紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

岡本先生ふたたび

2008-01-22 14:18:14 | 学校
 昨日H氏に40年ぶりに連絡が入った。小学校の同級生からの同窓会参加の有無を聞く電話で「わたしのこと、憶えてる?」らしき質問に「おお~もちろん、おぼえてるやんけ~」とか目を輝かせている様は、もう絶対精神的タイムスリップして小学生になっていたのだ。あの電話嫌いなH氏が嬉々として電話している姿をほぼ初めてみたかも(笑)

 そして私の方は、(宛名はTくんだったが)ほぼ10年ぶりに懐かしい人からのハガキがきた。Tくんが小学校に入学してから、3年間副校長として活躍しておられた岡本先生である。

 子どもたちの「これ(何か)をしたい!」という気持を大切に育てられる先生だった。もちろん子ども達にも絶大な人気を誇り、PTAでも保護者へのフォローと励ましと深い理解により信頼を得ておられた。私はたまたま子どもが低学年のときに役員をさせていただいたので、PTA担当でもある岡本先生のお話を聞く機会も、直にお話する機会ですら何回も持てる僥倖を得た。

 Kちゃんが1年生でもっていただいた大ベテランのO先生(この方も偉大な存在感とパワー溢れる先生!)が「(小学校教師として)素晴らしい尊敬すべき素敵な方」と私の連絡ノートに絶賛されて書かれていたが、その頃にはもう岡本先生は退職されていた。

 お茶目でユーモアとウィットに富んだ先生。繊細で音楽的に素晴らしい指導力を発揮されて、クラシックの名曲を子ども達の個性に合わせて選ばれ、小学生にも演奏出来るよう、自ら楽譜をつくり編曲されたりしたらしい。

 労を惜しまず、あっと驚く工夫やオリジナリティ溢れるアイディアをお持ちだった。 たとえば子ども達が飼育しているニワトリが卵を産むと、それを順番にお持ち帰りできたのだが、お持ち帰り用卵に、必ずカラーペンでニワトリイラストを描いてくださった。私はあまりの感激でTくんが持ち帰った卵の底に穴をあけて中味を出し、殻は永久保存版とした(笑)

 なんらかの事情で道半ばで教師を辞められたことは、たいへんな苦しさや悲しみを伴ったはずである。しかしそれをどのようにかテコにされることを祈りつつ、「いまどうされているのかしら」とつい先月にもしみじみ思っていたところだった。

 そんなところへ、先生の名前を発見した喜びたるや! しかも小学校教師時代のことを書かれている著書を出されたのだ。Tくんにハガキを渡してしまったのだけど、本のタイトルは憶えてるから注文して購入しなくっちゃ!

<http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%89%AA%96%7B%97r%88%EA/list.html>『子どもがくれた宝もの―教育実践ノート』

(京都)晃洋書房 (2008-01-20出版)  岡本 羊一【著】

棚卸し中。

2007-12-10 23:43:10 | 学校
 これから3日間の予定で、学校図書室の棚卸し作業ー専門用語では「曝(ばく)書」ーに突入した。私は1日半の参加。

 最初「棚卸しをしましょう」という話を聞いた時には、正直「できるのか・・・??」と心中膨大な作業を思い冷や汗をかいたのだが、購入図書納入台帳をエクセルに分担して入力されるという、地道で労力のかかる作業をされたボランティアの皆さんの熱意には、すっかり脱帽。虫食いながら購入図書台帳が完成した後は、棚卸しのために分類番号を与える作業が、私の宿題となった。一応の期限は棚卸しの前日まで。

 宿題をかかえて2ヶ月間は、学校へ図書整理に出向くことはなくなった。代わりにその時間には、家でエクセルとネットを往復し、こつこつ作業をすることとなる。
 途中エクセルをするには体調が思わしくない(眼球の疲労とか)期間もひんぱんにあり、なかなか思うにまかせなかったが、期限ぎりぎりに棚卸し用シートが(とりあえず付きながら)できる。

