山岳ガイド赤沼千史のブログ

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槍ヶ岳三昧

2018年07月22日 | ツアー日記

ボチボチと仕事に復帰して、楽ちんルートをやらしてもらっている。
常念岳〜蝶ヶ岳ルートは意外と来たことが少なくて、久々に歩く稜線はとても新鮮だった。
2日目の朝常念岳を超えると、ルートは大きく降り一旦樹林に入ったりもするのだが、そんな場所に広がるお花畑は今や百花繚乱。
地元の山とは言え燕岳辺りと雰囲気も随分違うもんだなあと感心しつつ蝶ヶ岳に向かった。
今年の猛暑は張り出した太平洋高気圧の上層にチベット高気圧がのしかかる事で起きているんだそうで雲がわきにくく、稜線はずっとギラギラの太陽に照らされている。
喘ぐように登り、少しでも涼しい場所を見つけては涼を楽しむ。ほんとこの空気を里に持って帰りたいわ。
僕の住む安曇野穂高あたりは、松本盆地の底にあたり、夏には県内最高気温を記録する事もたびたびだ。
日が沈めば涼しくなるのだが、日中の暑さはハンパ無い。
今日も暑いんだろうなとか、先日蒔いた大豆は芽が出るかなとか、ハナちゃんは(犬)やる気ゼロなんだろうなやっぱとか考えつつ歩いた。

夕方立ち上がった積乱雲を夕日が染めた。
それを眺めつつ脱水になった体にビールが悪魔のように旨かった。

最終日三俣に下山、標高が下がれば当然熱くなるのだろうと思っていたのだが、巨木の原生林の中は思いの外涼しくて助かった。
緑が持つ冷却機能ってやっぱすごいんだな。

今年の春林道が崩落して三俣から二キロほど下ったところが仮設の登山口となっている。そこには登山相談所があって救助隊仲間のN君がチョコンと座っていた。そして僕の顔を見つけるなり
「赤沼さーん、ちゃんと歩いてるじゃないすか?ずりーな、ずりーー!」
と彼。
N君は長年の登山活動で膝を痛め、現在登山は極々控えめに、時々ある救助活動とボルダリングぐらいしかできていないのだそうだ。
僕が怪我をしたことを聞いて同じ故障者仲間だと思っていたらしい。
「おいおい、そう言う時は『よかったすね!快復おめでとうございます!』と言うもんだよ君」
と諭しておいた。

山はすばらしいものだ。
こうしてまた山を歩けるようになったこと、心からうれしかった。

 

これは多分国際宇宙ステーション、めちゃ明るくて高速で移動していた