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虫・11~雪虫1

 初冬に陽当たりの良い場所で雪のようにフワフワと舞っている“雪虫”。体長は4ミリほどで腹部に白い綿毛のような形状の分泌物を付けている。これは土や水分から身を守るとともに空中を漂い易くしているもの。飛び回るのはあまり得意ではないようで手のひらで追うとすぐに捕まえられる。北海道では冬の到来を告げる虫で「トドノネオオワタムシ(椴之根大綿虫)」と呼ばれ、これが飛び始めると雪が降るという。春にタモ類やハシドイなどの枝や葉に密生し新芽から吸汁する害虫で夏はトドマツの根に棲み土の中で繁殖するのでその名がある。見た目は可愛いがアブラムシの仲間でアブラムシ科アブラムシ属になる。東京など暖地ではエノキワタアブラムシなどが分布しているようだが、写真の個体はトドノネオオワタムシのように思える。
 さて昨日、当地の東京都立大学キャンパスで同大学の教授が切りつけられるという事件があり犯人は逃走中でまだ捕まっていない。大学に隣接する松木日向緑地は良く訪れているが平和で静かな南大沢でいやはや物騒な事件が起こってしまった。先ほど大学の前を通ったらマスコミ各社の中継車両が止まっていて正門前では撮影が行われていた。一刻も早く犯人を捕まえて欲しい。
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オジギソウ・2~葉

 触ると葉が閉じ茎がお辞儀するように垂れ下がる「オジギソウ(お辞儀草)」。写真は葉の先を触り葉が閉じ始めたもの。この仕組みを埼玉大学と基礎生物学研究所の研究グループが解明し先日英科学誌ネイチャー・コミュニケーションに掲載した。研究によるとゲノム編集技術で葉が閉じないオジギソウを作り、通常のオジギソウと並べてバッタなどに食べさせる実験を行った。その結果、通常のオジギソウはバッタが食べようとすると葉を閉じたためバッタは脚が挟まれたり足場が不安定になったりしてバッタが食べるのを止め、葉を閉じないタイプのオジギソウに比べて食べられる量は半分程度にとどまった。これは昆虫に食べられないように身を守っている仕組みと考えられる。葉を動かすのは触られたり食べられた場所でカルシウムイオンが発生し、葉脈を通じて葉の付け根にある“葉沈(ようちん)”と呼ばれる器官に達することが判明。イオンの到達からわずか0.1秒後に葉が閉じ始めたという。
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サンシュユ・1~果実

 清水入緑地の四阿(あずまや)横に生育している「サンシュユ(山茱萸)」。ミズキ科サンシュユ属(ミズキ属)の落葉小高木で早春に黄色い花序を枝いっぱいに付ける。果実は楕円形の液果で長さは1.5センチほど。酸味が強いが食べられる。この様子を“珊瑚”に見立てて「アキサンゴ(秋珊瑚)」の名もある。
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クロヤツシロラン・11~根茎

 晩秋に竹林を探索するとあちこちで「クロヤツシロラン(黒八代蘭)」が茎を伸ばしている。枯れた竹稈の間から果実が伸びていたのでその根元を観察しようと思って竹稈をそっと動かすとその株は土の中から生えていたのではなく竹稈の側面に菌糸とともに付着していた。根茎は長さ3~4センチで想像していたより太い。大きくなると花茎は複数になるようだ。思いがけず株全体の様子を観察できたがもちろん撮影後は元の状態に戻しておいた。
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キチジョウソウ・2~大平林道

 高尾山頂からそのまま尾根道を西に向かうと奥高尾“もみじ台”や“一丁平”を経由して“小仏城山”に着く。この尾根道の南斜面に“高尾林道”と“大平林道”がある。緩やかなアップダウンの道だがほぼ等高線に沿っているのでクネクネ曲がってとにかく長い。“小仏城山”までは約5キロあり尾根道のほぼ2倍になるのでこの道を歩く人はほとんど無くこの日すれ違った人は3人だけだった。
 その大平林道の道端で見つけた「キチジョウソウ(吉祥草)」。キジカクシ科(←スズラン科・ユリ科)キチジョウソウ属の多年草で関東以西の林内に生育している。草丈は15~20センチで秋に穂状花序を付け冬に果実が赤く稔る
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アズマヤマアザミ・1~果実

