竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

寄生する微生物

2009年05月28日 | 竹田家博物誌
コバンザメみたいに、他の生き物に寄生して(というか共生して)生きる生き物というのが結構います。
こういうのを無理やり引き離して飼おうとしてもうまくいきません。

深い海にすむアンコウなどは、愛し合うがゆえに(?)オスとメスが完全にくっついてしまって、血管までつながってしまう状態になるんだとか…。こうなると、当然浮気もできないし、機嫌が悪くなっても実家へも帰れません。※1

いや~仲むつまじいのもここまで来ると~ギョギョギョって感じですね(ゴメンなさい、さかなクン)


動物でもそうなのだから、微生物だって他人に依存しないと生きられないものがいたと考えても何も不思議じゃありません。

有名なのがシロアリのお腹の中の微生物で、その中には空気中の窒素を固定するものとか、水素を出すAM21B株などという超~ミラクルな微生物もいるらしいんですけど、あまりにも特殊すぎて自然界ではシロアリのお腹の中にしかいなくて、土の中をいくら探しても見つからないんだとか。※2


他にも、微生物が別の微生物と共生する例ならたくさんありそうです。

話によると、人間が研究対象にできる微生物は1%ぐらいしかいないんだそうです。※3


調べたり、研究できるというのは、その特定の微生物を他の微生物から選り分けて、さらにある程度の集団になるまで培養するということです。そうしないと、何が何だか分かりません。

ちゃんと培地にビタミンB群やビオチンを入れて、窒素源としてグルタミンも入れて、それでも、メジャーじゃない(でも種類は多い)微生物は増えてくれないというのだから驚きです!※4


いやはや人間は、地球上の微生物のほんの一部しかまだ分かっていないってことなんですね。


理研のNMRを使った方法では、微生物を選り分けないで、混じり合った状態のまま分析するわけです。強い磁場を掛けて、スペクトルを計るわけですから、成分を抽出する必要がありません。
そうすると、特定の微生物を培養して増やす必要はなくなります。これまで培養できなかった微生物を調べる手掛かりがつかめる可能性が出てきましたし、ある微生物が、別な種類の微生物とのやりとりのために出している物質なんかも分かるということになりますね。


いや~それにしても、寄生なのか、共生なのか、それとも単に感染してるだけのか訳がわからなくなっちゃいますね。
寄生にしたって、果たしてどっちが寄生してんだか…。

そのうちオイラも、病院でうなされながら、共生してんだからワクチン打たないでくれ、って言い出すかもしれません




※1
同種間でも「寄生」と呼ぶそうです。参考:ミツクリエナガチョウチンアンコウ

※2
「シロアリは水素を作る -オカシなバイキン-」
「廃棄物からの水素製造-細菌発酵で作る水素の原価-」(以上、微生物管理機構内)
「シロアリの力借り物質循環の謎を解く」
「シロアリの強力な木質分解能を支える驚異の腸内共生機構を解明」(以上、理化学研究所内)

※3
「現代化学」2009年03月号64ページ、服部勉「微生物生態入門」東京大学出版会17ページ等。
注:現在ではおなじみのPCRでDNAやRNAを増幅することにより、これまで研究できなかった微生物でも調べられるようになりました。研究対象が1%程度から10%程度へと拡大しました。それでも費用はかかるし、まだまだ入手できない微生物も無数にいます。

※4
ある特定の刺激と出逢うまで細胞分裂を行わない「休眠」という状態にあると考えられています。参考:長澤寛道『生き物達の化学戦略』(2014、東京化学同人)


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