防衛省統合幕僚監部は13日、平成29年度に航空自衛隊の戦闘機が実施した緊急発進(スクランブル)が904回に達し、統計開始以来6番目の多さだったと発表した。前年度比では264回減った。国別では中国の500回が最多で、ロシアは390回だった。
中国機に対するスクランブルは過去最多だった前年度の851回から大幅に減少したが、過去5年でみれば3番目の多さだった。昨年8月にはH6爆撃機6機が初めて紀伊半島沖まで飛行する「特異な動き」をみせた。5月には尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国海警局公船の上空を飛ぶ小型無人機「ドローン」による領空侵犯も1件確認された。
また、宮古海峡を通過する飛行が36回と過去最多で、12月には中国軍の戦闘機による初の対馬海峡通過も確認されたことから、統幕監部は「中国側の活動範囲の拡大を特徴づけている。回数は減ってはいるが、活動が低下しているとは認識していない」と分析する。
一方、ロシア機に対するスクランブルは前年度比で89回増えた。TU95爆撃機による日本周辺の長距離飛行を含む「特異な飛行」が前年度比12回増の21回で、統幕監部は「ロシア機による訓練・偵察の活発化傾向は継続している」とみている。
中国、ロシア以外では、台湾機に対するスクランブルが3回、民間機や国籍不明機などを含む「その他」が11回だった。