紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

グーグーだって猫である

2008-09-17 15:46:12 | 映画
 今日はレディースデーなので千円で映画が観られる、ということに気付き、久々映画館へ。10人ちょっとの貸切状態で、なんとも贅沢だったけど、冷房が効き過ぎて寒い! だが、こんなこともあろうかと、しっかりカーディガンを持参してきた。

 ということで『グーグーだって猫である』を観て来ました!(小ネタバレあります) 大島ワールドがどれくらい表現されているのだろうと思っていたけれど、それは問いの立て方が間違っていて、当然、犬童一心監督ワールドだったのでした。(って、犬童監督作品は、初めて見たんだけど)

 『野生時代』に連載されていた秋本尚美さんの漫画があまりに素晴らしく、それでさんざん感動してしまっていたので、残念ながらもう感動の余地はない。あれはやはり、漫画でしかできない世界でもあり、リアルな映像世界では、夢破られるところがある。

 それはやはり、大島去qを語るには、それなりの文法や文章があるのと同様、大島ワールドを表現するには、かなり独特のワープが必要なのだ。語りすぎない、目立ちすぎない、でも人生変わるようなアピールとお茶目でクリアな「くすぐり」は必須。

 犬童一心監督は、この映画ではこの点で、まだバランスが取れていないと思う。しかしまさにこの点で、小泉今日子は素晴らしかった。寡黙で、呟くように語り、あまりにピュアな存在(まっすぐで謙虚、でも空虚な闇も実は持っている)としてそこにいる。そんな主人公役(天才漫画家/小島麻子)の小泉今日子が観られたのは、収穫。

 ナンバー2の上野樹里ちゃんも、演技は素晴らしかったのに、彼女に役設定や科白が追いついてない感じが残念。彼女自身はとてもよかったんだけれど。それから・・・友情出演!?の楳図かずお、はりきりすぎ(苦笑) 

 忘れちゃいけないのが松原智恵子!彼女は「麻子の母」の役で、ほとんど『綿の国星』の白い割烹着のお母さんのようで、大好き! 夜、娘(40代)に電話したら、男が出て来て一瞬驚くが、直後娘に当ててメールを送るのが、かわいくて可笑しい。ちなみにそのメールは
「ファイト!(^o^)/~」(みたいな感じだった) ね、『綿の国星』のかわいくてお茶目な(本人はいたって大真面目!)「お母さん」みたいでしょ?

 何のかんの言って、好きな場面はいくつもある。

 田舎の少女が漫画を描くのに必要な道具一式を、ちいさな田舎の文房具屋さんで取り寄せてもらうところ。「どんな漫画を描きたいの?」と文房具屋のおじさんに訊ねられ、「みんなが幸せになるような漫画です」と答えるところ。

 田舎の縁側で上野樹里が月刊誌に掲載されていた『四月怪談』を読んで大泣きするところ。

 夜の公園を急ぐ麻子さん。まるで公園が生きているみたいで、不思議な夜の公園世界が、なんだかとても良かった。

 アシスタントのなおみちゃん(上野樹里)と麻子先生(小泉今日子)の別れのシーン。二人の表情が秀逸。

 ということで、わるくはないです。むしろ、見終わった後、いろいろ思い出して考えると、ずっしりきたりします。あなた次第、という映画かも知れません。

 この映画で、たぶん一番大島去qワールドに近かったのは、松原智恵子の「母」役ですね! 繰り返しますが。かわいいですよお!

マルキストだった。

2007-08-07 14:05:03 | 映画
 新婚間もない頃、私がしばらくハマったのはビデオ鑑賞だった。

 というのも、まだレンタルビデオ屋さんそのものが出来つつある頃で、私の実家にはないビデオデッキが夫の家にはあったからである。

 高校時代から気になっていた映画があったのだ。筒井康隆さんのエッセイで、彼が絶讃していた「マルクス兄弟」の映画を観るべく、レンタルショップから借りて来て、何本かを一緒に鑑賞した。非常に数少ない夫婦でのシネマ鑑賞である。

 マルクス兄弟は、ドイツの有名な経済学者/哲学者とは何の関係もないコメディアンで、ニューヨーク出身の4人兄弟、チコ、ゼッメAグルーチョ(グラウチョ)、ハーモナある。1930~40年代に活躍した。

 ウィキペディアによれば、日本のコメディー・グループ(特に、ザ・ドリフターズ)に与えた影響も大きい。ブルトン、ダリを初め、レヴィ・ストロース、アルトーなど思想家達にも愛された。ということである。

 私たちが観たのは以下の作品(ウィキより引用)

* 「我輩はカモである」Duck Soup(1933)
* 「オペラは踊る」A Night at the Opera(1935)
* 「マルクスの二挺拳銃」Go West(1940)


 昔の映画だから、もちろんモノクロだし、現代の人権倫理に照らし合わせれば「いかがなものか?」とクレームがつくような箇所がいくつもあるのだが、とにかく徹底的にアナーキー。ストーリーも構成もなく、はちゃめちゃ。ナンセンスの極み。いかにもシュール。そのくせ、とても凝っていたり大がかりだったり。ほとんど無意味なことを、そこまでするか??というくらい。(走っている蒸気機関車をどんどん解体する、とか)そこが素晴らしい。

 予想出来る展開はない。鮮やかに裏切られるギャグの連続。ハーモヘ一瞬「え?」と頭の切り替えができないくらい予想外のギャグアクションだし、グルーチョは、あっというまに前言撤回だし。
 しかも皆さんとても器用なので、音楽家としてもやっていけるくらい(天真爛漫なパントマイムで演技するハーモヘ世界的なハープの名手だし、チコはピアノを曲撃フように弾く)

 私はマシンガントークでまくしたて、ねずみ男のようにお金が大好きでどうにも胡散臭げなグルーチョがお気に入りである。
 そういえば、ときたま何か悪戯っぽいことを思いついたときの、アサッテの方向に目を向けたH氏は、ヒゲのないグルーチョにそっくりだったりする。

 (注意:「マルクス兄弟」で検索するとアダルトサイトなどにヒットすることがあるので、御注意ください)