竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

糸状ラン藻についてのまとめ

2009年05月12日 21時20分20秒 | やまめ研究所
先日のバッタの飛蝗に関連して。
この“群棲相”のバッタは体色が緑ではなく茶色ですが、なんとこの茶色はカロテノイドと関係があるんだそうです(「蛋白質 核酸 酵素」2008年2月号)。

そういえば、石に苔が着いて黒光りしてくると、それまでモヤシみたいだったエルモンヒラタカゲロウも黒々として、たくましく、肉厚になってきます。
こういうのが採れると「よし!今日こそ釣るぞ!」という感じですね!

この黒さも、やっぱりカロテノイドと関係があるのでしょうか?


さて、これまで考えてきたラン藻と川虫、そして魚の関係ですけど、ほとんど推測と疑問だらけなんですけどまとめてみるとこんな感じになります。


  1. 糸状ラン藻「Homoeothrix janthina」は、窒素固定を行っているのではないか。
  2. 糸状ラン藻は、珪藻など他の植物・微生物と藻類複合体を作っているのではないか。
  3. 糸状ラン藻のそれぞれの細胞は、その位置によって、特定の機能に特化した代謝を行っているのではないか。
  4. 糸状ラン藻に含まれているカロテノイドは、光合成に使われている他に、有害な青色光を吸収して電子や熱に変える役割を果たしていると考えることも可能。ということは、藻類複合体の中でも外側に位置している細胞に、これらのカロテノイドが多く含まれている可能性があるということ。これらの外側のラン藻は、夏場の過剰な日差しから内部の細胞を守る“日傘”の役割をしているのではないか。
  5. エルモンヒラタカゲロウは、芝刈り機のようにスライドしながら捕食するため、これらの外側のラン藻を多く摂ることになる。そしてこのエルモンヒラタカゲロウを積極的に食べた渓魚は、より多くのカロテノイドを蓄積することになるのではないか。


これから、以上のような推測をどうやって確かめていけばいいのか、戦略を練らなければなりません。予算も機材もありませんから、失敗は許されません。

1. の疑問については、糸状ラン藻(あるいは捕食者の消化器官内)を調べてみて、それで遊離したグルタミン(アスリートやボディービルダーが飲んでいるアレです)が突出して多ければ、それがひとつの窒素固定の裏付けになるかもしれません。
また“複合体”といっても、生息する場所が水のかかる岩肌や水中であることから、陸上の微生物コロニーのように水溶性成分を積極的にやりとりするようなことは難しいかもしれません。
ラン藻同士についていえば、それぞれの細胞は細胞膜を介して接しており、わりと楽に補酵素やアミノ酸をやりとりできるんでしょうけど、珪藻とラン藻とでは、陸上と違ってたちまち流されてしまいますから、ビタミンB群のような水溶性の物質のやりとりはかなり難しそうな気がします。

4. については、一般的に直射日光の当たる場所では藍藻は少なく、高等植物の独壇場となっていることから、“日光の遮蔽”というものがキーになってるような気がします。ラン藻は意外と直射日光に弱いのではないでしょうか。

はて?ラン藻中のグルタミンの量って、どうやって調べたらいいんだろう??



※微生物では、グルタミンが最もポピュラーな窒素源とされているとのこと。そうすると固定された窒素は一旦グルタミンを経て各種のアミノ酸合成に使われていると考えるのが一番自然だから。そして、増殖するスピードよりも窒素固定のスピードの方が上回っていると、細胞内のグルタミン濃度が濃い状態になるのでは?
参考:Georges Cohen「細胞代謝とその調節」みすず書房(1967、1971年)

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