ぶつぶつ地蔵

地蔵 呟く ひーの言葉を。ぶつぶつと…。

コメント大歓迎!BUT訳の解らない書き込みはザクザク消しますッス!

茂山狂言会

2007-10-10 11:02:56 | 舞台関係
金木犀がようやく香ってきたなぁ・・・なんて思いながら憑神を観にいった翌日。京都では大阪なんかよりもっと強く金木犀が香っていた。
ん~・・・秋やなぁ。。。
そんな10月7日、『茂山狂言会』へ行ってきた。

千作先生の米寿と七五三さんの還暦。二重祝い公演である。


これはもう、演目如何にこだわらず、行くしかあるまいて。って一方的な義務感からゲットしたチケットなのだ。
もちろん二重祝賀の会にふさわしい演目で、オイラも初見の演目ばかり。
義務感以上に行きたかったってのが本音ですが^^


■猩々乱
素囃子での演奏。
お能の猩々乱は一度見たことがあるけれど、お囃子のみってのは始めて。
お能の時はちょっくら酔いの回る猩々より先に船出しちゃったオイラだが、お囃子では猩々がふらふらと酔っていく様が感じられ面白かった。もっかいちゃんと猩々を見なければ・・・

笛:杉市和
小鼓:曽和博明
大鼓:石井保彦
太鼓:前川光範


■庵梅
稀曲中の稀曲。
主人公が女性の曲は狂言には数曲しなかく、その中でも庵梅は登場人物全てが女性という唯一無二の曲である。千作先生も2度しか演じられていないとか。今回は千作先生の目のことを考え、視野の狭まる面を着けずに演じられた。
梅の咲く庵に住む老婆のところへ、女房乙女達が訪ねてくるお話。
おばば様に歌を披露し、おばば様と共にささを傾け、肴に舞を舞う女達。詠まれた歌は梅の枝に下げ風に舞う。
楽しげに歌い踊る様がとても朗らかで楽しい曲である。何より千作先生のおばば様は催行にチャーミング。「あぁ!」と言って歌を褒める仕草も可愛ければ、皆に進められて舞を舞うときには腰をフリフリなんかして色っぽさすらかもし出す。
宴もたけなわでお開きとなり、女達は帰っていく。その後姿を見送るおばば様に涙が出た。「また必ず来るのだよ」と何度も何度も見えなくなるまで手を振る様が、オイラの祖母とリンクしたから。
女達に千作先生の孫+甥孫、地謡に兄弟+子+甥、後見に薫さんたち一族・・・だったかな?とにかく茂山家全員体制で米寿を祝っているのが良く伝わってきて、さらにジーン・・
そうそう。女達を女房と乙女にちゃんと分けていて、それは妻帯者かそうでないかになっていたのがプチこだわりだなぁと思って見てしまった(笑)なので、乙女(未婚)は逸平ちゃんと童司君のお二人でしたね。

老尼:茂山千作
女:茂山正邦、茂、童司、宗彦、逸平(登場順)


■太刀奪
天神さん(北野天満宮)のお祭で太郎冠者が主人のために道通りの者から太刀を奪おうとして、逆に主人から借り受けた自分の腰のものを取られてしまう、太郎冠者モノ。
千五郎さんの太郎冠者がうつけ過ぎて笑える。
また忠三郎さんの道通りの者のテンポもまったりしていた面白い。

太郎冠者:茂山千五郎
主人:茂山千之丞
道通りの者:茂山忠三郎


■三人かたは
かたはを召抱えるという有徳人のトコロへ、オケラになってしまった3人の賭博打が、かたはを真似て雇ってもらおうとするお話。
一人は目が見えない座頭に。一人は足の不自由ないざりに。一人はしゃべることの出来ないオシに。それぞれ召抱えてもらったが、有徳人の留守中に三人が顔を合わすことになる。実は顔見知りだった賭博打らは酒盛りを始めて、途中で帰ってきた有徳人にかたはで無いことがばれてしまい、それぞれに逃げていく。
本来ならば眉間に皺の寄る賭博打の行動だが、狂言ではなぜか許せてしまう。ソコには心底だましてやろうとか、盗み取ってやろうとか言った卑怯な事柄があるのではなく、どこまでものんき者のうつけが「ばれちゃった~」といって逃げていく、そんなのんびりとした戒めがあるからだと思う。いけないことは露見するっていう風刺なのだと思うのだけど。

賭博打甲:茂山七五三(オシ)
賭博打乙:茂山あきら(座頭)
賭博打丙:茂山宗彦(いざり)
有徳人:網谷正美



毎度見て思うんだけど・・・孫達が父・祖父にどんどん似てきて(笑)もちろん、孫だけでなく子が父にもどんどん似てくる。不思議なことに、血縁じゃない一族さえも似てきてる気がするんだもん。
似ているようでちょっとづつ違うお顔。そして似ているようでちょっとづつ違う声。ふふふ。見分け聞き分け出来ちゃうんだから、それぞれの個性が光ってますよね。
これからも元気で頑張ってくださいね!
ちなみに今回は千三郎さんと丸さん(佐々木さんもかな?)がお休みでした。

写真に写っている和菓子は、京都観世会館の近くの和菓子屋さんで買った秋の味。
栗餅・麦まんじゅう・栗蒸ようかんの3つである^^