たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

働き方の多様性と公正さ <フリーランス 契約保護、公取委が報告書>などを読んで

2018-02-17 | 働くことを見直す

180217 働き方の多様性と公正さ <フリーランス 契約保護、公取委が報告書>などを読んで

 

羽生結弦選手がフリーでも順調に演技して金メダル、宇野選手も頑張って銀メダルと、すごいことになりました。ただ、一度も見ていませんがチャン選手がフリーで大変な高得点を上げていますね。SPでの大ミスがなかったら、結果は微妙だったかもしれません。勝負の綾でしょうか。

 

私のような下手なスケーティングでも、霞ヶ関に通っている頃は、富国生命ビルの公開空地に冬だけ、ちっちゃなスケートリンクが作られ、私は気分転換を兼ねてよくスケートをしていました。私の場合は転ばない程度のもので、カーブを切るときに、小平選手の何百分の一(この割合こそいい加減ですが)のろのろスピードですが、腰を入れる瞬間がなかなかいいものでして、スーツ姿で子どもに交じってやっていましたね。バックスケーティングくらいはできますが、回転となると全然ダメで、フィギアの魅力は見るだけです。それでも見事な演技には感動させられます。

 

こういったアスリート選手も最近はプロ化が進んでいますが、人に感動を与えるには有能な指導者・スタッフによる長期のトレーニングなど、費用・時間・人材発掘指導と、大変でしょうね。

 

働き方改革は多様な人材登用の機会を提供する動きでしょうけど、これまでの昔で言えば自由業(弁護士もそう言われていますが、実際どうでしょう)、最近ではフリーランスという用語で多様な働き方を含んでいるようですね。自分の体力・知能といったある種労働力的なものを提供するわけですが、これまで労働市場の一角的な扱いで、その取引・契約については公正取引等を定める独禁法の適用はないとの扱いがなされてきたかと思います。

 

今朝の毎日記事<フリーランス契約保護、公取委が報告書 慣行見直し迫る>と題して、従来のこの分野での契約・取引に改善を図るべく、公取委が動き出したことを報じています。

 

<IT技術者やデザイナーなど個人で「フリーランス」として働く人の契約の在り方を話し合う公正取引委員会の有識者会議は15日、発注企業による不当な要求から個人を保護することを柱とする報告書を公表した。>

 

<働き方の多様化で、フリーランスは会社員などの副業も含めて1000万人超に上ると推計される。>フリーランスの定義が確立していないこともありますが、1000万人となると、一定の基準で類型化して、それに応じたガイドラインが必要かもしれませんね。

 

ではどのような見直しかについて、

<無理な条件を押しつけた場合は独占禁止法違反に当たるとする初の判断を示し、契約慣行の見直しを迫る。

 報告書は、報酬の支払い遅れや一方的な減額に加え、発注した製品の受け取り拒否など不正な慣行を問題視した。>

 

また新聞記事を賑わす次の業界も問題になっています。

<スポーツや芸能界では、チーム同士が選手の引き抜きをしないとの申し合わせや芸能事務所が契約改定の協議に応じないことは違反となり得る。ただ芸能事務所やチーム側には育成にかかった投資を回収する必要もあり、酌むべき事情がある場合には総合的に考慮するとした。>

 

ま、いえば不当な取引制限という通常の取引ではやってはいけないことをこれまでは「人材獲得市場」は独禁法の対象外といった扱いで見過ごされてきたわけですが、資本主義経済において公正な競争を確保する必要性の観点からは別異にあつかう合理的根拠がないはずです。その意味で今回、きちんと公正さを保つよう公取委が手綱を引き締めてこの分野に進出するということでしょうか。敵対的買収を受ける場合の白馬の騎士のような活躍が期待されているかもしれませんが、まだこの報告書がパブリックコメントを経て、今後の制度設計が見えてくるという段階です。

 

とはいえ、この検討会のヒアリング過程で、従来の慣行が問題視されてきたようで、すでに業界では見直しの動きが始まっているようです。

<日本音楽事業者協会は15日、報告書を受け、多くの芸能事務所が採用している「統一契約書」を見直すと発表した。>

 

ところで、この検討会報告書<人材と競争政策に関する検討会報告書>は、重大な内容を含んでいますので、<公取委のウェブサイト>で、報告書全文をはじめ関係資料が入手できますし、報告書については意見募集をしていますので、関係者には具体的な対応が求められるでしょう。

 

とはいいながら、この報告書、全文で46pとさほどの量ではないのですが、この分野の実態に通暁していないと、文言が割合抽象的に扱われていて、なにが公正取引と言えないかの具体的な基準が一義的に明白かと言われると、どうかな、と思ってしまいます。ま、報告書の中では、一定程度具体例を挙げていますので、これは参考になるかと思っています。

 

で、私も勉強をかねて、何回かに分けて、この報告書について、また関係資料も海外の実情を含めかなりありますので、それについても、勝手な検討を加えて、私見を述べてみようかと思います。

 

とくに単独行為として、秘密保持契約・競業避止義務、専属義務、役務提供に伴う成果物の利用等の制限などは、注目したい内容ですが、人材獲得市場における広範囲の行為が対象となりますので、いくつか的を絞りながら、取りあげていきたいと思います。

 

委員はいずれも独禁法、労働法、産業組織論などの伝統的な分野や労働経済学や労働市場といった急展開している分野からも、それぞれ専門的知見のある方ばかりなので、その意見は勉強なると思っています。ま、半分認知症対策でもありますが。

 

ともかく明日から少しずつ連載していこうかと今日のところは思っています。今までもそう言いながらすぐに座礁してしまって後が続かないことが多かったので、そのくらいの気象予測であれば当たるも八卦当たらぬも八卦というところでしょうか。

 

今日はそろそろ時間となりました。また明日。