コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

Break through part2

2014年10月14日 | ゲームブック
前回、お宝の話を聞き、基地に戻りました。
今回はその支度をすべく、モビルスーツの調達に向かいます。

ジープは小さな基地に申し訳程度についているゲートを潜った。宿舎
へ歩いて行く女を見つけて、デュークはジープのスピードを落とした。
「グリーンちゃん!トラッパーは部屋か?」
「ヴァロージャ…いえ、ラミウス中尉はメンテナンスヤードにいらっ
しゃいます。何か…その、レクチャーをなさるそうで、整備士全員を
集めておられたようですが」
「OK、OK…皆に話があるんだ。キミも乗りな」
「今…ですか?」
グリーンは、何故か困ったような顔になる。
「どうした?」
「いえ、その…判りました」
ジープがメンテナンスヤードの前まで来ると、中で大勢がご機嫌で騒
いでいるのが判った。アルコールが入っているらしい。ドアの上には、
『実習・不凍液の科学的組成-講師:ウラジミール=ラミウス』と書
かれた紙が貼ってある。
中に入った3人は、一同の歓喜の声で迎えられた。前にビールの缶を
山のように積み上げ、左右にどこで見つけて来たのかバニーガールの
格好をした女の子を侍らせたトラッパーが手に持ったアルミ缶を頭上
高く差し上げる。
「諸君!我がマッシュの最高責任者の御入来だ。忠実なる小姓と麗し
き侍女を従えておられるぞ。マーシャ!飲み物を差し上げろ」
ツナギを着たブロンドから受け取った缶ビールのリップを引きちぎり
ながら、ホークアイは大騒ぎのメンテナンスヤードを見回した。整備
士どころか、基地にいる人間全部が集まっているらしい。
「一体、これは何の騒ぎだ?」
「パーティーですよ。皆ちょっとしたお祝いに集まってくれて」
「何を祝うんだ?」
「トラッパー、ギャプランはどーした?」
「ギャプラン?」
「デイゴのギャプランだよ。見当たらんがどこへやった?本部基地の
工場か?」
「うるせーヤツだな。酔ってるのか、デューク?」
辺りが静かだったら、デュークの堪忍袋の緒が切れる音が聞こえたか
も知れない。
「オレは真面目な話をしてんだ!」
デュークの勢いにトラッパーが慌てて両手を挙げる。
「判った、判った!降参!」
「どうしたって聞いてんだ!」
「制御系の不調だろうと思ったんだが、念のため超音波当ててみたん
だ。そしたらプラズマ容器が劣化してやんの。こりゃこんな前線じゃ
手がつけられん、と思って…」
デュークの顔が失望に歪んだ。
「後送しちまったのか…」
「うんにゃ、売っちゃった」
3本目のビールを飲み干したホークアイが聞き返した。
「これがそれか?」
手にした缶ビールを掲げてみせる。
「いや、急に金が入り用になっちまってね。これはその余り」
トラッパーは照れたように頭を掻く。
ホークアイにしなだれかかったバニーガールが代わりに答える。
「奥さんが妊娠なさったんですって」
「なるほど、そのお祝いって訳か」
コツンと手にした缶をぶつけ合ったりなんかしているホークアイとト
ラッパーを見て、デュークはウガっと呻いた。
ホークアイの手から缶を引ったくる。
「隊長!良いんですかい、軍の装備を勝手に横流ししやがったんです
よ、コイツは!」
顔を真っ赤にして喚くデュークを面白そうに眺めながら、ホークアイ
は新しい缶を開けた。
「しかしねぇ…プラズマ容器に異常があるんじゃ、後送したところで、
前線に戻って来るまで何日かかるか判ったモンじゃないゾ。ひょっと
したらスクラップとしてジャンク屋に払い下げなんてことになるかも
知れん。だったら現地で処理しても同じだろ?今日日、その辺のジャ
ンク屋はヘタすると軍の工場より立派な施設を持ってたりするからな。
1ヶ月もするとちゃんと修理したギャプランを売りに来たりするかも
知れんぜ。そうなりゃ軍に取っても得になることだし、ボクたちはこ
うして思わぬ特配に預かれるって寸法だ、文句言ったら罰が当たるぞ」
「判りましたよ、悪徳中尉殿。で、そのギャプランをどこに売ったん
だ?」

デュークとトラッパー、そしてグリーンの3人はジープで第103モ
ビルスーツ戦闘団の本部基地へ向かっていた。ホークアイはメンテナ
ンスヤードに残った。
「中尉、運転代わりましょうか?」
「ダイジョーブ、酔ってないって」
そう言いながらも、トラッパーのハンドル捌きはかなり危なっかしい。
「ギャプランを買ったヤツが本部基地にいるのか?」
「兵站部長をやってるお姉さんがいるんだけど…ご存じない?」
「ああ…金さえ渡せばコンドームから戦闘機まで都合してくれるって
女だろ?ディーラーって呼ばれてる」
「ディーラー?」
驚いたような声を上げ、グリーンがデュークを見た。
「そう、本部基地で賭場を開いているらしいぜ。知ってんの?」
「いえ、別に…」
グリーンは慌てて目を逸らした。
「しかし、ジャンク屋の仲介もやってるとは知らんかったな」
「そーゆー連中とつき合いがあるから、どんな商品だろうと調達でき
るって仕組みだよ。で、話を戻すけど、その町にあるお宝ってのは一
体何なんだ?」
「たまげて事故起こすなよ。1トンの黄金だぁな」
トラッパーは首を捻って助手席のデュークの顔を見詰めた。
丁字路を直進しようとしたジープは危うく畑に飛び込み損ねる。ハン
ドルを戻したトラッパーはニヤリと笑った。
「本当なら…美味しそうな話だな」
「ヴァロー…いえ、中尉!まさか、こんな話に乗るつもりじゃないで
しょうね!」
グリーンが口を挟んだ。
「どうして?1千万の仕事だぜ」
「死んでしまえば、1円にもならないじゃありませんか」
「死にぁしねーよ」
「中尉にもしものことがあったら、奥さんはどうなるんですか!」
トラッパーは苦笑いをして見せるだけだった。
「…わたし、本部に着いたら司令に総てをお話しします。本気ですか
らね!」

ちゅーこって次回は売買の仲介人に会いに行きます。

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