何年ぶりだろうか。
自室で膠液を作り岩絵の具を皿に取り指で溶く。
日本画の道具に向き合うのは10数年…いや、20年ぶりくらいになるかもしれない。
最後に手にした時、確か下塗りを1色刷毛で塗り そこで辞めた。
何を描くつもりだったかも思い出せない。
絵を再開して2年くらいになるが、日本画の絵の具は久しぶり。
絵の具を接着するための膠(にかわ)やたくさんの絵皿や鍋などを出してきて始めるのはどうも億劫で、それを避けるように違う方へ心は離れていた。
前夜から粒状の膠を水でふやかし、煮詰まらないように溶かし、岩絵の具と合わせ指で馴染ませる。
筆に取り、のせるように紙面においていく。
粒子の細かさは様々で画面作りに合わせて色と細かさを選ぶ。
正直描き方についてはだいぶ忘れてしまっているが、道具を並べていると、なんとも懐かしいというか不思議な感覚が蘇る。
あぁそうだった。
これ よく使ったな。
年季入ってみえるな。
これはまだ新品みたいだ。
昔、あたりまえのようにしていた作業をゆっくりゆっくりそぉーっとやってみる。
感慨深い・・・
でも また悩むのだろうな。
あまりに久しぶりすぎて笑ってしまうところもあるけれど、懐かしいばかりではやってられない。
なんでこんなに時間が経ってしまったのか首を傾げてしまうが、すぐに現在進行形になる。
こじんまり始めるつもりだったけれど、既に床にはたくさんの絵皿が並び、息子が帰ってきたらびっくりするかな。
今日は6時間授業だからまだまだ時間はある。
描きかけの水彩もやりたいけれど。
考えているうちに絵が乾いてきた。
今日はいい天気だ。
次はどの色を溶こうか。
この間が何ともいえない。
まだまだ これからこれから。