「いっぽ」のつぶやき

健康に福祉にボランティアにと、自分らしい人生を過ごすために、一歩ずつ歩んでいる「いっぽ」のつぶやきです。

終末期医療

2007-11-28 07:33:35 | 美容と健康
終末期医療に取り組む医療チームの記事があり、本当の医療とは何かを考えさせられました。

医師6人で、がん患者を中心に年間200人以上を在宅でみとる“チーム岡部”のリーダーは、かつて最先端の移植医療に携わる外科医だった。
「180度違う世界」に足を踏み入れる出発点になったのは、父の死だ。
肺の病気だった父が亡くなったのは1992年。生前、幻覚が激しく「暴れるので置いておけない」と病院を出された。やむなく栃木県の自宅に戻ると、うそのように幻覚が消えた。
「病院という環境が原因だったのでは」。疑問がわいた。
勤務先の宮城県立がんセンターの麻酔科医らと一緒に、外来患者を在宅でみるようになった。
手探りが続く中、穏やかな表情で亡くなっていく患者に驚かされた。それまで自分が病院で見てきた「死」とのあまりに大きい落差。
「これは一体何なんだ?」

経験を重ねるうち、答えは自然と見つかった。
夫と二人の子どもがいる30代の女性患者は、がんが脳に転移し、失明した。階下で子どもの声が響くのを聞きながら、女性は言った。
「病院にいなくてよかった。他人に囲まれて、目が見えなかったら誰だって怖いでしょう。自分の家なら、そんな思いをしないですむ」

一年間、自分が担当した終末期の入院患者全員を在宅に移したことがある。医療水準は落とさない。病院に戻りたくなったらいつでも受け入れる。そう約束した。
まだ介護保険のない時代、保健師にかけあって介護など支援。約20人の患者のほとんどがそのまま在宅で亡くなった。

家族や地域とのつながりを保ちながら、自然な最後を迎えること。患者が求めているものが、はっきりと分かった。病院はそのつながりを断ち切ってしまう。
97年、がんセンターを飛び出し、宮城県名取市に岡部医院を開設した。

10年が過ぎ、チームは大きく育った。訪問看護師や介護ヘルパー、臨床心理士ら多職種のスタッフが集い、24時間体制で患者や家族を支える。
「いつもと何か違う」。ちょっとした変化もスタッフが毎日電子メールで細かくやりとりし、会議では問題点などを率直に話し合う。
地域の診療所から指導を求められる機械も増えた。テレビ電話を使った勉強会を開き、緩和ケア技術の普及を目指す。

病気を治すことと、亡くなる患者を見送ることは同じ重みがある。地域の中で総合的なケアシステムを作り上げ、次の世代に引き継ぎたい。
「自分でやれるのはあと10年。それまでに何とかね」。患者宅から戻る車の中。遠くない未来に思いをはせた。
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