 が、なぜかエクセルの並び替え機能がうまく使えず、前日悩みまくるが解決しない。結局当日の朝、分類番号(NDC)の1次区分ずつ抽出していけば昇順の表ができることに気付き(もっとはよ気付かんかい!)、家を出る寸前まで時計を見つつプリントアウト。

 作業自体はペアになって本の有無、分類番号とラベル(請求記号)の照合、台帳の虫食い箇所の穴埋め、複本の抜き取りなどを行う。ときおり爆笑する声も聞こえ、和やかで楽しく、かなり(多分)みんなハマってしまう。少なくとも私はハマったぞ。
 もちろん台帳にない本があったり(寄贈本台帳は別なので)、台帳にあるべき本がなかったり、様々な問題が浮上する。

 この「さまざまな問題が浮上する」というのは「現状を正しく見る」ことなのだと、あらためて重大な仕事をしているのだと思い至る。そこからやっとすべてが始まる。

 今後潰して行かなければならないことがはっきりと見えるというのは、さっぱり勉強ができなかった子が、「このままではいけない!」とはっきり気付き、自分が「何ができないのか」をさらっていくのに似てるなあ~。それは「できないこと」が「できるようになる」、私の知っているたった一つの方法なのだけど。

 先日『ちりとてちん』について考察?したことが、後日現実にあてはまってきたじゃないか。なるほどこういうことだったのか、と内心「へええ~」と思う。

 それにしても、ほどよく作業出来るベストメンバーが集まったものである、と感心する。6名とはいえ、これだけの居心地よく「できた」人達が集まるとは、理想的。なかなかこうはいかない。やはりボランティアで集う熱意ある有志は違うのか。私の予想より、かなり仕事は、はかどった模様。リスト上では2500冊だけど、明らかに現物はもっとありそう。

 娘のKちゃんにお母さんたちの名前を云えば、「できる」おかーさんたちに「できない」おかーさんが約1名いることが彼女には見えたらしい。
「おかーさんは一応は(図書仕事の)プロやけど、一番仕事の足、引っ張ってるんやろなー」 
それを云ってくれるなー! 

 もっぱら彼女らお母様方の熱意に引っ張られる形での参加ですからねぇ。最後尾にずるずるついて行ってます。どうぞお見限りなくー!

語りの力

2007-11-29 23:16:21 | 学校
 もう10日ばかり前の話になるけれど、小学校の「よみきかせグループ」のメンバーが、少し離れた地域のベテランの「おはなし会」の方々に来ていただいて、小学生全学年にお話をしていただく、という催しをされたので、私も「よみきかせグループ」に所属していないにもかかわらず、お誘いくださり、ありがたく末席にて見学させていただいた。

 ほんとはオトナとしては、子どもに語って聞かせる時のテクニックを観察するとか、そういう風な見方もありだったんだろうけど、完全に物語の中に引きずり込まれてしまったのだ。はらはらしたり、笑ったり、どきどきしたり、あまりに食べ物描写がリアルで、よだれが出そうになったり。

 「食べられる」とか「食べる」とかの話が多くて、この手の話は「子どもには残酷では」という意見もありそうなのだけれど、やっぱり「食うか食われるか」ってインパクトのある基本的な話なんだなあ・・・と感心して聞き入ってしまった。久々に物語の洗礼を受けました、って風だった。

 1学年ひとクラスとはいえ、やはり年齢が違えば、物語も多少は変化するので、低学年、中学年、高学年と3ブロックが交替で聞きに来てくれた。

 高学年はやはりちょっとひねりがあるもの(『絵くんとことばくん』天野祐吉/大槻あかね)を選ばれていて、私も心中「へええ~、へええ~」としきりに感心して、次の展開を待つ。(紙芝居だったので) 最初は子どもたちには、ちょっと「おはなしを聞かせてもらう? そんな幼稚なこと!」っぽい空気もあったのだが、どんどんみんなが集中して空気が熱を帯びるのがわかる。

 低学年は、わからないところがあっても、圧唐ウれたりノリで盛り上がって行く。女の子同士で「こわぁい~♪」といいつつ抱き合ったり(でもニコニコ顔)、ほのぼのするようなかわいらしい様子で聞き入っている。(素話『うしかたとやまんば』のとき)

