奥高尾で多く見られるイナモリソウは色々な変種が見られる。写真は「ホシザキイナモリソウ(星咲き稲森草)」で基本種の花冠の縁がフリル状になるのに対して本種は縁が内側に折り畳まれ細い星形になる。今、NHK朝ドラ『らんまん』が話題になっているが、これは牧野富太郎博士が高尾山で発見し1926年に発表された。博士がこの花をどのようにスケッチしたか興味津々ではある。
シソバタツナミの変種の「トウゴクシソバタツナミ(東国紫蘇葉立浪)」。シソ科タツナミソウ属の多年草で東北地方~中部地方に分布している。シソバタツナミの茎には上向きに曲がった短毛が密生するが、本種は長めの開出毛が多く上向きにはならない。茎の上部の葉が大きく全体的に毛が多い。シソバタツナミとの中間的なものもあり同定は難しいようだが一応トウゴクシソバタツナミとしておこう。これは高尾山のもの。
シソ科タツナミソウ属の「シソバタツナミ(紫蘇葉立浪)」。東北地方以南に分布する多年草で葉がシソに似ていることから名付けられている。根茎は横に這い茎は立ち上がって高さ5~15センチになる。茎には上向きの短毛が密生している。花期は5~6月で当地ではタツナミソウやオカタツナミソウよりも少し遅い。
湯殿川"住吉橋”付近で見掛けた「イソヒヨドリ(磯鵯)」。名前の通り海岸の磯に多く生息し大きさがヒヨドリくらいなので名付けられているがヒヨドリとは異なりヒタキ科イソヒヨドリ属の留鳥。建造物を磯の崖に見立てて市街地にも進出しているという。渡り鳥ではないので夏でも出会う機会はある。
ムラサキ科サワルリソウ属の「サワルリソウ(沢瑠璃草)」。日本固有種で本州以南の山地の沢沿いの木陰などに生育している。草丈は50~60センチで5~6月に茎の上部に巻散(けんさん)花序(=さそり形花序)を出して長さ10~15ミリの白色~淡青紫色の花を数個咲かせる。これは高尾山系のもの。
クマツヅラ科イワダレソウ属の「ヒメイワダレソウ(姫岩垂草)」。南アメリカ原産の常緑小低木で、地を這うように枝を伸ばし初夏~秋に掛けて直径1センチほどの小さな花をたくさん咲かせる。植物観察を始めた頃、この花を近くの別所やまざくら公園で初めて見てその名前を探すのに苦労した記憶がある。ガーデニングではグランドカバープランツとして重宝されている。拙庭は20年以上ずっと芝を敷いているが、今回アクセントとして庭の隅にこの花を植えてみることにした。写真は町田市の谷戸付近の道路脇に植栽されているもの。
ツクバネの葉に止まっている「アカスジキンカメムシ(赤筋金亀虫)」。キンカメムシ科アカスジキンカメムシ属の昆虫で関東地方以南で見られる。幼虫は“ちびまる子ちゃん”の顔のような模様だが、写真は成虫のもので緑色地に赤い筋が入りとても美しい。
先日、シラユキゲシの茎を切った時に出る赤い汁を紹介したが、その際に「ナガミノヒナゲシ(長実雛罌粟・長実雛芥子)」の茎からも同じような汁が出るというコメントを頂戴したので実際に試してみた。茎を切ると見る見るうちに黄色い汁が滲み出てくる。この成分にはアルカロイド系の有毒物質が含まれており害虫や動物から身を守っている。ちなみにアヘン成分は無いのでこの花からはアヘンは精製できない。ナガミノヒナゲシはケシ科ケシ属の一年草。