智慧子のブログ

詩のある暮らし

賢治の留守

2018-01-17 18:33:26 | 日記
昨日、門井慶喜氏が「銀河鉄道の父」で直木賞を受賞
されたことで、思い出した詩があります。

2002年から詩を作り始めた私が、9月に作った詩です。
夏休みに家族で花巻の宮沢賢治の家・羅須地人協会へ
出掛けた後に作った詩です。

賢治の留守
               丸山 智慧子
          
どうやら賢治の留守に
来てしまったようだ
「下の畑ニ居リマス」賢治
黒板のまっ白いチョークが
まだまあたらしい

硝子窓から覗くと
家の中からみずみずしい緑が
わきあがってくる

吸い込まれるように
靴を揃えて上がる
右手の木の扉は
すでに開いていたが
火を落としたストーブを
ぐるりと囲む円椅子に
先客はない

窓側に置かれたオルガンの
蓋を開ければ鍵盤が
しょんぼりと並んでいる
思わず
賢治の「星めぐりの歌」を
口遊む・・・

私は羅須地人協会を
出て下の畑に
向かって走っていた