来週には開幕しますプロ野球についての小言を少し…
2018年度 野球規則改正がありました。
その中のひとつ『敬遠』について書きたいと思います。まずは、ルールブックから
「打者が打撃中にボール4個を得るか、守備側チームの監督が打者を故意四球とする意思を審判員に示し、一塁へ進むことが許される裁定である。守備側チームの監督が審判員に故意四球の意思を伝えた場合(この場合はボールデッドである)、打者には、ボール4個を得たときと同じように、一塁が与えられる。」
要は『敬遠』が投球しなくても成り立つと言う事です。
監督が申告すれば投手は打者に対して投球しなくても、四球となります。
このルールを見て、驚いた人、やっぱりかと思った人などなど色んな人がいると思いますが、まずは敬遠というものについて簡単に説明しましょう。
そもそも敬遠とは何なのかという話ですが、野球の用語の一つです。
野球にはピッチャーが投げた球はストライクとボールに分けられます。
簡単にいうとバッターがまぁ打てるでしょうっていう範囲に来た球は『ストライク』、それ以外の球は『ボール』となります。
この『ボール』が1人のバッターに4球投げられた場合『フォアボール(四球)』となり、バッターはヒットを打ってなくても1塁に進塁することができます。
つまりピッチャーはストライクゾーンにちゃんと投げないと、どんどんランナーが増えてしまうということになります。
ピンチになるということですね。
ただ、敢えてこのフォアボールにする為に、ピッチャーがゆっくり『ボール』を4球わざと投げることがあります。
これを『敬遠』というのです。
なんでピッチャーはそんなことをするのかというと、今のバッターがとても上手なバッターでヒットを打たれてしまう確率が高い!
だけど次のバッターは打つのが上手くないから次のバッターと勝負してアウトが欲しい!
ランナーは出してしまうけど打つのが下手な次のバッターに打たれなければ点数を取られることはない!!なんて時に、
今の上手いバッターをフォアボールにすれば自動的にランナーは増えてしまいますが、そのバッターにホームランとかを打たれることはないですよね?
こんな時にピッチャーや守備側のチームは『敬遠』を選択し、4球わざと『ボール』を投げるのです。
なんとなく分かっていただけましたか?
そして今回取り上げた敬遠の申告制は
4球わざわざ『ボール』の球を投げるくらいなら
「敬遠します!」
って監督が言ったら、もうその時点で4球投げたことにしちゃおうよ!っていう話なんです。
なんだ便利なルールじゃん!と思ったそこのあなた。
そんな単純な話ではないのですよ…私は申告制になんてなってほしくないんです。
敬遠申告制に反対する理由は?
なぜ私が敬遠申告制に反対するのかというと『敬遠』の4球の間に色々なことが起こる可能性があり、その4球の間に色々な選手たちの気持ちに変動があるからです。
例えば、先程の例で登場した打つのが上手くないバッター。
前のバッターが敬遠されている4球の間にどんなことを考えるでしょうか。
「俺のことなめやがって」
「ここで打ったら逆にヒーローだ」などなど…
心情に変化があるのは確かではないでしょうか。
実はメジャーリーグでは昨シーズン(2017年度)から敬遠申告制が採用されています。
皆さんご存知のイチロー選手もメジャーの試合でこの申告制になった敬遠を経験しています。
試合後にはこんな言葉を残しています。
「敬遠球を打つとか、暴投とか、それだけじゃない。空気感があるでしょ、その4球の間の。面白くないですよね」
かつてプロ野球でも敬遠球を打ってヒットにしたことや、投手が敬遠球を暴投して得点になってしまったことはご存知の方も多いのではないでしょうか?
そういったドラマはもちろんですが、イチロー選手が言いたいのはそれだけではないと思います。
『空気感』
まさに敬遠の最中にガラッと球場の空気が変わったり、なんともない静けさになるということは多々あります。
この4球のわずか1,2分の時間に心情の変化があり、この変化によって次の打席での結果が変わるかもしれません。
この4球の時間で球場はブーイングに包まれ、一気に雰囲気が変わるかもしれません。
こんな空気感の変化を味わい、4球の間の時間で次のバッターへの期待感、不安、祈りなどの気持ちを高めるのも野球観戦の醍醐味なのではないでしょうか。
時間短縮も大切かもしれませんが、敬遠の独特の間を短縮してしまうというのはいかがなものかと思ってしまうのは、私だけでしょうか?
もっと時間短縮できる所は多々あると思います。