紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ヤバいっすよ

2009-08-07 23:27:00 | 新聞
 ナンシー関が亡くなる直前に書いた『広告批評』のコラムは、たしかサッカーのサメ[ターのほっぺたのペインティングの日の丸とかを例に挙げて、プチ・ナショナリズムを取り上げていた。

 「これ、まじ、ヤバいっすよ」と締めくくっていたと記憶している。(いや、「コワい」だったかな?)
 頭の中でエコーする「ヤバいっす」(あるいは「コワいっす」)という言葉は、私には彼女の遺言のように思えた。炭坑の先頭のカナリア状態の場所で働いていたので、彼女の「ヤバい」という感覚は、共感できたのだ。

 職場を変わったので、情報の中にいても情報に触れる機会そのものは、大幅に減ってしまった。うかつなことだけど、この情報を知ったのはことが既に終わった時点での新聞記事だった。

 前航空幕僚長の田母神氏が「核武装」を講演会で主張したのだ。それも8月6日原爆投下の日を狙って、原爆ドームのすぐ近くで。ありえへん・・・

 帰宅したH氏にこの話をしたら、彼は初耳らしかった。
 しかし帰宅したTくんにこの話をしたら「おかーさん、情報掴むの遅すぎる! そんなん2~3ヶ月前から知ってないと。テレビも新聞も充てにしたらあかんて、ずっと前からゆーてるやん。よーわかったやろ」

 たしかに。「のりピー」どころではないじゃん。

 「日本も核、持ちました」「きのう戦争に突入しました」なんて、過去形で報告されたって、遅いし。

 この件に関しては、江川紹子さん河野美代子さん(広島出身の産婦人科医。性教育の普及にも活躍)が記事にされているので、リンクを貼ります。彼女らの記事を読んで、慰霊の日に献花に来た方々の心中を思うと、心が痛みました。というか、本気で激怒。

 でもきっと隣の会場の人たちは、「アウェーで大成功!」「してやったり」と英雄きどりだったんだろうな。なにしろ聡明にして繊細かつ奥ゆかしく、意見を異にする他人の悪口なんか、金輪際口にしない方々ですからね。

となりの頁

2009-08-02 23:32:00 | 新聞
 昨日の『養命酒』の広告が載ったとなりの頁にも、なかなかにレベルの高い(かな? 少なくとも個人的にはそう思った)広告だったので、8月1日は新聞広告記念日やな、と勝手に新しい記念日をつくる。



 先発は『揚げずに唐揚げ』という商品だったのだ。これはうちの子どもたちをして、「おかーさんの唐揚げより美味しい。いままで食べた唐揚げの中で、一番おいしい」と言わしめた。もっとも、私にしてみれば、ちょっと味付けが濃い。

 そしてこの広告にも、もちろんささやかながらイラストが。

「そう来ると思たわ」と、お見通しのおばさんに、「揚げずにシリーズ登場」のカンバンをしょって頭をかく豚のイラストだ。ほどなく揚げられるというのに、のどかな風景である。『ドナドナ』とは、えらい違いだ。

 私は「まさかそう来るとは」と驚愕してしまったので、イラストのおばさんには、遠く及ばない。もっとおばさん修行に励まなくては。おばさんは、えらい! そして、ガンバレ、ヒガシマル!

またしても養命酒

2009-08-01 23:44:00 | 新聞
 おかーさん、久しぶりにこの人、でてきやはったで~! と、新聞を眺めていたKちゃんに声をかけられ、覗き込んだ。あ、ほんまや!

 『養命酒』の新聞広告に登場するイラストキャラで、我家ではなぜか「おかーさん」と呼ばれている(にているらしい)。私と彼女との出会いは、以前書いた⇒http://ivory.ap.teacup.com/applet/tanukitei/20070905/archive

 ちなみに私には夏休みはないが、やはりアツくて疲れ、寒くて冷える。でも、ある意味仕事に行っている方が、元気かも。やっぱり気力が違う。けど、確かに「未病」の海原を漂ってはいるな。

 このドッペルゲンガーのようなキャラが登場してくれると、なぜかほっとする。忘れた頃に、タイミング良く現れてくれる彼女。もしかしたらフェイドアウトしたのでは?と気を揉んだりするけれど、ちゃんと「冷え」の気になる季節には、つつましく登場してくれる人。

 しかも今回はプレゼント付きだ。

 『養命酒健康談話室』というラジオ番組1年分のダイジェスト版、CD4枚分(240分)を1000名様にプレゼント。関東地区限定のラジオ番組なので、とくに関西の人には珍品かも。う~ん、この真面目で微妙なプレゼント商品のチョイスも、『養命酒』らしいといえば、そのとおりだなあ。

 でも私はできれば「冷えに悩む彼女のイラスト入りTシャツ」なんかだったら、速攻で応募するだろうな。だって「分身」ですからね。

朝日新聞に故郷が!

2009-06-12 00:19:00 | 新聞
 私の実家は近江八幡市である。結婚後も隣町なので、しょっちゅう行き来している。子どもたちの学校もお買い物も習い事も塾も、近江八幡市なので、もしかすると今住んでいるところ以上に思い入れがあるのかもしれない。

 観光の街なので、女性誌の旅の特集には、しばしば登場する。旅行誌にも載る事があるかもしれない。古い町並みが残っているし、自然の美しい場所だし、歴史的にも意味も価値もある場所が点在している。映画やテレビのロケだって、しばしば敢行されている。

 だから、メディアに登場する事自体は珍しくないのだ。でも、今日のはちがうぞ。だっていしいひさいち先生の「ののちゃん」だ! なんと名誉なことであろうか!

