昨日、一昨日の脳の中のスイッチですけど、そんなものがあるのかという人のための簡単な補足説明です。
睡眠、覚醒というモードが明瞭に分かれていることの説明は以下のイラスト(1)を見ていただければ分かると思います。電気のスイッチには必ずバネがあるように、気の利いた、さり気ない仕組みが睡眠と覚醒のシーソーを支えているのではないでしょうか。そうすれば“バネ”のおかげで、揺れ動いたり目覚める途中でコケたりしないわけです。
赤がモノアミン神経系、紫が睡眠と関係のある神経系となっています。そのどちらにも緑で示されるオレキシンが関わっています。今現在分かっていることは、オレキシンは睡眠から覚醒に移行する際に(よっこらしょと持ち上げることと、それを安定化させること)関係しているだろうということのようです。
(「覚醒」の仕組みがこんなにややこしい機構になっているのなら、人間の身体ってもっと壊れやすくなっていてもいいはずだよなあ、というのが正直な感想です。)
そして個人的には、このイラストでは“sleep”と“awake”の2つとなっていますが、これに前回説明した興奮のモード(cautious?)が加わるのではないかと思います。
この図の論文の中で金沢大学の桜井教授は「このような神経回路は睡眠と覚醒の相転移がスピーディーに起こるようないわゆる“flip-flop”のシステムを作っていると考えられる。その反面、この機構だけでは睡眠相と覚醒相の移り変わりが頻繁に起こってしまう性質をもつはずである。そこにオレキシンが介在することにより、覚醒相におけるモノアミン系の神経細胞の活性を強力かつ持続的に高め、覚醒相を優位に傾けて覚醒を維持する機能を発揮していると思われる。」と述べています。
神経というのは一度興奮すると、その興奮の状態がずっと続くわけではなくて、急速にトーンダウンしてしまって、そのあと再び新たな刺激が入ってこないと、もとの状態に戻ってしまうという性質があるわけです。ですからこのスイッチの場合も、一度覚醒側に傾いても、何かの拍子にもとに戻ってしまう、あるいはせっかく覚醒しかけたのにまた睡眠側に戻ってしまう、そういう可能性があるわけです。
そこでどうしてオレキシンが介在すると各相が持続できることになるのかといいますと、あくまで一例ということなのですが、可能性としては例えばノルアドレナリン神経系からの信号を再びノルアドレナリン神経系に戻すようなループを作ってしまえば、ちょうど電気の発振回路のように、その刺激は収束しないでずっと続くことになるわけです。スタジオでマイクとスピーカーを向かい合わせたときにギャーという大音量が出ますけど、そういう現象を上手に利用しているんじゃないかと思うのですがどうでしょうか?
1 桜井武「オレキシンの生理機能の解明」(http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/pharmacology/orexin.pdf)
睡眠、覚醒というモードが明瞭に分かれていることの説明は以下のイラスト(1)を見ていただければ分かると思います。電気のスイッチには必ずバネがあるように、気の利いた、さり気ない仕組みが睡眠と覚醒のシーソーを支えているのではないでしょうか。そうすれば“バネ”のおかげで、揺れ動いたり目覚める途中でコケたりしないわけです。
赤がモノアミン神経系、紫が睡眠と関係のある神経系となっています。そのどちらにも緑で示されるオレキシンが関わっています。今現在分かっていることは、オレキシンは睡眠から覚醒に移行する際に(よっこらしょと持ち上げることと、それを安定化させること)関係しているだろうということのようです。
(「覚醒」の仕組みがこんなにややこしい機構になっているのなら、人間の身体ってもっと壊れやすくなっていてもいいはずだよなあ、というのが正直な感想です。)
そして個人的には、このイラストでは“sleep”と“awake”の2つとなっていますが、これに前回説明した興奮のモード(cautious?)が加わるのではないかと思います。
この図の論文の中で金沢大学の桜井教授は「このような神経回路は睡眠と覚醒の相転移がスピーディーに起こるようないわゆる“flip-flop”のシステムを作っていると考えられる。その反面、この機構だけでは睡眠相と覚醒相の移り変わりが頻繁に起こってしまう性質をもつはずである。そこにオレキシンが介在することにより、覚醒相におけるモノアミン系の神経細胞の活性を強力かつ持続的に高め、覚醒相を優位に傾けて覚醒を維持する機能を発揮していると思われる。」と述べています。
神経というのは一度興奮すると、その興奮の状態がずっと続くわけではなくて、急速にトーンダウンしてしまって、そのあと再び新たな刺激が入ってこないと、もとの状態に戻ってしまうという性質があるわけです。ですからこのスイッチの場合も、一度覚醒側に傾いても、何かの拍子にもとに戻ってしまう、あるいはせっかく覚醒しかけたのにまた睡眠側に戻ってしまう、そういう可能性があるわけです。
そこでどうしてオレキシンが介在すると各相が持続できることになるのかといいますと、あくまで一例ということなのですが、可能性としては例えばノルアドレナリン神経系からの信号を再びノルアドレナリン神経系に戻すようなループを作ってしまえば、ちょうど電気の発振回路のように、その刺激は収束しないでずっと続くことになるわけです。スタジオでマイクとスピーカーを向かい合わせたときにギャーという大音量が出ますけど、そういう現象を上手に利用しているんじゃないかと思うのですがどうでしょうか?
1 桜井武「オレキシンの生理機能の解明」(http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/pharmacology/orexin.pdf)