年に次ぎ2番目に多い。日本企業が海外子会社から受け取る配当金の増加や日本を訪れる外国人観光客の増加が要因で、黒字幅は今後も拡大し過去最大を更新する可能性もある。>と日本経済の好景気を示しています。

 

しかし、黒字化の要因は外在的なものではないかと思うのです。内在的・内発的な開発の動きはまだまだ弱い印象を感じます。それが色即是空とどう関係するか、私もわかりませんが、なぜか数字だけが一人歩きしている印象を感じています。実体があるかのように見える数字です。

 

    ではわが国の株価の動向が、これまで一本調子で上昇してきた中で、最近の揺れ動く様が見えています。<8日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は続伸し、終値は前日比245円49銭高の2万1890円86銭となった。今週前半の急落に伴い、値ごろ感のある銘柄の買い戻しが優勢だった。米長期金利の上昇で金融市場が混乱するとの警戒感から横ばい圏まで急失速する場面もあり、荒い値動きが目立った。

 

実際、③では、東証の取引終了後、<8日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は大幅続落し、前日比1032.89ドル安の2万3860.46ドルで取引を終えた。1日の下げ幅としては、5日に記録した過去最大の下げ幅1175ドルに次ぐ2番目。米国の金利上昇への懸念が再燃した。

 終値が2万4000ドルを下回るのは昨年11月29日以来、約2カ月ぶり。前週末から大幅な下落が続き、過去最高値をつけた今年1月26日の終値(2万6616.71ドル)から2750ドル余り、10%超下落した。>と大幅な下落となっていることから、東証はもちろんのこと世界の株式市場を含め大きな荒波が世界経済に影響する可能性もでています。

 

そもそもNY株式市場の以上と言って良い一本調子の株高は、過剰な融資・過大な不動産投資などによるもので水増し、中はバブルに映るのは私のような経済素人の見方かもしれませんが、だれも実体が見えていないことを否定できる人がいないように思えるのです。

 

では日本の不動産融資はどうでしょう。④で<日銀は8日、全国の銀行による2017年の不動産業向け新規貸出額が、16年比5・2%減の11兆7143億円となったと発表した。

 前年を下回ったのは11年以来6年ぶりで、日銀が13年に大規模な金融緩和策を導入後、初めて。全体の新規貸出額は2・9%減の46兆9663億円だった。>とその下落傾向を示しています。

 

また、⑤では<アパートローンなど「個人による貸家業」は14・2%減の3兆3202億円だった。地方銀行を中心に拡大が続いていたが、需要縮小などを背景にブレーキがかかった。>となっていますが、人口減少の中、海外からの観光客増加によるこの種の不動産投資はすれ違いといえるでしょうし、空き家対策を含め中古物件の活用こそ求められるように思うのですが、金融のあり方の見直しが問われる中、一向に変わらない以上、その先行き不安が要約表面化したように見えるのです。

 

実体経済を牽引するはずの自動車産業ですが、日産はグループで世界2位の販売高を示したにもかかわらず、堅実な生産システムに大きなそれも恒常的な不正が発覚し、その収益は同様に不正を行ったスバルとともに減益となっています。⑥では<日産が8日発表した4~12月期決算は、米国市場の減速に加え、無資格検査問題を受けたリコール(回収・無償修理)や出荷停止などの影響分約700億円を計上し、営業利益が27・6%減少。スバルも同問題の関連費用250億円が減益要因となった。>としています。

 

たしかに<自動車メーカー7社の2017年4~12月期連結決算が8日、出そろった。新興国などで販売が伸び、全社が増収。本業のもうけを示す営業利益も、無資格検査問題の関連費用を計上した日産自動車とSUBARU(スバル)を除く5社が増益だった。>わけですが、その収益構造は世界の市場構造の変化により持続性に疑義が生じています。

 

これらの大きな経済の動きとは直接関係ないですが、⑦の特殊詐欺の増加傾向はなにを示唆しているのでしょうか。

<警察庁は8日、2017年に全国の警察が認知した振り込め詐欺などの特殊詐欺は1万8201件(前年比28・6%増)で、7年連続で増加したと発表した。被害総額は約390億3000万円(同4・3%減)で3年連続で減少したが、高止まりが続いている。被害者は65歳以上が7割を超えた。同庁は「官民一体となった対策を一層進める」としている。>

 

これだけ警察庁を中心に、金融機関やマスコミをも含め特殊詐欺対策を講じてきたというのに、一向に減少しないのはなぜでしょう。それは人間の本性の一つが現れているのでしょうか。信頼する、欺される、お金への欲望がとどまらない、他方で、信頼できる社会制度が確立しない、いろいろあるでしょうけど、そこにも色即是空の一面を感じてしまいます。

 

最後に仮想通貨流出に関連して金融庁の調査拡大についてですが、この仮想通貨、なかにはマルチ商法の一種と捉える意見もあったかとも思います。たしかに投機対象として拡大して広がる様は、現実の社会のなにかの裏返しかもしれません。株式、不動産、金などなど、金への欲望がとどまらない、あるいは金への不安からの行動かもしれませんが、ある種中世的な死への恐怖とは異なるものの、現代的な畏怖・不安からの行動のように思えて、それは色即是空の心持ちとはかけ離れた現象かなと思うのです。

 

いろいろ書いてしまいました。私も悩める羊かもしれませんが、こういった記事に見える現代社会はその中で隠れた不安に踊らされているようにも思うのです。

 

いやいや、そんなことを気にせず、人生を謳歌している皆さんには意味のない話になったかもしれません。