 我家で家族4人が回し読みできる唯一の本、つまり家族みんなが愛読している作者が、「滋賀県の近江八幡」という固有名詞を使用したのだ。なんとかしこくも畏れ多いことであろうか。

 しかも、そこには、別段「滋賀県の近江八幡」が登場する必然性は、全くない。(と思われるが、もしかしたら何か深い意味があるのかもしれないと深読みし、H氏は、しばらくその前後を黙読して頭の中身を探索していたようだ) 別にどこだってよかったのに、なぜか「滋賀県の近江八幡」と書かれたのである。

 ほとんど不意打ちのように登場したこの固有名詞だが、これに続く「運河」が何を意味しているのか? そのことをずっと考えつづけていたが、「う~ん、八幡堀(はちまんぼり)のことかなぁ???」と口にはするけれど、あれを運河というのかと問われれば自信が無い。やはり、お城のお堀を「運河」とは言わないだろう。

ともあれ、実物をどうぞ。これです↓



あの素晴らしいメシをもう一度

2009-06-01 23:44:00 | 新聞
 仕事の日の夜には、なかなか新聞をチェックするのが難しいので、翌日のオフにまとめて読む事にしている。

 しかし、なかなか面白記事を発見する事が無く、「優等生の朝日くんには期待する方が無理なのかも」と、ほぼあきらめていた。それでも筆致は抑え気味ながら、なかなかなネタが本日浮上したので、ご紹介したい。

タイトルは『あの留置所のメシをもう一度 出所後わざと無銭飲食』 (2009年5月31日付)

うーん。わかりやすいけど、なんか弱いな。いっそザ・フォーク・クルセダーズ風に『あの素晴らしいメシをもう一度』としたらどうだろう? いや、若い人にはなんのことだか、かも知れないが。

 それは、兵庫県明石市のインターネットカフェで無銭飲食をした男の話である。ありがちな住所不定の無職、25歳の男性で、なんと前日に「長野県」の刑務所をでたばかりなのだ。

 阿曽山大噴火さんの地方裁判所傍聴記を読んだとき、裁判官が「あなた、あれなの? 刑務所志願で万引きしたの?」という箇所があった。

 刑務所志願者ってオー・ヘンリーの短編小説の中での話じゃないんだ・・・しかも少なくとも裁判官という職種の方にとっては、珍しい事ではないんだ・・・とちょっと驚く。でも確かに食べ物と少なくとも屋根の下で寝られるんなら、刑務所暮らしの方がなんぼましか・・・という人が続出しても不思議じゃないのかも。

ところで、今回の犯人は万引きでなく、無銭飲食の罪。記事ではこんな風。

兵庫県明石市のインターネットカフェで無銭飲食をしたとして、明石署は住所不定の無職の男(25)を詐欺容疑で逮捕した。同署によると、男は前日に長野県内の刑務所を出たばかりで、「以前捕まった明石署の留置場のメシがうまく、わざと逮捕された」と話したという。だが、同署の留置場は満杯で、男は淡路島の別の警察署で勾留(こうりゅう)されることになった。

 明石署の留置所のメシがうまいからって! しかも罪状が無銭飲食だなんて! 犯人が「食」に対し、妄執ともいうべき情熱を傾けている事が、これでなにげなくわかる。

 しかも出所した19日のうちに明石に来ているのだ。所持金を新幹線代などで使い果たしてしまうくらい、本日中に明石に来たかったのだ。わざわざ留置所のメシを食べるために、である!

 しかし悪い事はできないもので、明石の留置所が満員御礼だったため、淡路島の留置所に移送されたらしい。
移送のため明石署を去る際は肩を落としていたという
から、ずいぶんな妄執である。食い物の恨みはおそろしいというが、思い込みというのも、あんまりなものである。
 
 だって彼は、19日夜から翌20日朝にかけて7450円分の飲食などをした疑いがあるというのだ。「疑い」の時点でこんなことをいうのも何だが、すでに7450円もの飲食をしているのに、1食あたり393円の留置所の給食が食べられなかったからと肩を落とすなんて。それはずいぶんに、くだんのインターネットカフェと淡路島の留置所の給食業者に対して失礼ではないか、とも思う。いやまあ、値段で「うまさ」は計れないんだけど。それでもねえ。

 一方、この男に見込まれた明石留置所の給食担当業者は、

明石署に給食を提供している業者は朝日新聞の取材に「味には自信はありますが、素直に喜んでいいのかどうか」と困惑していた
ということなのだ。たしかに素直に喜べない状況ではあるよね。いくらうまいからって、これで留置所志願者が増えて、明石が軽犯罪の多発地帯になったらねえ。

 やっぱり、いろんなこと見直した方がいいのでは。軽犯罪、増やすのはマズいもんねえ。これって福祉がしっかり機能してたら、よほど矜持をもっている人(死んでも福祉のお世話にだけはなりたくない、という人)以外は、わざわざ罪を犯さないと思うんだけどね。と、ウケたわりには、真面目な落ちになってしまった。