紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

サラリーマン山田、ふたたび

2007-01-29 23:42:00 | 
 NHKのアナウンサーを見ながらH氏がいった。
「みてみて、あのひと、ねずみ男と一緒に出て来る人間にそっくりや! サラリーマン山田やったっけ? ほら、メガネかけたら、もう・・・」
「あっ! ほんまや! のっぺりした顔と鼻の穴の感じが、瓜二つやん」
「そういえば、今日、職場でサラリーマン山田の話をしたんや」

 夫・H氏の職場での会話である。

「Hさん、ディズニーランド行かはった事ありますか?」
「ないなあ~」
「(テーマパークや遊園地は)どっこもいってはらへんのですか?」
「昔、境港へ妖怪ロード見に行ったなあ」
「あ、水木しげる記念館とかあるとこですね?」
「まだ、行ったときには、そんなん出来てなかったんや。妖怪のブロンズ像とか妖怪神社とかはあったけどな」
「へええ~、そんなマイナーな時に行かはったんですか。さすがマニアックですねえ」

「ところで水木しげるのまんがにでてくる人間で、ねずみ男と組んどるやつおるやろ?あいつ、名前があるねんで。サラリーマン山田、ちゅうねん」
「へええ~。ちゃんと名前があるんですねえ」
(去年の4月に私が流した情報である)

「そや、土日に境港に行くと、妖怪ロードに着ぐるみ着た水木キャラがうろうろしてるらしいねん。その中にサラリーマン山田もおってな、名刺交換してくれるらしいで」
「そうなんですかー」
「サラリーマン山田の名刺欲しいなあ。名刺もらうためだけに、境港に行ってもええ気がするねんけど」
「ええ~~?! そんなん欲しいないですよ~」
「変わってんな、そんなん欲しいに決まってるやけ」
「そんなん欲しがる人の方が、変わってますよ」

 この話を終えてから、「サラリーマン山田の名刺、欲しいやんなあ?」と聞くので
「欲しい欲しい! もらったら額に入れて、『たぬき亭』に飾っとこうよ」
こういう話題になると、一も二もなく意見が一致する。

 しかし、昨年4月16日のブログで私が見抜いた通りのH氏の思惑である。してやったりと思いつつも、微笑ましい。


線路は続くよトレビアン

2007-01-07 22:23:09 | 
「ばんざい」、「ブラボー」とくれば、次は「VIVA」とか「トレビアン」を続けてみたいが、今日の出来事や読んだ物でこゝろ惹かれるものって・・・ん? あったよね、すこしばかりこゝろ惹かれる記事が。酒井順子さんの『女子と鉄道』の書評である。

 今月号の『ダヴィンチ』や今日の新聞書評でも目にした。鉄道好きな女子にスャbトの当たったエッセイである。なんで今までこうゆう本がなかったのか、不思議なくらいだ。女子の鉄道好きは単純に電車に乗るのが好き(「乗り専」)、という酒井さんのご指摘は当たっていると思う。その「解りづらさ」が女子と鉄道を結びつける事を躊躇させたのかもしれない。

 いわゆる男子の鉄道マニアと女子の鉄道好きとは、まるで異種目だという酒井さんのご意見にはまったく同感である。が、果たして本当に女子に鉄道好きは少ないのか? 
 いや、そんなことはないはずである。

 かつてNHKで放映された関口知宏の鉄道全線制覇の旅をうっとりと、ものすごくうらやましがり、食い入るようにブラウン管に見入っていたオンナは、少なくないと思う。これは鉄道好きというカテゴリーには入らないのか。単に旅物で括られているのか? そんなことはない。やはり鉄道全線制覇の旅は、「鉄道」が重要なのだ。

 夢見る頃に女子は、「白馬の王子さま」が自分を攫(さら)ってくれる事を妄想しがちであるが、私は20歳の頃には、JR(国鉄だった?)が見知らぬ土地に連れて去ってくれる快感に酔いしれていた。王子さまより鉄道の方が現実的かつロマンチックだったのである。

 それに女子は母になる場合がある。特に男子の母ともなれば、鉄道とのおつきあいは一気に激しくなる場合がある。もとより素質はあったが、まさに私がそれだった。

 2歳の男子と「青春18キップ」で日帰りであちこちへ旅をした。このキップは1日JR電車乗り放題なので、なるべく遠くへ、なるべくたくさん乗ることに意義を見いだし、東へ西へ、ぐるりと琵琶湖一周へと赴いた。旅、というより、電車、電車、乗り換え、電車、電車、途中下車、電車・・・というような電車三昧の一日を過ごす。

 あるいは路面電車を求めて、ケーブルカー(登山電車)を求めての電車求道を歩むこともあった。

 時刻表を眺めては乗り継ぎを調べ、うっとりと空想旅行にふけるタイプだったので、鉄道マニアの息子を持つ事は至上のヨロコビであった。おかげでたくさんの風景と、その場限りの人々と、いくつかの美味しいものとに出合えた。

 ちび鉄道マニアを息子(娘)に持つサービス精神旺盛な母の何割かは、きっと鉄道好きに違いない、と思うのであるが、いかがなものであろうか。 

なんばへ!