 キク科アザミ属の「アズマヤマアザミ(東山薊)」。関東地方や中部地方の山地や林縁に生育する多年草で花期は9~11月。四国や九州に分布するヤマアザミに似ていることから“東”の名が付けられている。果実は痩果で長さ4~5ミリ。14~16ミリの冠毛が付く。写真は果実が基部から離れた状態で痩果がほとんど無くなり冠毛が残っている。
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番外編・8~ニホンザル1

 多摩森林科学園“第3樹木園”で見掛けた「ニホンザル(日本猿)」。オナガザル科マカク属の霊長類で園内にはサル出没の注意看板がある。まさか実際に野生のサルが見られるとは知らず散策路を進んでいると遠くで何か動いたものがあった。野鳥かなと思ったがしばらく進むとサルが遠くに見えた。写真のロープと白札は観察路沿いのものでそこは人が普通に歩く道になる。すぐ近くにも数匹のサルがいる。ここは樹木園の一番奥で私以外には人はいない。サルが集団で襲ってこないかと少し不安になったが山道を進むうちにその姿は皆消えてしまった。
 さて多摩ニュータウンの南大沢(旧由木村)から北野や八王子中心部に向かう丘陵地に標高160メートルの“野猿峠(やえんとうげ)”がありそこを通る都道160号線は“野猿街道”と呼ばれている(野猿街道の八王子市下柚木交差点から東の国立市青果市場東交差点までは国道20号府中相模原線)。“野猿峠”は古くは“猿丸峠”や“猿山通り”と呼ばれ峠で馬や牛を休憩させる水飲み場があった。昔はその辺りにも野生のサルがいたのだろうと思っていたらさにあらず。野猿峠の名の由来には諸説あるようだが、戦国時代の滝山城城主・大石定久が亡くなった後、現在の下柚木辺りに葬られた。大石家に由来するものは由木城跡、殿ヶ谷戸、御嶽神社、大石やかた公園などいくつかある。その墓が武甲山(埼玉県)を遥かに望む峠にあったためそこを武甲山の名を冠して“甲山”と呼ぶようになった。そしていつしか“甲”の字が“申”と読み誤られ“申山”となりその後“猿山”→“猿丸峠”→“野猿峠”となったという。京王線北野駅付近の打越交差点では地元の不動産屋の大きな看板があり『“野猿”を“のざる”と読むべからず』とある。野猿峠にサルはいなかった。 
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ヤマコウバシ・2~紅葉

 長池公園の林縁に生育している「ヤマコウバシ(山香ばし)」。クスノキ科クロモジ属の落葉低木で中国原産。日本には雄株が無いとされており雌株だけで結実する花には仮雄蕊があるが花粉は無いというので結実するのが不思議だが、これは“無融合生殖”と呼ばれる繁殖方法で種子は親と同じ遺伝子を持つクローンになる。ヤマコウバシは低木で雑木林の中では目立たないが冬になると周りの樹々が葉を落とす中、この葉は長い間落ちることなくその存在がわかる。写真のように紅葉するのは今まであまり気付かなかったが、これは良く目立っていた。
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ニセアカシア・2~幼木

 別所やまざくら公園の法面で黄葉を見せている幼木。これはマメ科ハリエンジュ属の「ニセアカシア(贋あかしあ)」で北アメリカ原産。蜜源植物や公園樹などに使われているが痩せた土地でも根粒菌が窒素を固定するため各地で野生化している。ここでも法面でかなりの株が芽生えているが、そのうち刈られてしまうのだろう。
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ヒマラヤスギ・2~雌花序

 昭和記念公園で多く見られる「ヒマラヤスギ(喜馬拉耶杉)」。この時期になると雄花序が目立つようになり樹の下には花粉を出し役目を終えた花がたくさん落ちている。しかしその株には雌花序は見当たらない。写真は雄花序が付いていない株の枝を念入りに探してやっと見つけた雌花序。細い葉の長さは2.5~3センチで雌花序の緑色の部分は7~8ミリ。雄花序の数に比べれば圧倒的に少ない。こうして見ると雄花序だけ付ける株と球果だけの株の雌雄異株のように思える。しかし当地の大塚公園にあるヒマラヤスギは今ちょうど高い枝に球果が見え枝には雄花序は見えないが、樹の下を探すと雄花序がいくつか見つかった。つまりヒマラヤスギは雌雄同株で、雄花序だけが目立つ株、雌花序(球果)がいくつか付きポツポツと雄花序も付く(もしくは雄花序が付かない)株がある。ヒマラヤスギはマツ科ヒマラヤスギ属の落葉高木。
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