カタツムリファミリー、あれからのこと。
大所帯だった赤ちゃんの数はすっかり減ってしまったが、残る5匹は元気にしている。
親のつのながくん&ゆっくりちゃんも相変わらず。
そして この親子ではない、別の日にもらってきた3匹は中くらいの子。
今では、息子は赤ちゃんのことを小学生、中くらいの子は中学生、つのながくん&ゆっくりちゃんは大人…と呼ぶ。
「いつまで飼うの?」
夫に言われ、そのうち息子まで言うようになった。
いつのまにか、私がせっせとひとりで世話をして、可愛いなぁ~と観察している。
一方、息子は次にダンゴムシやアゲハ蝶の幼虫を飼いたいらしく心はそっちにあるようだ。
カタツムリを放すのなら、近所の公園ではなく、元いた喫茶店のお庭に返そうと思っている。
生態系を崩さない為だ。
喫茶店のスタッフの方には事前に了解をもらっている。
そして先日のこと、めっきり暖かくなった日にまたしても、つのながくん&ゆっくりちゃんは産卵した。
「あっ!タマゴがあるー!!」
タマゴを別のカゴに移し、4箱になってしまった虫カゴを眺めて、
「そろそろ返そうかね、春だしね。」
全部返してしまおうかとも考えたが、今年もタマゴがかえるのを息子は見たいようだ。
色々 息子と相談して、血縁関係(?)のなさそうな後からもらってきた中学生3匹を放すことにした。
最初の名前はメリメリくん、カリカリくん、バリバリくん。
鶏卵の殻が大好物だ。
「お庭には卵の殻がないけど大丈夫かなぁ。
ちゃんと生きていけるかなぁ?」
喫茶店のお庭には毎年たくさんのカタツムリが現れるそうで、きっとそういうところには天敵がいないのだと思う。
カタツムリの天敵はマイマイカブリという虫。
殻の中にとじこもっているカタツムリを吸い出して食べてしまうらしい。
「きっとあそこにはマイマイカブリはいないよ。」
こうして、息子と3匹の中学生カタツムリを持って喫茶店に行った。
お庭の紫陽花の根元には使っていない植木鉢とコンクリートの破片が置かれていたので、そこにカタツムリをそっと置いた。近くに苔が生えていたので、カタツムリは早速苔を食べ始めた。
よく見ると、紫陽花の葉の裏などに他のカタツムリが隠れているのをいくつも発見できた。
「仲間がいるよ!」
「ちゃんと生きていけるね。」
どうやら心配はなさそうだ。
「さよなら。」
「バイバイ、メリメリくん、カリカリくん、バリバリくん 。」
お庭を散策していたら、喫茶店の方が
「ミツバチ見てみる?」
と声を掛けて 桜の木の下に設置されたミツバチの巣箱を見せてくださった。
「おいしいハチミツとれるかなぁ。」
庭には終わりかけのチューリップ、ミモザ、ツツジなど、たくさんの花々が咲いていた。
きっとここなら虫たちやカタツムリたちは幸せに暮らせるのだろう。
一安心して喫茶店を後にした。