2006-02-20 21:23:45 | 

 Kちゃんは土曜日の学習発表会の代休なので、彼女が前々から行きたがっていた大阪の「なんばグランド花月」(NGK)へ。『吉本新喜劇』が、それも大好きな辻本茂雄さんhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%BB%E6%9C%AC%E8%8C%82%E9%9B%84の出る舞台が見られるとうきうき。関西人の私も、実はNGKは初めてで、わくわく。

 まずお土産をざっと見るも、キャラクター商品がほとんどで、これぞというのは見当たらず。しいていえば「関西弁(標準語の訳付き)のれん」かな。他に「なんばタコヤキレンジャー」(うろ覚えなので「タコヤキ」じゃなかったかも。「・・・レンジャー」というのは鮮明なんだけどな)という地方キャラクター?のキーホルダーかストラップかの商品に、心を動かされるも、そんな私の心を鋭く見透かし「私こんなん買うの、嫌やからね!」と娘に釘を刺され断念。

 が、まさか月曜日の午前からの回が、こんなに一杯だとは・・・。行列について、やっと立ち見で入場。甘い見通しに呆然。が、テレビでいつも見る「緞帳」を目にして、「ああ花月にきたなあ!」と感慨を深める母と子。

 まず『吉本新喜劇』からスタート。洋食屋さんが舞台で、例のごとくモノトーンのアーガイル模様のスーツを着たやくざ役の辻本が子分と一緒に、借金の取り立てに登場。が、子分の突っ込みがあさっての方を向いて意味不明なので、困惑する兄貴、辻本。「そういう突っ込みされても、わしどうしたらええか、わからへんやろ?」 この繰り返し。さんざん「突っ込み」指導をした後、ふと素の表情で「おまえな、深い溜息つくの、やめてくれる?」。もうどこからが演技でどこからが素なのかわからないままに笑いの渦。彼の繊細でシャープなセンスは、私たち母娘を釘づけにした。

 新喜劇が終わり、演芸に移る。漫才と落語家さんの噺が少し(落語をするほどの持ち時間はなし)。個人的には桂小枝師匠の話芸や所作に感心し、「ケツカッチン」(初めて見た!)と「B&B」(20年ぶりに見たような。あの頃よりはるかに面白かった!)の漫才がツボにはまってしまい、少しあきれた顔のKちゃんの横で、文字通り「腹をかかえ」たり「身をよじったり」して笑ってしまった。疾走するスタンダードな笑いが好きなんだな、私は。
 「コメディNo1」の枠のないしゃべりと身体を使う不思議な舞台には芸の年輪を見た思い。もう「うまい」とか「おもろい」とかの次元を越えた飄々とした世界が出現していた。初めて「ええやん、『コメディNo1』って」と思った。
 「今いくよくるよ」は貫禄。アクシデントでずるずる落ちて行くスカートをひっぱりあげながら、それをしっかりネタにしていた。安定感。

 3時間弱が、意外なくらい早く終わった。ということは、なかなかに楽しんだということかな。やっぱりテレビとは全然別物。客席いじりも、和やかで可笑しい。テレビのお笑いは観ていてどこか痛々しいところもあるけれど、生はどこか温かい。ほっとしました。

 それと芸人さんから発する「熱」みたいのが、とても落差があってびっくり。メジャーな人が必ずしもいいという訳でもない。舞台って面白い。

 NGKを出た後、すぐ向かいの「ジュンク堂書店」で辻惟雄・著『奇想の系譜』『奇想の図譜』(ちくま学芸文庫)を買って帰る。読めるかどうかはわからないけれど、このところ辻さんの本の書評が目についてしょうがなく、どうも本に呼ばれている気がして。伊藤若冲さんも若い時から好きだし、思い切って。Kちゃんがいたので、今日も「ちくま文庫」の棚だけに絞った。おかげで4時半に帰宅。

 都会の本屋さんは知らない本が山のようにあって、どきどきしながら店内を徘徊するはめに・・・。もしも今日ひとりで時間があったら、うっとりと店内を徘徊し続け、きっと帰宅は夜になった事でしょう。


忍者うどん

2006-02-07 13:47:56 | 
 リンクさせていただいている「メレさん」の日記、2/6日分の「潜伏うなぎ」http://www.link-jp.com/m1_diarys/scr3_diarys.cgi?cat=4257mereiが、個人的に面白くて、それにつられて思い出したことがあったのでちょっと書いてみます。

 1月7日の日記にKちゃんと伊賀上野に行き、『そば松尾』というお蕎麦屋さんで、恐ろしく美味しいおそばを食べた、と書いた。http://ivory.ap.teacup.com/applet/tanukitei/archive?b=30その続きの話。
 『そば松尾』を出てから、伊賀上野の駅前ストリートの突き当たりのうどん屋さんの前を通ったとき、ふと「忍者うどん」というお店の前に貼られたメニューが私をぐっと誘惑してきた。

 「忍者うどん」・・・? どんなうどん? ここでいつもの好奇心に捕まってしまった。が、いまお蕎麦をいただいたばっかりである。連続食べ物屋さんのハシゴは苦痛でしかない。予定どおり忍者屋敷に行き、芭蕉翁記念館とお土産物屋さんに寄った後、ついに日常的・大衆食堂風のお店で「忍者うどん」に挑戦! Kちゃんは「私は何が出て来るかわからんのは嫌。おかーさんだけにしてや」と尻込みした。

 小泉チルドレンのワイドショーを見ながら待つ事しばし。やって来た「忍者うどん」という名のうどんを食べてみた。

 結論。なぜ忍者か。うどんを食べて行くに従い、うどんの下からかまぼこさんが登場、椎茸さんがお目見え、おあげさんがこんにちは、と段階を踏んでドロンパっと現れるから。あ、ドロンパっていうのは消える時の擬態語だっけ? 

