紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

さよなら、モルソー1号

2005-12-20 11:58:59 | モノ

 4年前、夫・H氏がオーディオ趣味を追求するため隣に家を建てた。それについてもいろいろ話はあるのだが、本流の趣味はオーディオとしても、彼は鴨川のアワのように浮かんでは消える幾多の趣味をもったことか。
 家ができあがっていくのに平行して、H氏より「薪ストーブを入れたい」という申し出があり、子どもの頃「風呂焚き係」が我家での私の仕事であり、毎日薪とつき合ってその侮れなさを知っていた私は最初眉をひそめたが、粘り強く薪ストーブ研究を重ねた彼の説得に、最終的にはいくつかの条件つきで「うん」といった。
 それからストーブ屋さんに見学にいったり外国製のカタログを見たり、彼にとっては幸せな日々が続き、結局デンマーク製の「モルソー」(旧式なシンプルタイプ)に決定した。空気穴二つだけで火力を調節する、アナログなタイプ。
 業者におまかせながらも煙突を付けるのに一苦労し、強風の日には煙が逆流し、薪の調達に多くの休日と労力を費やし、着火に時間がかかり、しかも見守ってやらねばならず、子どもがひとり増えたくらい??世話が焼けるストーブだった。それでも付きあう内、薪ストーブならではの暖かさを知り、情が移り手際も良くなった3年を過ごすも、突然隣に家が建ってしまった。
 「ストーブの煙が隣のベランダ(洗濯物干し)に流れるし、煙の出ないタイプに替える」と寂しそうに言って数ヶ月後の昨日、新型・改良型のモルソー2号が設置され、モルソー1号はH氏の知り合いの家に引き継がれていった。
 「新しいモルソーは煙を二次燃焼するから、近所迷惑にならへんで。炎がオーロラみたいやし、天板も広くなったし」と外面はうれしそうに言うH氏の内心を思うと、ちょっとせつない。