ネギ科(←ユリ科)ネギ属の「ヤマラッキョウ(山辣韭)」。東北地方~九州の山野に分布する多年草で同属のラッキョウが常緑なのに対して本種は冬には地上部が枯れて無くなる。花期は9~11月で茎先に直径3~4センチの球状の散形花序を出し紫色の小花を多数咲かせる。同属のラッキョウと比べると草丈は低く花柄は短いが個体差があり明確な違いはわからない。雄蕊の花糸には不明瞭な歯芽があるがラッキョウほど明瞭ではない。
奥高尾“学習の歩道”に生えている「マツカゼソウ(松風草)」。ミカン科マツカゼソウ属の多年草で東北地方~九州の山地に分布している。8~10月に直径4~5ミリの白い花を咲かせた後、果実は柄の先に付き3~4分果になる。
キンポウゲ科サラシナショウマ属の「サラシナショウマ(晒菜升麻)」。北海道~九州の山野のやや日陰に分布する多年草で8~10月に長さ20~30センチの総状花序に多数の小花を咲かせる。果実は長さ1センチほどの袋果で上部の横には花柱が突起状に残っている。花期には花は四方を向いているが、果実になると皆上向きになる。
神明谷戸では稲刈りがすっかり終わり、刈り取られた株からいくつも“ひつじ※”が伸び始めている。この状態を“ひつじ田※”と呼び俳句では秋の季語になる。その横で刈り取られずしぶとく残っていた「タウコギ(田五加木)」。キク科センダングサ属の一年草で日本全土の湿地や水田で見られる。果実は扁平な楕円形で長さは1センチほど。先端には2本の棘がある。
※ひつじの漢字はのぎへんに魯
ヒユ科アカザ属の「アカザ(藜)」。世界中に広く分布している一年草で日本には古くに中国から渡来したとされている。今では畑の雑草とされるが昔はシロザと共に若芽や若葉などを食用として栽培され、また全草を乾燥させたものが喉痛や整腸に効く民間薬として利用されていた。その茎は軽くて硬く水戸黄門の杖になったという俗説もある。写真は果実で上から見ると直径2ミリほどの5角形に見える。
野津田公園“上の原ススキ草地”に生育している「ヒキヨモギ(引蓬)」。ハマウツボ科(←ゴマノハグサ科)ヒキヨモギ属の一年草でススキなどイネ科植物に寄生するが自身でも葉緑素を持つ"半寄生植物”。7~9月に葉腋に長さ2~3センチの黄色い唇形花を咲かせ果実は長さ2センチほどの蒴果になる。写真は既に種子を散布した後のもの。
長沼公園“野猿の尾根道”に生育している「オケラ(朮)」。キク科オケラ属の多年草で本州~九州の山野のやや乾いた場所に分布している。雌雄異株で9~10月に茎頂に直径3~4センチの頭花を付ける。果実は長さ5~6ミリの痩果で長さ1センチほどの冠毛が付いている。
中山地区の林縁で開花した「サラシナショウマ(晒菜升麻)」。キンポウゲ科サラシナショウマ属の多年草で北海道~九州の山地のやや日陰に分布する多年草で8~11月に長さ20~30センチの総状花序を出し純白の小花を多数咲かせる。高尾山などでは登山道脇で普通に見られるがこの界隈では長沼公園など低地の丘陵でも見られる。以前は蓮生寺公園でも見られたがいつの間にか消滅してしまった。
奥高尾“大平林道”に咲いている「リュウノウギク(竜脳菊)」。キク科キク属の多年草で本州の関東地方以西や四国、九州の一部に分布している。日本固有種で丘陵地の陽当たりの良い岩場や林縁に生育している。頭花は直径3センチほどで舌状花はノコンギクやカントウヨメナよりも太めで丸みがある。葉は長さ3~4センチで3中裂し揉むと樟脳のような芳香がある。