身体の感覚を取り戻すことは、ヨガのひとつの目的です。
自分の身体の問題を語るときに医者の言葉、医者の数値でしか表現しないひとが多いのに驚きます。
医師の言ったとおり、原因は「老化」であり「生活習慣」であり「体質」、だから治らない、と。
従って手術しかない、と医師のことばそのままを言い、リスクを負っても入院して手術する道を選びます。
ある知り合いは、現在の夫とのあいだにどうしても子どもが欲しい、と不妊治療を始めましたが、毎回医者から示される数字にうんざりして撤退を決めました。
自分が数字で表わされている気になる、と。
以来このカップルはガラッと切り替えて、ふたりでハッピーに暮らしています。
一方、がんばり屋の友人は、治療をくり返し、とうとう妊娠に至らなかった自分に責任を感じて離婚。
その後、別な道を歩んでいます。
「用無し」のレッテルを貼られたように感じた、と深い傷を負いました。
難解ではありますが、バーバラ・ドゥーデンの「女の皮膚の下」という17世紀の医師シュトルヒが、女性たちの訴えを彼女たちのことばをそのまま記した本に取りかかりました。
「身体に出た褐色のアザが消えるとき、悪い息が出た。」
「汗は尿の匂いがした。」
「月経がこないので下痢をした」
「月のものが滞って血の混じった唾がでた」
「子宮のなかの風が耳から出て行った」
「呼吸と言葉が耳から出ていった」
17世紀の女性たちは、そのようなことばで自分の身体を語っています。
子宮の風が上昇し、耳から出ていくことば!
なんとすてきなのでしょう。
もういちど、自分の身体を自分独自のことばで語りたいと思うのです。