 しかしやっぱり一番ノリがいいのは、3、4年生。それも長新太さんのナンセンスな話を巻き絵にしてあるので、盛り上がることと言ったら!(『なにをたべたかわかる?』) 絵もとってもキュートだし。観ようによっては「残酷物語」も、ャbプでキュートなナンセンスとして消化される。

 特筆すべきは子どもたちが盛り上がって興奮しだしても、唇に指を当てるだけで波紋がひろがるように、徐々に静かになること。おもしろくて楽しいことの最中に叱られる程つまらないことはないですからね。その辺もよくわかっていらっしゃる「おはなし会」の方々に感心。つい、「静かに!!」って言ってしまいそうなんだけど。

ほかにもいくつかのお話をしていただいて、楽しい半日を過ごすことができた。

 私は生素話を初めて聞いたけれど、本当に「ぱあっ!」と景色が浮かんで、気温や風の感じや明暗や匂いや言葉には無い音までも感じるという経験をした。語りの力って、すごい!

 お昼ご飯を、ベテランお話会の方々とみんなで一緒に取ってお話ができたが、その中で、「この小学校の子どもたちは、お話を聞く受入態勢がちゃんとあるので、とってもやりやすかった」とおっしゃってくださったのが、なるほどだった。

 そうか、いくら語りが完璧でも、聞いてくれる耳や感受性がなければ届かないんだ。一方通行じゃ無い、双方向の交信が「おはなしをする」っていうことなんだな。納得。 

こんなことになっていたとは!!!

2007-11-12 17:34:31 | 学校
 私が仕事にかまけ、家事にかまけ、睡眠不足にかまけ、読書会の準備にかまけている間に、こんなスゴイことが起こっていたとは!!! (Yellow House陶房のリンクをひらいてみてください)

 イエローハウスの皆さん、近江兄弟社小学校の先生方&保護者の方々、そして何より4年生の児童の皆さん、どうもお疲れさまでした!! 祝☆「パン焼きプロジェクト」大成功!! 

 「パン焼きプロジェクト」とは、学園のイベントでクッキーを焼いてお店を出そう、という小学校4年生の子どもたちの話から、じゃあパンも焼いたら? どうせなら天然酵母のパンにしたら? 天然酵母も手づくりしたら? パン焼き窯も作ってみたら? 窯のレンガから手づくりしてみたら? という3ヶ月に渡るプロジェクトなのだった。

 そしてこの作業をどんどんクリアしてゆき、最終の「天然酵母でパン窯での手づくり焼きたてパンとクッキーの販売」が昨日行われたのである。前日にはログ風のお洒落なウッディな屋台まで手づくりされた。上記、または右手のイエローハウスさんのリンクで写真が多数アップされているので、ぜひ目で確認していただきたい。
 
 さて、続きを書こうと思ったんだけれど、やはりイエローハウスさんのブログと写真を読んで見ていただくのが、ベスト。私は一ギャラリで、しかも終了後に驚愕していると言うまぬけさなのだ(苦笑)

 長い学園生活のこの年に一度の一大フェスティバル、ヴォーリス・デーは、ほぼ欠かさず参加していたのに、依りに依ってこんなときに、仕事に入れるのが私だけだったという因果な不参加。それは仕方ないとあきらめ、せめて4年生のお店の写真だけでも見られた事で、とりあえずはヨシとしておこう。

 そういえば前日準備の日にKちゃんが、「小学校、すごいねんで! 家建ててはるんやで!」って言ってたっけ。私はもっと簡単な屋台だと思っていたのに、まさかこんなログ風のウッドハウス屋台だとは!おそるべし、4年生児童! 