 内容的には五目うどんというか、とろみのないしっぽくうどんというか、入れるのにうどんの層をつくらないといけないから手間取る分、人件費はかかるかな。観光地のうどんやとして考えた苦肉の策。店主の「してやったり」?顔が垣間見える気がした。

 その後、近鉄伊賀上野駅前の俳句投稿箱に観光案内所の「友近」似のスタッフを詠んだ俳句(川柳?)を記念に入れ、家路を辿ったのであった。

↓ 芭蕉翁像
 

いよっ日本一!

2006-01-07 22:51:43 | 

 私と小5の娘Kちゃんとは、なるべく平日を狙って5時には帰宅でき、私が晩ご飯をつくる体力が残る程度の日帰り旅行をたまにする。

 昨年の話で恐縮だが、秋の平日の休校日に、伊賀上野の忍者屋敷にいこう!とその日の朝思い立った。ネットに向かって電車の乗り継ぎを調べれば、1時間半~2時間もあれば行けることが判明した。お昼ご飯は『そば松尾』といういかにも文学的なお蕎麦屋さんに決定。

 途中私が降りる駅を間違え、娘にかなりヒンシュクを買った以外は別段トラブルも無く目的地の『近鉄・伊賀上野駅』に到着した。(実はJR伊賀上野駅に降りてしまったのだった)
 駅前の観光案内所で忍者屋敷と「そば松尾」の場所を訊き、観光案内のイラストマップを入手。バスガイドさんのような話し方をする案内嬢は、「こちらをまっすぐです、ハイ。それから右に曲がりましてですね、ハイ」とてきぱき丁寧に説明してくださった。
 案内所をでて3歩歩いたとき、娘がくすくす笑いながら「わたし、笑いそうになって困ったわ。だってあの人(案内嬢のこと)、『友近』にそっくりやったんやもん」と告白した。

 まずは腹ごしらえから、と駅から「そば松尾」に直行。店の前まで来たKちゃんは眉根を寄せた。ネットにあった「カップルにぴったり」というおしゃれ?な風情ではなく、どちらかといえば大衆寄りの店構え。中に入れば民芸風というにはやや中途半端な感じ。いかにもおしゃべりそうなおばあちゃんが一人でお客をさばき、無口な青年が黙々と蕎麦を作っている。お客といっても私たちのように忍者屋敷目的ではなく、芭蕉ゆかりの地の「松尾」というお店でお蕎麦をいただきましょうという上品な初老3人組の紳士淑女の方々のみ。
 平日とはいえお昼時なのに、こんなに空いていて大丈夫なのか?と視線を送る娘。もしかして外したか?と疑心暗鬼の私。

 もっとも蕎麦が来てからは、そんなこんなもふっとぶ驚き。見た目は「えっ?こんなに少ないの?」という量なのに、食べるとしっかりお腹に持つ感じ。しかもかつて食べた事の無い美味しさ。私は「やまかけそば」を食べたが、『伊賀忍者卵』?入りでこれがまた格別。
 あまりのおいしさに驚いて、おばあちゃんに「おいしいですねえ。卵もおいしいです」と白状すると「そうですやろ、ちょっと値が張る卵ですけど、やっぱり一番美味しいモンを使わんとねえ。私は日本中のお蕎麦を食べ歩いたんですけど、信州の戸隠蕎麦が一番です」と恐るべきこだわりを語り始めた。
 初老3人組の方々には「うちのそばがきは、そばがき好きの外車に乗って遠方からいらっしゃるお得意さんに、『わしは日本中のそばがきを食べたが、ここのは日本一や』てゆーてもろてます」と誇りを持って語っていらっしゃった。

 娘がゆっくりとお蕎麦を食べ終わるまで、おばあちゃんと世間話をして待つ。
 彼女は84歳。40代で夫を亡くし、必死で蕎麦屋を切り盛りし、子どもたちを育て上げた。今は孫が継いでくれ、そば打ちをして調理場にたち、彼女が接客をしている。お店が大好きで、お店に寝泊まりしているという。死ぬまでお店に出たいとおっしゃっていた。

 伊賀上野は忍者屋敷だけではなかった。日本一のそばがきを食べにもう一度「そば松尾」にいってみたい。それまでどうかお元気で、おばあちゃん。あと、『友近』そっくりの観光案内嬢にも再会を果たしたい。

*「そば松尾」→http://www.kujimag.com/tim/ya6_lssrv18209.htm