 また、子どもたちの提案に「そんなん、大変やん」「それは無理ちがうん?」と反対する大人がいなかったことも、スゴイと思う。子どもたちと共に、横並びに歩いて行ける大人がいるって、子どもたちにとって(先生方にとっても)大変な幸福である。しかも並大抵でない大人のバックアップを必要とする一大事業である。

 たしかにパン焼き窯のレンガから手づくりした4年生はスゴイ、スゴすぎる。しかし、私がイベントの案内で驚いたのは、全校で学年毎に食べ物屋さんを開業していたこと。1年生は5年生とタッグを組んでいた。学年は違えど、両者は共に「お米」について学習するのでシンクロしているのだ。

 今年は行けなかったけれど、昨年までのお店を出している子どもたちの様子は、実に楽しそうだった。口から先に生まれたような男子は客引きをし、首から箱をかけて売り歩く子どもたちもいた。今朝開いたばかりの花のような笑顔だった。

 子どもたちが自分たちで考え、形にして行く体験をしたことに拍手。それを並大抵でないサメ[トをしてくださった大人たちに拍手。もちろん屋台骨となってくださった、イエローハウスのダモンテ先生、ふさ子さん、パワフルな助っ人の方々にも拍手、拍手! 3ヶ月間、大変お疲れさまでした。&ありがとうございました!!

窯出し異聞

2007-10-28 22:59:35 | 学校
 小学校の陶結ウ室で作られた作品が穴窯で1週間ばかり焼かれ、1週間ばかり冷まして、ついに今日窯より出された。作品の完成を祝うため?「窯出し祭」も同時開催で行われた。フリーマーケットやライブ、現地のパン窯で焼かれた焼きたてピザや、天然酵母の石窯焼きパン、およびサンドウィッチなどの販売もされていた。穴窯祭りについては、藁の家の住人さんがレメ[トしてくださっているので、こちらをクリック。

 幸い晴れ渡った気持のいい日だった。気候もほど良く、裏手の田んぼ道にあぐらで瞑想??をしていた方もいるくらい、広々とした自然まっただ中の気持のいい場所だった。

 私は職場のお昼休みに大急ぎでやって来て、先に到着していた夫・H氏と落ち合い、彼がそこですでに買っておいてくれたサンドウィッチをパクつきながら、10分ほど過ごし、再び大急ぎで職場に戻った。

 わずかな時間なので、じっくりとは見られなかったが、子どもたちの作品もたいへんにユニーク。ずらりと並べられた様子も壮観。

 これも指導に当たってくださり、穴窯(と窯焚き中の料理)の総監督でもある『イエローハウス陶房』のダモンテ先生やふさ子さん、およびその他のスタッフの皆さんの献身的な働きによってできあがったのである。24時間態勢で薪をくべ(×5日間)、温度を見ながらの大変な作業の賜物なのである。有志でご協力くださった先生や保護者の方の働きにも、頭が下がる思い。穴窯についてはこちらを(→穴窯友の会HP)

 ところで家での晩ご飯も終わった頃、H氏が本日の穴窯でのとっておきの出来事を話してくれた。小学校のT先生(体育会系の中年?男性。冗談がわかるのでKちゃんとも気があったよう)とH氏が世間話をしているときの出来事である。

 はじめに書いたように、快適な陽気だったので、人間のみならず、虫たちもお散歩気分だったのだと思う。そもそも自然いっぱいの田んぼの真ん中でもある。

 世間話をしていると、ハチが一匹飛んで来たらしい。H氏は長袖シャツで長ズボンのうえ、長靴といういつでも作業OK、虫除け完璧なスタイルだったが、さすがに顔だけはむき出しなので、ブロック態勢をとっていた。

 しかしT先生は、話に夢中だったらしく、ハチの存在に気がつかなかったのかもしれない。しかも半袖というラフな格好。

 突如、先生が「あいた!あ痛!」と叫び、大急ぎで上着を脱ぎ捨て、H氏に「なんか、なってません?」と脇のあたりを見せたらしい。

 そうなのだ、ハチは先生の半袖の袖口から先生の脇に入り、チクリと刺したのである。またハチも何を好き好んで・・・?

 H氏いはく
「T先生の脇の下はなあ、きっとお花の匂いがしたんやろなあ」
・・・考えられない、というか、考えたくないなあ、それ。